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GOOD PROFESSOR

東京学芸大学
教育学部 芸術・スポーツ科学系音楽分野

山内 雅弘 教授

やまうち・まさひろ
1960年宮城県生まれ。’86年東京芸術大学大学院音楽研究科作曲専攻修士課程修了。作曲を八村義夫・松村禎三・黛敏郎氏らに師事。東京芸術大学作曲科、コンセルヴァトワール尚美の講師をへて、’96年東京学芸大学教育学部専任講師。’99年同助教授。’09年より現職。
’83年「中棹三味線と管弦楽のための相響」初演(米カーネギーホール)。クルーズ国際ピアノ会議作曲コンクール第1位(フランス)。シルクロード管弦楽作曲コンクール入賞。日本交響楽振興財団作曲賞入選。文化庁舞台芸術創作奨励賞(合唱曲)。第16回朝日作曲賞(合唱曲・吹奏楽で同時受賞)など受賞多数。
山内先生が主宰する公式WebサイトのURLアドレスはコチラ→
http://www5e.biglobe.ne.jp/~com-my/

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現代音楽作曲家が教育学部で指導する理由

山内研究室の入る芸術・スポーツ科学研究棟2号館
キャンパス正門へと続くサクラ並木

東京学芸大学教育学部芸術・スポーツ科学系音楽分野の山内雅弘教授は、大学教員である前に日本の現代音楽を代表する作曲家のひとりである。
その作曲家デビューは東京芸術大学大学院生だったときに発表した『中棹三味線と管弦楽のための相響』で、初演はあのカーネギーホール(米ニューヨーク)であった。

「三味線とオーケストラを現代音楽スタイルで組み合わせた初めての曲だったようで、それがゆえにカーネギーホールでの初演という幸運に恵まれました。アメリカの聴衆には三味線が珍しいこともあってか、予想以上の反響がありましたね」

そう語る山内先生は以後も次々に作品を発表していくが、何といってもその特徴はレパートリーの広さにある。
管弦楽曲をはじめ、室内楽や合唱曲・吹奏楽、さらに邦楽器曲はもちろんCM音楽の作曲にまで及ぶ。

たとえば合唱曲では、童謡詩人・金子みすゞ(1903~1930年)の詩に作曲した作品もあり、またCM音楽では、名作としてゲームファンからの評価が高いコナミ『幻想水滸伝』がある。

「基本的にはクラシック音楽の流れによる現代音楽を作曲してきました。編成的にはオーケストラが好きですね。吹奏楽と合唱曲は自分には向いていないと思い、手をつけないでいたのですが、やってみるとどちらも楽しいことが分かりました。依頼する側から注文があってのCM音楽は、厳しい制約のなかで作曲することにより、かえって自分の別の面が引き出されるのが面白いですね」

なかでも特に水が合うのはオーケストラ曲と合唱曲ということで、今後この2つのジャンルの作曲を中心に展開したいとも語る。

「現役高校生の多くの人はポップスを好んで聴かれるのでしょうね。なんでも食わず嫌いはよくありません。クラシックや現代音楽を難解なものだと決めつけないで聴いてみると、思いがけない面白さや発見があるはずです。それがまた自分の幅を広げることになりますからね」

最高の音楽教育環境でマンツーマン個人指導を受ける

学芸大学小金井キャンパス点描
学芸大学のシンボル時計塔がそびえる

では大学教授としての山内先生の話に移ろう。
まず東京学芸大学教育学部の音楽分野の特徴から話を伺った。

「国内の、教員養成を目的にした大学の中では学生数が一番多いのが本学ですから、当然のことながら教員数も最多です。音楽分野も同様で、いろいろな専門の先生がそろっています。楽器でいえば和太鼓やインドネシアのガムランを教えられる先生とか、演奏や音楽研究で実績のある著名な先生などもおられます」

音楽に必要とされるすべての分野がカバーされているわけで、なかでも音楽教育の教員の量と質においてはわが国随一の陣容となる。
東京学芸大学の音楽分野は「A類・音楽選修」(小学校教員養成)と「B類・音楽専攻」(中学・高校教員養成)と「G類・音楽専攻」(教養系)とに分かれる。
山内先生は、和声・編曲などの作曲の授業とCM音楽に関する授業を担当している。

ところで東京学芸大学教育学部の音楽分野では、声楽やピアノ・作曲・管弦打楽器・音楽学など、高度な音楽技能や音楽知識を個別に履修できるカリキュラムになっている。
その中で作曲指導をしているのが山内先生だ。

「作曲を専門とする学生は毎年度3人ほどおります。作曲専門の学生については、1年次から4年次までの全員の指導を担当しています。マンツーマンの個別指導で、和声・編曲・管弦楽法などの作曲理論をはじめ、作曲の添削指導から卒業制作の指導まで行っています」

教職免許もふくめ幅広く履修できるのは学芸大学ならでは

新装なった「芸術館」建物
「グリーンアドベンチャー」コースも配備

山内先生から4年間にわたって個別指導が受けられるというのは最高の学習環境というほかない。
さらに、東京学芸大学で音楽を学ぶことの大きなメリットについても触れておこう。

「作曲専門の学生はほとんどが、在学中に教員の免許を取得します。卒業後に作曲だけで生活していくというのは現実的ではありませんからね。ここは音楽だけの単科大学ではありませんから、音楽以外の科目を履修して教養を身に付けることもできます」

こうしたメリットは東京学芸大学ならではだ。また卒業制作で作曲した作品については卒業演奏会で演奏することが義務づけられる。

「作曲の学生は1年次から自主的に学内演奏会を開いて、自作を演奏する機会を作っています。卒業演奏会はその集大成ですから、学生の感激も格別のようですね。卒業制作の作品は各自自由な編成で、なかには大編成の管弦楽や吹奏楽の曲を発表する人もいますよ」

あらためて学生たちへの指導方針については次のように語る。

「うちの学生はいろんなタイプの曲を書いてきますので、それぞれの特性を認めてあげて、その作風の良いところを伸ばすようにしています。もちろん作品の内容に対しては厳しいことも言いますが(笑)」

最後に作曲家ならではのこんな話もしてくれた。

「作品を最初に演奏発表する初演のときは、私たち作曲家もリハーサルから立ち会えます。ですから自分のイメージどおりの演奏に仕上げることができます。それ以後はいろんな演奏家の手に渡ってそれぞれの解釈により演奏されることになります。すると、かなり食い違った解釈をされることがあります。その食い違いにも、これは少し行き過ぎ・誤解ではないかというものもあれば、こんな解釈もあったのかと感心させられるものもあり、そこが面白いですね」

こんな生徒に来てほしい

同じキャンパス内でいろんな学問分野について学べるのが東京学芸大学の特徴でしょう。
ただ音楽教員をめざして学ぶだけではなく、幅広い教養をバランス良く身につけることが出来ます。
音楽とともに、そうしたことにも意欲的な人が来てくれたらいいと思いますね。
なお、本学卒業生は全員が教員になることを義務づけられているわけではありません。
教員になるのは選択肢のひとつに過ぎないことも知っておいてください。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。