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GOOD PROFESSOR

工学院大学
グローバルエンジニアリング学部

塩見 誠規 教授

しおみ・まさのり
1965年大阪生まれ。’89年大阪府立大学工学部機械工学科卒。’94年大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻博士課程修了。’94年大阪大学基礎工学部機械工学科助手。’03年同大学院基礎工学研究科助教授。’06年工学院大学グローバルエンジニアリング学部助教授。’07年同准教授。’10年より現職。
日本塑性加工学会新進賞(’99年)。型技術協会奨励賞(’00年)。
著作には『基礎生産加工学』『機械加工ハンドブック』(いずれも共著で朝倉書店)がある。
塩見先生が主宰する「塑性加工研究室」のURLアドレスはコチラ→
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~wwg1013/index.html

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新素材製品の開発めざす「塑性加工学」

工学院大学新宿校舎
校舎脇にある大学看板ロゴ

「水に浮く金属」アルミニウムを水素ガスにより発泡させるという、画期的加工技術を用いて夢のような軽量金属の加工開発を成功させた世界的研究者。その人こそが今回ご紹介する一生モノのプロフェッサーだ。
その世界初の開発を成し遂げたのは、工学院大学グローバルエンジニアリング学部の塩見誠規教授である。

まずは、なぜ新たな軽量金属の加工開発をめざすのか? その目的・経緯から伺っていこう。

「地球温暖化防止対策の有力手段として、自動車のCO2排出量削減が求められています。二酸化炭素排出量は車体重量に比例しますから、排出量削減のためには車体の軽量化を図るのが効果的です。しかし単純に車体材料を軽くしても、事故のときの安全性が確保されなければなりません。安全性を維持向上させながら金属部品を軽量化する開発が必要になってくる所以ともなります」

そこで冒頭に記した加工技術を用いることで、必要条件を満たした軽量金属「発泡アルミ」部品の開発を塩見先生は成功させたのだ。

「具体的製法としては、アルミの粉末に水素ガスの発泡剤を混ぜて固め、それを600℃くらいに加熱して溶解させて型に入れます。すると、ちょうどパンやカップケーキを焼いたときのように膨らんでいき、内部に多数の空孔をもった発泡アルミ品ができ上がります。これが本当に水に浮くんですよ」

まさに夢のような軽量金属・発泡アルミの行く末について塩見先生は、自動車の衝撃吸収材(ショックアブソーバー)への利用・普及を想定している。

「まず車体を軽くできるという利点があります。さらに事故が起きたときに乗車している人はもちろん、車外の人への衝撃も和らげる効果が期待できます。発泡アルミの実用化はすでにテストも始まっていまして、ドイツなどでは自動車メーカーによって試験が行なわれています」

この発泡アルミは自動車以外にも副次的な効果をもたらし、こちらはもう製品化されて実採用されている。

「発泡アルミにはたくさんの空孔があります。つまり断熱性が高いのです。さらに遮音の性能にも優れています。そのため建築用の断熱材・遮音材としても広く利用できます。すでにアリーナや体育館などの実施工で用いられ始めています」

「産学連携型教育ECP方式」による実践的工学研究

工学院八王子キャンパス点描
「塑性加工研究室」の研究模式図

さらに先生は、金型を使用するなどして発泡アルミをいろんな形状に加工するような工夫をしていく意気込みをも語ってくれた。

塩見先生は、所属する工学院大学グローバルエンジニアリング学部(機械創造学科のみの単科)の特徴について次のように話す。

「この学部の特徴は大きく2つあります。まず卒業研究に『産学連携型教育ECP(Engineering Clinic Program)』を採用していることです。これは企業から研究テーマを提供してもらい、企業のエンジニア(リエゾン)と学生4~5人、それにアドバイザー格の教員とでチームを組んで共同研究するものです。他大ではあまり聞かない実践的な卒研と言えるのではないでしょうか」

もうひとつの特徴は英語教育に力を入れていることだという。

「といっても中学・高校で学んだ英語教育とは異質のものです。ここで学ぶのは技術英語といって、技術を中心にした会話形式の英語になります。つまり技術についてのコミュニケーションがとれる英会話の習熟をめざしています。ですから高校まで英語は苦手だったという人でも、身につく可能性は大いにありますよ」

ちなみにグローバルエンジニアリング学部の学生は、3年次の冬に海外の提携大学での研修が義務づけられる(研修先は海外4ヵ国の6大学から選択)。
この研修によって海外の学生との研究活動を経験し、ひと皮もふた皮もむけて帰ってくる学生が多いそうだ。

大学研究体験を通して一生モノの自主性を身に付けるべし

発泡アルミ(中央)。切断面が右で、左は同質量のアルミニウム
発泡アルミの切片

工学院大学グローバルエンジニアリング学部の学部生が各教員主宰の研究室に配属になるのは3年次の春からである。
3~4年次の2年間をかけて卒業研究(ECP)の課題に取り組むことになる。
塩見先生が主宰する「塑性加工研究室」にも、例年ECP1チーム(4~5人)の学生が配属されてくる。
その研究課題は配属される各年度によって変わる。

「現在わたしの研究室で取り組んでいるECPの課題は、4年次のチームが『カシメ加工の最適形状に関する研究』で、3年次が『腐食の非破壊検査の研究』に取り組んでいます。非破壊検査については最新の『超音波探傷』が必要です。ただ、この装置は高額のため揃えるのが大変でして、非破壊検査の大手企業から借用して実験をしています」

ECPの研究課題は、現実の社会につながっていることや、2年間かけて研究にじっくり取り組めることなどから、学生たちの評判はすこぶる良いらしい。
あらためて学生指導への方針については次のように語る。

「自身の努力の結果が見えやすい実践的なECP研究に携わることで、自らの考えによって行動できる人になってほしいですね。他人に言われたことだけを黙ってやるのではなく、このプロジェクトのなかで自分は何ができるのか? 何をやらなければならないのか? 常にその意識をもって行動してほしいということです。それが出来ないようだと、21世紀のこれから社会に出てからが大変だと思います」

こんな生徒に来てほしい

やる気あふれる人、興味をもち続けられる人がやはり基本になります。
どうしてこういう結果になるのだろう? こういう方向に持っていきたいけれどどうすれば良いのだろう?
というような興味、あるいは自分から行動しようとする気持ちですね。
まぁ高校生の段階では、具体的な行動が伴わなくても仕方ありません。
そうした気持ちさえあれば皆さんを大歓迎いたします。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。