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GOOD PROFESSOR

東京外国語大学
大学院 総合国際学研究院

三宅 登之 教授

みやけ・たかゆき
1965年広島県生まれ。’89年東京外国語大学大学院外国語学研究科修士課程修了。’93年県立新潟女子短期大学(現新潟県立大学)講師。’97年東京外国語大学外国語学部講師。’99年同助教授。’08年同教授。’09年大学院重点化により現職。NHKラジオ「まいにち中国語【入門編】」講師
主な著作に『一冊目の中国語』『そのまま使える! 中国語会話表現集』(前著ともに東洋書店)『プログレッシブトライ リンガル中日英・日中英辞典』(監修・小学館)などがある
三宅先生が主宰する「三宅登之研究室」のURLアドレスはコチラ→
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/miyake/

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「最大言語」中国語の不思議・豊かさに迫る

三宅研究室のある研究講義棟
裏門にも「TUFS」オブジェがある

東京外国語大学大学院総合国際学研究院の三宅登之教授は、NHKラジオの中国語講座の講師を2010年9月まで務めるなど、屈指の中国語エキスパートとして知られる。
東京外国語大学では、外国語学部1~2年次学生対象の基礎中国語の講義、3~4年次学生対象の専門科目の講義や卒論ゼミ、そして大学院生対象の中国語学研究の講義など、中国語関係の授業を幅広く担当している。
中国語の重要性はますます高まっているが、まずは本格的に学ぶための心構えから聞いていこう。

「地球上で話す人がもっとも多い言語が中国語で、人類の5人に1人は中国語を話しているといわれます。国連の公用語でもあり、この言語を習得する意義は大きいと思います。我々日本人がこの言語を習得するのには、有利なところと難しいところの両面があります」

「有利なところは同じ漢字を使っていることで、欧米の人が学ぶのに比べてかなり有利な立場にいるといえます。逆に難しいところは、発音や文法の難解さが挙げられます。とくに文法では西欧言語のような活用形がないため、初級から中級・上級へと進んでいっても、形としてとらえにくく、いつまでも難しさから解放されないという面があります」

だからといって尻込みなどする必要は一切ない。
東京外国語大学ならではの、伝統に培われた指導メソッドが確立されているからである。

1・2年次にそれぞれの専攻語を徹底的に学び、3・4年次ではその習得した言語能力を生かして、「言語・情報」「総合文化」「地域・国際」の3コース(別に大学院に連動した「特化」コースもある)から選択して、専門分野を学んでいく。
こちらでの三宅先生のご担当は「言語・情報コース」だ。

「このコースでは『中国語教育法』の授業をもっています。これは中国語の教員養成のための授業で、中国語の発音をはじめ文法・語彙などをどのように教授すればよいかを指導しています」

なお、三宅先生はゼミ演習も担当している。
先生の4年次学生向けゼミを取るためにはこの授業の履修が条件にもなる。
ゼミについては後で詳しく触れることにする。

他言語話者だからできる中国語研究もある

キャンパス内の緑陰が涼しい
新設された「アゴラ・グローバル」

三宅先生のご専門は、広義には「中国語学」ということになる。
目下のところ研究テーマにしているのは①現代中国語文法②中国語辞書編纂に関連する諸問題③認知言語学――の3つ。
このうち研究の中心になるのは①の「現代中国語文法」だ。

「日本語を母語とする人間が、なぜ中国語の文法を研究するのか? しょせん中国語を母語にする中国人研究者にはかなわないのではないか? そんな質問をよくされます。たしかにそうした面もありますが、しかしまた、他言語話者だから見えることもあります。また日本語や英語などと比較することで、中国語母語内部の人には見えない違った切り口のアプローチもできます。そこにこそ存在意義があると考えています」

さらに中国文明の長い歴史にあって、中国語の文法研究などすでに尽くされているのではないか――こうした素朴な疑問もつい浮かんでしまう。

「じつは中国語文法で解明されているのは氷山の一角でして、膨大な未解明の部分が残っているのです。中国語というのは、文法的に正しいのか誤っているのかが非常にあいまいという特徴をもちます。それに加えて、あの広大な国土には多数の方言があります。また世代によって言葉の使い方が違ったり新語が登場したりと、どこまで研究しても果てがないのが中国語の文法研究なのです」


すでに中国語の論理・発想は、従来の華僑文化の枠を飛び越え、アジアのみならず世界中で影響力を高めつつある。
広大無辺というか、中国という途方もない大きさがその言語研究の分野からも伝わってくる。

このほか研究テーマのうち「中国語辞書編纂」は、ある辞書の編集委員をしていたときに浮上してきた、中国語に関する諸問題についての考察だという。
また「認知言語学」研究では、文法研究のためのひとつの新方法論として、これを中国語文法にどこまで応用解明できるのかという興味で調べているとも語る。

「外大メソッド」といえども新言語習得に王道なし

夏休み中の中央広場
武蔵野の面影を残す雑木林

東京外国語大学部生のゼミ演習は3・4年次が対象で、3年次が専門ゼミ、4年次が卒業論文指導ゼミだ。
ここでは4年次のゼミについて話してもらった。

「わたしが卒論指導をする直接的なテーマといえば、どうしても中国語文法研究となります。しかし、それだけでは人が集まりませんので(笑)、中国語学に関する語彙や発音・新語・外来語表記など関連テーマを研究したいという学生も受け入れるようにしています」

三宅ゼミの受け入れ学生数は例年3人程度。
このゼミ授業の90分を3つに割って、30分ずつの個別指導をしているという。
さすが国立大といおうか、日本屈指のエキスパートから直々の指導が受けられるのである。

なお前述したように、このゼミを取るためには3年次に三宅先生の「中国語教授法」の授業を履修しておく必要がある。
あらためて先生の指導方針については次のように語る。

「どんな学生にもひとりの大人としての対応をするようにしています。つまり、学生の自主性を尊重した指導法ということです。そのぶん約束が守られなかったときなどには、大人としての対応を取らせてもらうことになります。あえて卒論指導などでも手取り足取りの指導はしません。クルマの運転に例えれば、実際に運転するのは学生であって、わたしはカーナビにすぎません。進むべき方向づけはしてあげられますが、運転するのはあくまで学生自身だということですね」

最後に、中国語に限らず新たな言語をモノにする秘訣についてこんなアドバイスもしてくれた。

「自分の母語以外の新しい言語をゼロから身に付けていくのに、そんなに簡単なカリキュラムばかりでないのは当たり前のことです。自分の将来のためでもありますから、初級レベルの壁をぜひ乗り越えてほしいと思います。そのためには強いモチベーションを持ちつづけること、なぜその言語を習おうとしているのか? その初心を見失わないようにすることですね」

こんな生徒に来てほしい

よく誤解されるのは、東京外国語大学に進学すると4年間ずっと言語学習浸けになるのではないかということです。
そんなことは全然ないということは、入学すればすぐに分かるはずです。
1・2年次で言語を習得してから、3・4年次にはその言語をツールとして、自らが求める研究に向かうようになっています。
また全国(留学生ふくめれば世界各地)からいろんな学生が集まってくるというのも東京外国語大学の特徴になります。
価値観の違う人と日常的に交わること、それ自体が面白いところでもあります。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。