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GOOD PROFESSOR

東京電機大学
未来科学部 建築学科

朝山 秀一 教授

あさやま・しゅういち
1952年神奈川県生まれ。’78年東京工業大学大学院総合理工学研究科社会開発工学専攻修士課程修了。’78年東京電機大学工学部助手。’90年同講師。’91年同助教授。’96年同教授。’07年学部新設により現職。著作には『複雑系と建築・都市・社会』(技報堂)『アルゴリズミック・デザイン』(前著ともに共著・鹿島出版会)がある。
朝山先生が主宰する「東京電機大学建築学科 情報・設計工学研究室」のURLアドレスはコチラ →
http://www.a.dendai.ac.jp/~w3asa/

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自然がお手本! 「アルゴリズミック・デザイン」建築手法

朝山研究室のある11号館
東京電機大学神田キャンパスの建物群

樹木や地形など大自然の形態にならい、その仕組みをコンピューターで解析して建築に応用している大学教授がいる。
東京電機大学未来科学部建築学科の朝山秀一先生がその人だ。
名付けて「アルゴリズミック・デザイン」という。
そのユニークな建築デザイン法についてからお話を伺おう。

「自然界に存在するものは進化とか時の変化を経ていますから、合理的かつ機能的なものが大半です。そうした自然物の形態や仕組みには、建築物などにも応用できるものが少なくありません。ここで重要なのは外観や形を単に真似るのではなくて、その仕組みを応用するということです」

コンピューター等を駆使して自然物の仕組みが細かく解析され、その仕組みを建築物に活用したシミュレーションは何度も繰り返されていく。

「適当に凹凸などをつけた地形的なものをデザインすれば済むということではありません。たとえば雨で浸食される地形の仕組みを使えば、雨水などがきちんと排水できて、地形のような凹凸のついた全く新しい屋根ができたりもするわけです」

こうした新方法による屋根をもって実施工された実験的なモデル住宅がある。
’07年に完成した「積層アーチの家」で、世界初の「積層アーチ構造」による住宅だ。
もちろん設計デザインは朝山先生によるものだ。

「この住宅の屋根は、現代幾何学を使って植物が枝分かれしていく仕組みを取り入れたもので、表面がアーチ型の凹凸になっています。それによって風に対する揚力と抗力とがうまくバランスします。結果的に風に強い構造にもなり、すでに幾度かの台風に遭遇しましたが、全くビクともしていませんよ」

住居としての居住性も非常によいと語る朝山先生。
じつはこの積層アーチの家は先生の自邸でもあるのだ。
この実施工によって、アルゴリズミック・デザインの有効性が実証されたとも言える。

今後は「波の形」の活用などにも挑戦してみたいと新たな意欲も見せる。
このほかに朝山先生は「都市商業用地の成長や衰退の解析研究」なども研究中だ。

「現在この国には一方で成長著しい都心の商業地があれば、その一方には地方のシャッター通り商店街のように日々衰退していく所もあります。それらは偶発的要素と人為的要素の相互作用によって引き起こされており、そうした要素を細かく解析しながら未来展開へのシミュレーションをしています」

さらには「構造設計システム支援のWeb公開」なども朝山先生の最近の研究テーマとなっているという。

設計事務所にとって即戦力となるための親身な演習指導

東京電機大学のロゴプレート

次いで所属する東京電機大学未来学部建築学科の特徴について伺った。

「建築デザインの本来の趣旨を教育指導するのはもちろんですが、この学科ではとくに演習指導に力を入れています。さらに設計デザインと構造設計(建築物の強度と安全性の計算)、それに環境設備の担当学生がひとつのチームになって協働し、社会で活躍する設計事務所に近い実践教育をしているのも特色といえます」

また建築に対する自由な発想を大切にするために、アメリカのNASA(航空宇宙局)が開発した最新の構造設計プログラムを導入しているのも東京電機大学建築学科ならではであろう。
この構造設計プログラムによって、どんな建築デザインであっても構造の安全性が検討できるため、従来よりもデザイン自由度が大きくなるという。

「学部(未来科学部)から大学院修士課程までの6年間を一貫カリキュラムで教育指導しているのも特徴でしょうね。また、大学院には長期インターンシップ制度も設けられています。この制度による所定の単位を取得しますと、2年間の実務経験に認定されて1級建築士受験資格が得られます。いまでは当たり前な制度になっていますが、日本で最初に導入にしたのは本学の建築学科でした」

なお学部から大学院修士課程までの一貫教育受講を推奨している建築学科だが、学部4年で卒業して就職することも可能で、個々の学生の事情が最優先されることは言うまでもない。

最新技術をマスターした実践的な建築デザイナーを育てる

鉄腕アトムがイメージキャラクター

「技術は人なり」これが東京電機大学建学以来の精神で、実学の尊重が伝統である。
それは建築学科においても同じで、それはゼミ演習などに重点が置かれたきめ細かな教育指導によく表われている。

東京電機大学建築学科の学部生は、4年次になると各教員が主宰する研究室に配属される。
朝山研究室でも毎年度5~8人の範囲で受け入れている。

これまで建築学科学部生には、卒業時までに卒業論文と卒業設計双方の作成提出が義務づけられていた。
それが大学院までの一貫カリキュラムが採用されたことで、卒論か卒業設計のいずれかを提出すればよいことにもなった。
朝山先生の卒論指導方針は――。

「毎年4月に学部生が配属されてきたところで、研究室の研究内容から卒論テーマになり得るものを提示し、それぞれの学生に関心のあるものを選んでもらいます。最初は文献リサーチをして、先行研究について徹底的に調べてもらいます。それを自ら調べることで、何について取り組めば学問的にオリジナリティーのある研究になるのか見通しが立つわけです」

卒論となれば、それまでのすでに解答が用意されているリポートや課題の提出などとは違い、前人未到のテーマについて自力で研究して論文にまで仕上げなければならないのだ。
最後にあらためて、学生指導に懸ける朝山先生の方針について伺った。

「わたしの研究室では、建築の構造(あるいは建築計画)を基本的に扱います。こうした分野をITなど最新の技術・手法を実践的に活用できる人材を育てるのを主要な目的としています。ただ最新のコンピューターを実際に扱うには、人によって得手・不得手もあり得ます。不得手な人には無理強いしないようにもしています。そういうタイプの人には、現場のデータを集めるフィールドワーク等のほうに回ってもらっています。建築現場の生のデータを知ることもまた重要なことですからね」

個々の学生たちを見守る目の何とやさしいことか。
こんな見守られ方をしたら、学生たちも伸びのびと存分に羽ばたけるに違いない。

こんな生徒に来てほしい

先の見えにくい時代だからこそ、大学に進学するからには、自分は将来どんな職業や研究に就きたいのかを考えてから来てほしいと思います。
それが途中で変わることになっても構いませんが、常にそのことを考えて貴重な学生生活を送ってほしいですね。
そうすることで、大学で何を学べばよいのかが明確になりますし、知識の吸収も早くなります。
教える側としても、そういう意欲的な学生さんといっしょに学んだり研究したりするほうが断然たのしいですからね。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。