早稲田塾
GOOD PROFESSOR

千葉大学
教育学部

藤川 大祐 教授

ふじかわ・だいすけ
1965年東京生まれ。’95年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。’96年金城学院大学専任講師。’99年同助教授。’01年千葉大学教育学部助教授。’07年同准教授。’10年より現職。学長特別補佐。
「千葉大学ベストティーチャー賞」(’05年)を受賞。NPO法人企業教育研究会理事長・日本メディアリテラシー教育推進機構(JMEC)理事長はじめ、学外委員会の理事・委員を多数歴任。
著作は『授業分析の基礎技術』(学事出版)『企業とつくるキャリア教育』(教育同人社)『ケータイ世界の子どもたち』(講談社現代新書)など多数。
先生が主宰する「藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ」のURLアドレスはコチラ→
http://homepage2.nifty.com/dfujikawa/

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ニッポン教育現場に風穴を開ける革新的「教育方法学」

藤川研究室の入る教育学部1号館
西千葉キャンパス正門

「型破り」というのはこういう先生のことか――とも言うべき一生モノのプロフェッサーを今回紹介したい。
千葉大学教育学部教授の藤川大祐先生である。
ご専門の「教育方法学」「授業実践開発」について藤川先生は次のように語る。

「わたしが研究しているのは学校での児童・生徒への教え方です。学校で大切なのは何といっても授業の実践です。時代が変化していくなかで、教員が一方的、画一的に教育する明治以来からの方法では通用しなくなってきています。ITへの対応もふくめ、新しい時代には新たな教育方法の工夫が求められます」

そうした工夫の数々が藤川先生の研究課題になっていく。
先生が提案する授業スタイルにはユニークなものが多い。
その具体的な内容について、まずは「メディアリテラシー教育」から見ていこう。
ここでいうリテラシーとは『読み・書きの能力』についての教育だ。

「我々が新聞・テレビなどのメディア媒体から受ける情報は、加工・構成されたものです。これをどう受け止めて解釈すればいいのか? これまでの学校教育では教えてこなかったことです。私たちはずっとその必要性を訴えてきましたが、ようやく高校などの授業で、複数の新聞を使って同じニュースを比較する方法で取り上げられるようになりました」

次いで「キャリア教育」について――。
これは各人の生き方や働き方につながる教育だ。


「たとえば来年度から全国の小学校に英語の授業が導入されます。ここでは英語を学ぶさまざまな意味づけ・動機づけが必要となります。そのためには翻訳家や通訳のように本格的に英語を使いこなす人ばかりでなく、日本語なまりで非英語圏の外国の人と電話会議するような人の仕事ぶりこそを紹介していくことが大切だと思っております」

これまでの正統な英語カリキュラムばかりではなく、実際のビジネスの現場を鑑みたとき、たとえば日本式のカタカナ英語も交えるなど多様な教え方があるはずだとも語る。

未来への新しい授業の形を模索する熱き想いの数々

正門に掲げられた学名プレート
サクラとケヤキの緑陰が涼しい

さらには、「アーティストの教育現場への活用」も提案している。

「アーティストというのは、ふつうの学校教員とは違った感性や表現力を備えています。従来の学校文化にない空気を教育現場に入れてやることで、新しいバランスが生まれるのではないかと期待しています。具体的には私たちはダンサーによる理科の授業などを実際に試みています。つまりダンサーによって食塩なりの物質を擬人化してもらって、化学・物理・生物などの諸現象を踊りにしてもらうのです」

たとえば生物分野の例として、メダカの群れに「なって」メダカの習性を理解させることもできる。
また物理分野では、「てこ」や「てんびん」になって力のかかり方を理解するといったものもあり得る。
こうしたダンサー実演型の授業を体験すると、それまで理科の学習などには興味を示さなかった子どもたちまでが目を輝かせて参加するようになるらしい。

また、藤川先生は7年前にNPO法人「企業教育研究会」を設立している。
以来その理事長も務めてきた。

「新しい形の授業を模索していくなかで、民間企業に協力してもらう必要性を感じて立ち上げました。企業の側にも新たな教育に貢献したいという動きがあり、おかげさまで一流といわれる多くの企業の参加をみています。活動としては毎月定例の研究会を開きながら、企業人を講師として学校に派遣するケースから、年間プログラムを組んで教育指導するケース、あるいは教材づくりなども行っています。結果として、これまでの学校教育では少なかった、リアルな企業社会との出あいをつくることにもなります」

こうした革新的な試みから、「ニッポン教育現場」に風穴を開け、さらには未来への新しい授業の形をつくり上げたいという藤川先生の熱き想いの程がうかがえる。

「動ける教育者」めざして圧倒的に実践的なゼミ活動

キャンパス最寄り駅はJR西千葉駅

学部学科やゼミ演習についても紹介したい。
まず、千葉大学教育学部の特徴について先生から語ってもらった。

「総合大学にある教育学部としては全国一の規模を誇り、前身校の設立が明治5(1872)年という、歴史と伝統のある学部です。とくに教育研究の実践に力を入れてきました。また、千葉県の教育行政や教育現場と密接な関係にあるのも特徴です。その関係で毎年50~60人の現役の教員を受け入れ、学生たちと一緒に学んでもらっています。これも他大学にはない特徴ではないでしょうか」

さらに、一般教養の講義や部活・サークル活動などを通し、他学部の学生との交流が図れるのも良いところだろうという。

千葉大学教育学部の専門ゼミ演習は3~4年次学生が対象である。

通常ゼミが始まるのは3年次の新学期からとなる。
ただし藤川ゼミだけはちょっと特殊で、2年次の1月に配属が決まると早々に鍛えられていく。

「わたしのゼミに参加しますと、ゼミ本来の3年次のグループ研究と映像製作、4年次の卒業論文の作成に加え、先のNPOの仕事、千葉県から委託の仕事、千葉市との共同研究などもあって、ゼミ生たちはワーカホリック的に忙しいのですよ(笑)」

それだけに学ぶ量と質は圧倒的で、藤川ゼミで学んだという履歴は千葉県教育界ではひとつのステータスとして認められているほどらしい。
あらためて藤川先生の学生指導方針については次のように語る。

「『藤川研究室の30ヵ条』というのをつくって研究室に張り出してあります。つまり『能動的になれ』『週に一度は東京の空気を吸いに行け』『名刺を持て』『チャンスを逃すな』等々……。要するにフットワークよく動けということで、そういう教育者・人間を育てたいのです」

こんな生徒に来てほしい

教育学部に進学してくる学生には「学校が好きだから」とか「子どもが好きだから」という個人的な想いをもっている人が多いんですね。
決してそれも悪くはないのですが、この国のいまの学校教育は非常に困難な問題を抱えていて、変わらなければならない状況にあります。
ですから、これまでの学校や教員のあり方に否定的な人も含めて、日本の教育を本当の意味で良くしたいという人に来ていただきたいですね。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。