早稲田塾
GOOD PROFESSOR

東京工科大学
メディア学部

佐々木 和郎 教授

ささき・かずお
1958年宮城県生まれ。’83年千葉大学大学院工学研究科修士課程修了。’83年日本放送協会(NHK)番組制作局・映像デザイン部(現デザインセンター・映像デザイン部)入局。’91年英ロイヤル・カレッジ・オブ・アート ポストエクスぺリエンス・コース修了。’07年より現職。メディアセンター長。
『驚異の宇宙・人体』伊藤熹朔賞・新人賞(’89年)『ニュースセンター ,’95』DDA通産大臣賞・優秀賞(’95年)『熱の島で』伊藤熹朔賞・本賞など受賞多数(作品はいずれもNHKテレビ番組)。
佐々木先生が主宰する「エアープロジェクト」と「次世代ブロードキャスト研究室」の各URLアドレスはコチラ→
http://www.starman.biz/air/
http://www.starman.biz/broadnext/

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次世代ブロードキャストのゆくえを探る

佐々木研究室のある研究棟C
八王子キャンパスの象徴「片柳研究棟」

東京工科大学メディア学部教授の佐々木和郎先生は、長くNHKのテレビ番組の美術デザイナー、あるいはCGなどの映像クリエーターとして活躍してきた。
その佐々木先生がいま、大学教授として取り組んでいる研究や実験の数々について紹介していこう。

「まず、次世代ブロードキャストの研究実験があります。いまテレビを中心にした放送界は大きな曲がり角にあります。次世代の放送はどうあるべきかというのがこの研究で、『放送と通信の融合』という観点から研究実験をしています」

そう語りつつ佐々木先生は説明を続ける。
本来こうしたことは放送局内で行なうべきなのでは? そんな素朴な疑問に対しては――

「たしかに本来そうあるべきなのですが、わたしも内部に以前いたので分かりますが、番組制作と視聴率競争に追われる日々の中、そんな余裕などないというのが実情なのですね(笑)。それなら、ということで、私どもが局の現場スタッフと連携を取りながらやってみようと始めたのです」

その実験は、生中継を中心にした番組コンテンツをインターネット配信する試みですでに始まっている。
さらに、佐々木先生の手も離れ、研究室の学生たちが運営を任されて、現在「ロボコン」をはじめ「グッドデザイン・エキスポ」や各種シンポジウムなどのNHK番組の実況中継と配信に腕をふるっているという。

聴覚障害者向けの発語訓練用コンテンツを開発

図書館が入るメディアセンター
セントラルプラザ内にはマックもある

佐々木先生ご自身は、新たな研究プロジェクト「エアープロジェクト」を立ち上げて、そのコンテンツづくりに忙しい日々だという。

「このエアープロジェクトは、本学客員教授で音楽プロデューサーの松任谷正隆さんのアイデアをもとに始まったものです。音響をコンピューター上に視覚化させて何か新しいモノができないかという内容です。いま具体的に考えているのは、人の音声を映像化して『幼児聴覚障害者向け発語訓練用コンテンツ』の開発をめざしております」

聴覚障害者の発語訓練は早ければ早いほど効果があるとされており、この新プロジェクトへの期待は大きい。
また、佐々木先生の研究活動で欠かせないものに、松任谷正隆客員教授とのご縁もあって、ユーミンこと松任谷由実さんの「苗場コンサートライブ」へのコラボ参加がある。
プロに交じって、研究室の学生たちが「ユーミンライブ」にスタッフとして参加しているのだ。

「ユーミンの音楽プロデューサーにして夫でもある松任谷正隆さんから、ライブに若い人の感性を反映させたいという依頼があり、学生を参加させています。学生たちはプロのスタッフの手伝いとして参加するだけではなく、自分たちでユーミンのゲレンデライブやトークショーなどを企画実行し、その様子を映像コンテンツにしてネットで配信しています」

これが機縁になって、ユーミンの’09年の全国ツアーのバック映像の一部と、ニュー・アルバムの代表曲のミュージック・ビデオも研究室の学生たちが制作したという。

その佐々木先生が所属するのは東京工科大メディア学部とはいかなる学部なのか?

そのあたりを語ってもらおう。

「この学部はメディアをキーワードにして、その時々の社会のニーズに応じた課題を取り入れながら、実学教育に力を入れているのが特徴です」

ここでいう「実学教育」とは、単にITメディアにかかわる技術的なことを身に付けるだけでなく、コンテンツをめぐるリテラシーなどについてもしっかり学ぶ。
さらに佐々木先生はこう続ける。

「校名が工科大学ですので、男子学生が中心の学校だと思われがちなのが残念です。さきに紹介したエアープロジェクトもそうですが、むしろ女性の細やかな感性のほうが向いている研究実験などもたくさんあります。とくにメディア学部にはぜひ女子受験生にも目を向けてほしいと思いますね」

既にご存じの方も多いだろうが、東京工科大学のIT設備や機材の充実ぶりは定評のあるところだ。

各自研究テーマもプロジェクト運営も自主性重視

学生が企画にも参加したゲレンデライブ
NHK時代に先生が担当した『驚異の宇宙・人体』のCG画像

東京工科大学メディア学部の学部生が各教員の主宰する研究室に配属になるのは3年次後期からである。

学部生の研究室配属には2つの目的がある。
まず卒業研究がそのひとつ。

「具体的な卒研テーマは学生たちの自由に任せています」

と佐々木先生もいうだけあって、そのテーマは百花繚乱の多様さである。
なかには3D(立体映像)やアニメから、聴覚・視覚障害者向けの教材、はてはテレビのバラエティー番組や、志村けんのコントについての研究までもがある。

さらに配属のもうひとつの目的は、各研究室が運営しているプロジェクトへの参加である。
佐々木研究室では、プロジェクトの立ち上げから軌道に乗るまでは、先生が中心になって主導するが、いったん軌道に乗ってしまうとプロジェクトの具体的運営は学生自身にすべて任される。

「学生の好きなようにやらせるのを基本的な方針にしています。端から様子を見ていて『これは問題だなぁ』と思ったときだけ、徹底的に話し合って解決の道を探るようにしています。そのほかは自由にさせています」

この佐々木先生への取材時に、同じ部屋の別のテーブルで数人の学生がミーティング中であった。
10日後の某シンポジウムの実況中継をめぐる打ち合わせだという。
彼らだけで段取りを決めていき、外部業者への発注電話も自分たちで行っているのだった。

その完全に任された者たちの姿は頼もしい限りだったが、また学生に任せたからには口出しをしない――という態度を貫く佐々木先生の姿勢もうかがえるものであった。
真の意味で自主的な学生を育てる「実学教育」の真骨頂を見た思いもした。

こんな生徒に来てほしい

まずは、新しいことが大好きで、まだ世の中の誰もしていないことに挑戦したい人。
社会の現場や大人の世界に飛び込んでいく勇気をもっている人ですね。
さらに前にも述べましたが、ソーシャル・メディアの分野では女性の力も必要とされています。
ぜひ、女性の方にも挑戦してほしいですね。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。