早稲田塾
GOOD PROFESSOR

東京農工大学
工学府機械システム工学専攻

亀田 正治 教授

かめだ・まさはる
1967年東京生まれ。’94年東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻博士課程修了。’93年日本学術振興会特別研究員。’94年東京農工大学工学部機械システム工学科講師。’97年同助教授。’04年大学院重点化にともない工学府機械システム工学専攻准教授。’09年より現職。この間’01年独ダルムシュタット工科大学・文部省在外研究員。日本機械学会奨励賞(’98年)英国機械学会最優秀論文賞(IMechE Thomas Hawksley Gold Medal)(’09年)。
主な著作に『泡のエンジニアリング』『非侵襲・可視化技術ハンドブック』(前著ともにNTS)『火山爆発に迫る』(東京大学出版会)などがある(著作はいずれも分担執筆)。
亀田研究室のURLアドレスはコチラ―→
http://www.tuat.ac.jp/~kamelab/

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「可視化」をキーワードに流体工学の最先端へ

亀田研究室が入る東京農工大学6号館
一新した小金井キャンパスの東門

今回ご紹介するのは、流体工学の最先端で活躍する東京農工大学工学府機械システム工学専攻の亀田正治教授である(学部は工学部機械システム工学科をご担当)。
まずは、東京農工大学機械システム工学科の特徴から聞いていこう。

「本学機械システム工学科では、数学と物理に力点を置いた基礎教育と、機械工学全般にわたる専門教育とを実施し、『Unique & Best』をモットーに世界に通用する技術者・研究者の育成をめざしています。学部生は2年次後期から『航空宇宙エネルギー』と『車両制御ロボット』のコースに分かれ、それぞれの分野の深化した専門科目を学んでいきます」

機械システム工学科には30を超える研究室があり、機械系学科としては全国有数の規模を誇る。

「その研究内容は『モビリティー・エネルギー』『ロボティクス・ナノメカニクス』『デジタルものづくり』の3つを柱としています。具体的には、車両制御や流れ制御・熱音響・宇宙推進・バイオMEMS・嗅覚センシング・ヒューマノイドロボットなどの先端分野をはじめ、バラエティーに富んだ研究室がそろっています」

こう語る亀田先生自身のご専門は「流体工学」である。
あらゆる原動機は流体力を利用して動作しており、その流体内部の力の状態や物体に及ぼす応力について研究する物理学の一大研究分野が「流体工学」である。

「流体工学の研究については、いまやコンピューターによる数値シミュレーションが主流になっています。しかし私たちはあえて実験中心の研究を行なって『実現象を見る』ことにこだわるようにしています」

そんな亀田先生の研究のキーワードは「可視化」だ。
その成果に、まず宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究による「感圧塗料」の開発が挙げられる。

「三角翼など、宇宙ロケットの物体表面にかかる圧力分布の時間変化を可視化した高速応答型感圧塗料(PSP)の開発と、風洞実験への適用に成功しました。いずれも世界でもっとも精度の高い結果が得られています。圧力の面計測を可視化するのは、流体現象を扱う研究者の長年の夢だったのです」

そのプロジェクトを亀田先生たちの共同研究が初めて実現させたのだ。

火山爆発のメカニズムをユニークな室内実験で解明

東京農工大学キャンパス点描
時計塔のある小金井キャンパス広場

亀田先生が研究している流体工学の分野は「高速流体力学」と「混相流体力学」とに大きく分けられる。
前者は音速に近い(遷音速)、あるいはより速い超音速の流体について、後者は気体や液体・固体のうち、2つ以上のものが共存している流体についての研究だ。
この高速流と混相流の双方の研究をつき交ぜて機械工学の視点から挑んだのが、火山爆発のメカニズムに迫る実験だ。

「従来の火山爆発の研究は、現地での野外観測が主な手段でした。火山の爆発というのは、マグマが減圧するとその中に泡ができて体積が大きくなり、それが火口に向かって膨らんで爆発(噴火)するのが基本的原理です。マグマが膨らむ様子は、典型的な高速流かつ混相流の現象なのです」

10年ほど前から、これを室内実験でとらえようという研究が世界各地で行われてきた。
この室内実験で、世界で最初の「可視化」に成功したのが亀田先生たちの研究なのである(東京大学地震研究所との共同研究)。

「私たちが追究したのは、噴煙が超高速で高空まで噴き上がる爆発的噴火について、どんな条件のもとで起こるのかということでした。爆発的噴火はマグマ内の泡が高圧になって、それがマグマを急激に破砕することで発生します。その要因はマグマの硬さによることを突き止めたのです」

このほか「超音速機用エンジンインテーク」まわりの流体の解明についても研究テーマ(JAXAとの共同研究)として取り組んでいるという。

理系でも自らの研究内容をわかりやすく書くリテラシーを

キャンパス内にはこんなオブジェも

東京農工大学機械システム学科の学部生が研究室配属になるのは4年次春からで、1年間かけて卒業研究に臨む。
学部生の配属人数は各研究室均等割りで、例年5人くらいになる。

「卒業研究の研究テーマは、わたしの方でいくつか用意して学部生に選んでもらうようにしています。この学科では3年次の1月に仮配属を決め、研究テーマの開示から選択決定までを3年次のうちに済ませてしまいます。こうして4年次に入ったらすぐに研究に入れるようにしています」

あらためて亀田研究室所属の学生たちへの指導方針については次のように語る。

「研究に必要な専門知識を学習するのはもちろん、なるべく多くの実験に携わってよく観察するようにしています。しかし、わたしが実験にいつも立ち会ったり、手順を詳しく指示したりすることはまずありません。あえて各学生たちの自主性に任せた放任主義にしています。それでも彼らは見えない力に導かれるように、自分でやるしかない気持ちになるようですね」
「さらに重視しているのは、わかりやすい文章を書くということです。いまの学生の多くは、技術的な内容の文章を論理的にわかりやすく書く指導を受けていないようです。そうした文章を書く力は、能力ではなくて技術・リテラシーなのです。徹底して鍛えることで学生たちの文章力はみるみる向上していきます」

わかりやすく書くというリテラシーが身につくことで、学生たちの将来に役立つという意図もあるようだ。

こんな生徒に来てほしい

高校時代までに何かに没頭して取り組んできたという人を大いに歓迎します。
それはスポーツであっても勉強であっても構いません。
まぁ、機械システム工学科の教員の総意としては、やはり数学や物理が好きな学生ということにはなりますね(笑)。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。