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GOOD PROFESSOR

東京理科大学
理工学部 物理学科

千葉 順成 教授

ちば・じゅんせい
1952年岩手県生まれ。’79年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。’79年東京大学理学部助手。’85年高エネルギー物理学研究所助教授。’97年高エネルギー加速器研究機構に名称変更。’03年同教授。’05年より現職。
千葉先生が主宰する「千葉研究室」のURLアドレスはコチラ→
http://www.rs.noda.tus.ac.jp/~chibaken/index.html

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「素粒子物理学」の世界最先端を探る実験研究

千葉研究室の入る野田キャンパス4号館
第3食堂から野田キャンパス正門望む

今回ご登場ねがうのは、東京理科大学理工学部物理学科の千葉順成教授である。
そもそも物理学とは何であるのか?
まずは、この根本的なテーマからお話いただいた。

「物理学というのは、すぐに何か日常生活の役に立つというものではありません。基本的な本質を究明して、そこからスタートしていこうというのが基本スタンスです。おもに、①素粒子・原子核などの宇宙分野②物性物理③一般物理の3分野からなります。それぞれに理論研究と実験研究がありますから、おおきく6つのカテゴリーに分かれます」

このうち千葉先生のご専門は①の「素粒子・原子核の実験研究」であるが、その詳しいことは後に譲ろう。
次いで、東京理科大学物理学科のある野田キャンパスの好環境・好立地について先生の話は移る。

「ここは自然が豊かで静かな環境ですから、研究・学習をするにも実験をするにも集中できて非常にいいですよ。ついでに東京大学柏キャンパス(千葉県)や筑波学園都市(茨城県)・理化学研究所(埼玉県和光市)・放射線医学総合研究所(千葉市)などの物理関連諸施設が1時間以内でアクセスできる立地条件もいいですね」

こうした諸施設を卒業研究のために利用している学部生も多いという。

世界初レベル「素粒子」「原子核」研究テーマの数々

東京理科大学野田キャンパス図書館
東京理科大学ロゴ看板と桜並木

ところで千葉先生のご専門とする「素粒子」「原子核」とは何であるのか?
そうした根本レベルから教えを乞うた。

「『素粒子』とは、読んで字のごとく粒子の素になる物質という意味です。つまり、その時代において最も小さいとされる物質で、現代では『クォーク』になります。かつては『原子』や『陽子』などが最先端の素粒子とされていた時代もあり、今後クォークより小さな物質が発見される可能性もあり得ます」

だから素粒子というのは時代とともに変化していることになる。
その次に「原子核」については――

「『原子核』は電子とともに原子を組成しています。この原子核は『陽子』と『中性子』からできていて、それをさらに細かくしたものがクォーク(素粒子)になるという関係です。わたしはその素粒子と原子核を素材にして、さまざま実験研究をしています」

具体的な実験研究のテーマについてはWebサイト上に紹介されている。
ともにその物質の構造についての世界初レベル探求が研究テーマとなる。
こうした研究には「加速器」という大型の実験装置が使用される。

「物質の構造を見ようとするとき、その物質が微細であればあるほど大きなエネルギーが必要になります。たとえば10のマイナス15乗メートルの陽子について調べるには、数億ボルトで加速して得られるエネルギーが必要です。これよりひと桁微細なものを見るためには、さらにひと桁大きなエネルギーが必要だとされています。いま日本にある最大の加速器ですと、陽子のさらに5桁微細なものまでが見られるようになっています」


そこで千葉先生は素粒子についてこんな話もしてくれた。

「宇宙の構造や、その生成から成長の過程は、素粒子物理学の法則に従っていることがほぼ間違いない事実になっています。この10年来、宇宙観測の技術は長足の進歩を遂げていて、星以外のことについてもいろいろ観測されるようになっています。その観測結果をもとに素粒子の法則を調べますと、まさにその通りになっているんですね」

広大無辺に広がる大宇宙と、最も微細な物質とされる素粒子とが、いずれも同じ構造、同じ生成・成長の過程を経てきた。
しかも理論的モデルだけでなく、最先端の実証実験やシミュレーション研究によって次々と確かめられているという。

人類未知のものを最初に既知のことにする楽しさ

最寄りの駅は東武野田線「運河」駅

東京理科大学物理学科の学部生が各教員の研究室に配属になるのは4年次の春からである。
千葉先生の研究室でも毎年10人前後の学部生を受け入れている。
「学部4年次の前期といえば、学生たちは就職活動や大学院試験の受験勉強、さらに教職課程を取っている学生の教育実習などもあって足並みがそろいません。それで前期は週1回のゼミ出席を義務づけているだけで、本格的な卒業研究は夏休みからになります」

卒業研究のテーマについては学生のほうから出されるケースが多い。
ただしテーマの決められない学生には先生が相談にのる。

「卒研指導はわたしと大学院生とであたることになりますが、だれがどの学生を指導するのかを決めないで、卒研生はその場にいるだれの指導を仰いでいいことにしています。『アメーバ方式』と名付けていますが、これが思った以上にうまくいって効果をあげていますね」

あらためて学生たちへの指導方針については次のように語る。

「まず、楽しくやってもらうことです。楽しくやれないと、長続きしませんからね。そのうえで、各学生がそれぞれなりにステップアップが図れるようにしてあげたいと思っています。それに何より基本的なことをしっかり身につけてほしいですね。手取り足取りの指導はしませんので、自ら積極的に動くことが基本的な前提となります」

最後に、物理学研究にあたっての醍醐味について千葉先生はこう話してくれた。

「なにより物理が面白いからに尽きますね。面白くなかったら、こんなに何年も続かなかったと思います。他人がまだやっていない未知のものを、自分が最初に既知のことにする楽しさ。その意味では、探検家に似たところがあるのかもしれません。ただ探検家のように、自分の身を危険にさらしてまで挑戦することはありませんけどね(笑)」

こんな生徒に来てほしい

物事について自分で考えることの出来る人でしょうね。
みなさんはまだ高校生なのですから、知識が不足しているのは当然のことです。
いまから知識や経験の不足を心配したり気にしたりする必要はありません。
知識は自然に身についていきます。
ただし自ら考えるクセを身につけておくことは非常に大切です。
知識が増えていくと、同じことを考えてもまったく別の結論に導かれるようにもなりますしね。
ただ最近の学生の傾向として、あまりに素直すぎる人が多いような気もしています。
自分で考えることに苦労する人が年々増えてきていて、これはちょっと淋しいですね。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。