早稲田塾
GOOD PROFESSOR

青山学院大学
経営学部 経営学研究科

山本 寛 教授

やまもと・ひろし
1957年神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。その後、銀行などに勤務、大学院をへて、現在、青山学院大学経営学部教授。日本経営協会・経営科学文献賞(01年)日本労務学会賞・学術賞(02年)経営行動科学学会・優秀事例賞(04年・共同受賞)など受賞。著作は『人材定着のマネジメント―経営組織のリテンション研究』(中央経済社)『転職とキャリアの研究[改訂版]―組織間キャリア発達の観点から―』『昇進の研究[新訂版]―キャリア・プラトー現象の観点から』(前著ともに創成社)など多数。
Web上の「山本寛研究室」のURLアドレスはコチラ →
http://www.busi.aoyama.ac.jp/~yamamoto/hakuzan.htm

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「超氷河期」を乗り切る人事管理・キャリア研究

山本研究室のある青山キャンパス8号館
青学建学の祖ジョン・ウェスレーの像

今週紹介する一生モノのプロフェッサーは青山学院大学経営学部の山本寛教授である。
青山学院大学経営学部は経営学科とマーケティング学科からなるが、ここでは両学科を合わせた経営学部としての特色について伺った。

「2つの学科からなる本学経営学部ですが、両学科の垣根が低く、学科をまたいで経営学から会計学・商学・マーケティングまで自由に科目選択できるのが大きな特色です。また本学が立地している青山という街は、ファッション産業やIT企業などが集中しています。その地の利を生かして、企業人を講師に迎える特別講義なども盛んで、それが第2の特色といえるでしょう」

このほか学部の懸賞論文などに応募する学生の多いこと、専門科目以外に外国語などを担当する教員のゼミが開設されていること、海外の大学での短期語学研修があることなども特色として挙げてくれた。
なお2012年に青山キャンパスに新校舎が完成すると、青山学院大学経営学部は1年次から4年次まで同一キャンパスでの一貫教育が実現することになる。

山本先生のご専門は「キャリア研究」で、テーマとしているのは「勤労者のキャリアおよびキャリア意識」についてだ。
その研究内容について伺った。

「この研究テーマはわたし自身の就職や転職などの体験から出発しています。大学を出て銀行に就職し、さらに転職を経験したことで、それがキャリアについて考えるキッカケになりました。人は、学校教師や上司・先輩・友人らとの出会いによって人生に影響を受けることがあります。そのためにも中・高校生くらいから自分の育ってきた過程を、キャリアという認識で確認していくべきだろうとも考えるようになりました」

ますます混沌とする現代社会の就労環境のなかでは、とくに自らのキャリアを意識する必要が高まってきたと力説する山本先生だ。

「なぜかというと、日本的経営を象徴していた年功序列や終身雇用などの制度が、近年になって崩れ始めているからです。働いている人の側がそれぞれ自らのキャリアを考えなければならなくなっています。これまでは、新卒で就職した企業内で役立つ技能を磨いていけば大概よかったのですが、現下の長引く不況や雇用不安の状況においては、企業に頼らないで自分の将来は自分で考えなければならなくなっています」

これについては幼児期からの親の養育、さらには小・中・高の学校での教育でもきちんと教える必要があるという。
さらに受験生にとっては、人生のキャリアを左右する大きな関門がある。

「大学進学に際して、どの学部に進むのか? それによってその後の人生が大きく変わることを考えておく必要があります。周りの人のアドバイスを受け入れながらも、自ら選択して、責任を取れるようにならなくてはなりません。そのためにも幼児期からの訓練が必要になるわけです」

また最近は、「勤労者の組織間キャリアについて」や「組織のリテンション・マネジメント(優秀な人材の確保)」などにも研究テーマを広げているという。

現実の企業や企業人をも巻き込んだ実際的なゼミ活動

青山学院正門から続くイチョウ並木
青学ガウチャーメモリアルホール

さて、山本先生を最も特徴づけているのは専門ゼミ演習での熱血指導だ。
経営学部で専門ゼミを取れるのは3~4年次の学生。
山本ゼミでは例年13~15人ほどのゼミ生を採っているが、その選抜方法がユニークだ。
「うちのゼミは人的資源管理を研究テーマにしていますので、現ゼミ生が入ゼミ希望者に面接をしています。ゼミ生が面接官になることで、人を評価することを学ぶわけです。その後わたしと現ゼミ生とで相談して、最終的な合否の判定をして新ゼミ生を決めています」

研究テーマはゼミ生の興味関心によって決められる。
具体的には、社内の人間関係やリーダーシップ、モチベーション、成果主義など、組織とそこで働く人々に関係する多様なテーマが卒業論文としてまとめられている。

さらに、研究内容もさることながら、全ゼミ生をあげての活動内容メニューの多さも山本ゼミの特徴といえよう。
現実の企業や企業人をも巻き込んだ実際的な活動が豊富だという。

「ゼミとして毎年2社ほどの企業見学を実施しています。我々は人的資源管理を研究していますので、企業の本社などオフィスワークの現場を見学します。’09年度は教育事業と旅行代理業の大手企業を見学しました。事前に両社の社員の方をゼミ授業に招き、その講義を聴いてから見学に行くようにしています。そうすることで、見学後に行う、企業の方とのディスカッションが非常に活発になるからです」

学生指導はもちろん就職活動支援にも全力を尽くす

歴史を感じさせる間島記念館
本部棟ベリーホール屋根には十字架が

「また、就職活動を控えたゼミ生に対しては、模擬面接と適性検査や性格検査を独自に実施するようにしています。このうち模擬面接では実際の企業で人事を担当している方にも参加してもらい、わたしと4年次ゼミ生の3者が面接官になります。面接を受ける3年次ゼミ生に就職希望企業などを聞いて、それに即した模擬面接にするように心掛けています」

このほかゼミの夏合宿中でのディベート大会も一大イベントとして定着している。
これにも企業人がゲストに招かれることもあるという。
リーマンショック後ますますこの国の就職状況が冷え込むなか、山本ゼミの卒業生が毎年100%の就職率実績を残している秘密はここにある。
――
さらに、ゼミ・研究室での実証研究にあたっては「縦串を通すこと」が徹底されている。
つまり学部生レベルといえども、仮説を立てて、データを集めて、検証する――という「論理的なつながり」を意識した研究を行なうようにと指導しているのだ。

「まず、4年生にゼミでの居場所をつくるようにしています。これは3~4年生のゼミ生の結び付きが重要であることと、私ひとりの指導には限界がありますから、それをサポートしてもらうためでもあります。また、ゼミ生の発表や発言に対しては、できるだけ個人名をあげて評価するようにしています。大人数の授業とは違い、1人ひとりは違う存在であることを意識してもらうためです。そうすることで、努力すればみんなに認められるという雰囲気が生まれ、ゼミ活動が活発になるからです」

こんな生徒に来てほしい

わたしのゼミでは共同作業が多いので、まじめで約束を守れる人であってほしいですね。
そして人生の目標を持っている人。
目標は立てる意欲が大切ですから、多少変わった目標でもいいから持っていてほしいですね。
全国から学生が集まってくる大学生活はどうしても人間関係が希薄になりがちです。
ですから自ら積極的に人間関係をつくってほしいと思います。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。