早稲田塾
GOOD PROFESSOR

埼玉工業大学
工学部 ヒューマン・ロボット学科

石原 敦 教授

いしはら・あつし
1955年新潟県生まれ。’78年大阪府立大学工学部航空工学科卒。’81年慶應義塾大学大学院工学研究科機械工学専攻修士課程修了。’81年防衛庁(現防衛省)技術研究本部に入所し、固体ロケット推進薬の研究に従事。’91年米イリノイ大学大学院機械工学科博士課程修了。’92年埼玉工業大学工学部機械工学科専任講師。同助教授をへて’06年同教授。’07年より現職。
著作に『ゼロからスタート・熱力学』(共著・日新出版)『熱力学がわかる』(近刊予定)がある。
石原先生が主宰する「エネルギーシステム研究室」のURLアドレスはコチラ→
http://www.sit.ac.jp/user/ishihara/

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学生とともにヒューマンロボット教材研究

石原研究室の入る6号館「機械工学科棟」
埼玉工業大学キャンパスの正門

「いつも学科の学生たちには、心配なことや相談したいことがあったら24時間いつでも構わないから電話なりメールなりで連絡してほしいと言ってあります。どの学生にも苦手な科目があります。なかには大学の授業についていけない学生もいます。そんな学生には補習授業をしていますが、それぞれ苦手な科目が違いますから、結局、全科目の補習をすることになっていますね(笑い)」

そう語るのは埼玉工業大学工学部ヒューマン・ロボット学科の石原敦教授だ。
落ち着いた語り口ながら、学生指導に懸ける並々ならぬ情熱がびんびん伝わってくる。

そこであえて今回は、いつもの記事スタイルと違えて、石原先生に語っていただいた言葉のいくつかを紹介しながら、その人となりを描出してみたい。
まずは所属する埼玉工業大学ヒューマン・ロボット学科についての話からだ。

「学科名からヒューマノイド型ロボットについて学ぶ学科だと思われがちですが、そうではありません。わたしの認識では『ロボットを使って遊び学んで成長する学科』――と思っています。つまりロボットを使った人間教育によって、人間としての成長をめざすのがこの学科ということになります」

ヒューマン・ロボット学科が開設されたのは4年前で、石原先生は開設当初から関わってきた。

「この学科の方針は、1年次から実習を多く取り入れた『実践教育』と『親身な個別指導』の2つに尽きます。これらを徹底することで大きな効果が上がっています。まずクラスの雰囲気が非常に良いこと。これはほかの先生方からの評判でもあります。他学科にくらべても、適性検査において特に就職に重要だといわれている多様性と起業家志向の項目が突出して高いのが特徴です」

他学科にくらべてヒューマン・ロボット学科の学生は単位取得率が抜群に高く、逆に退学者は一番少ないという結果も出ているという。

「わたしは、この学科の学生の顔と名前それぞれの性格を、1~4年次の全員について把握しています。もう親代わりのようなもので、子どもたち全員のことが好きですが、悪いことをすれば厳しく叱りもします。そうやって学生を指導しながら、わたし自身も彼らから教えられることがとても多い。つくづく子育てと同じなのだと感じています」

畑違いであっても学生とともにロボット教材研究に丹精こめる

埼玉工業大学キャンパス点描
研究室で石原先生と学生たち

「わたしは同じ学科のほかの先生方の講義をよく見学に行きます。親代わりですから、当然のことだと思っています。今どんなところを学んでいて、だれが授業について
いけていないのか等をチェックし、後でそこを補習しています。そんなお節介をしているものですから、学生たちは私のことを『担任』と呼んでくれています。この学科では担任制は敷いていないのですがね(笑い)」

埼玉工業大学ヒューマン・ロボット学科の学生指導方針は5つあって、それらすべては石原先生が考え出したものだ。

「①ランチタイムトーク=昼休みの時間などを利用して、学生と教員の相互理解を深めています。わたしが行なう補習指導もこの一環です②無担任制で親代わり=これによって、先にも述べたように他の教員の講義をわたしが見に行けるのです③その場での指導(Education on Demand)=学生から質問があったらその場でただちに回答し、学生の状況を理解しながら付加的な指導をします④教員間の講義のつながり(Collaboration & Cooperation)=各講義授業相互の連携を図るために、教員間で密に連絡を取りながら指導して学生を孤立させないようにしています⑤専門教育は第一歩が重要=セミナーAISでは、その最初の第1歩をうまく踏み出せるような指導に心掛けています――。以上の5点が私たちの指導方針です」

そんな石原先生の専門は「燃焼工学」と「伝熱工学」だ。
とくに「ロケットエンジンの燃焼」研究でつとに知られている。

「わたし自身、じつはこの学科に着任したころ、ロボットに関する知識は持ち合わせていない状態でした。結果としてそれが良かったのかもしれません。一つひとつ学生といっしょにロボット工学について無心で学べましたからね。お互いに影響し合って人間的な成長もできたと思っています」

現在の石原先生の研究テーマは、CPUを搭載したマイコンカーやマイクロマウス・ロボスプリントなどの教材的研究である。
何とこうしたものもヒューマン・ロボット学科着任以前は未経験であったという。

「これらもゼロからここで学んだものです。その学びの過程での楽しさが自分でも分かりましたから、そのまま学生に伝えることで、彼らも興味をもって楽しく講義に参加してくれています。そのせいもあって、本来の専門である燃焼工学・伝熱工学の研究についてはほとんど休止状態なんですよ(笑い)」
「わたしの研究室ではマイコンカーなど、それぞれの競技会に参加出場しています。今年度のロボトレース(マイクロマウス)全国大会では3年次の学生が優勝しました」

再編となるも「ヒューマン・ロボット指導方針」は変わらず

最寄り駅はJR高崎線岡部駅

こうして石原先生ら学科教員たちの努力によって、年度を追うごとに盛り上がりを見せてきた埼玉工業大学ヒューマン・ロボット学科。
だが実は非常に残念な事態に、立ち至ることになってしまった。

「2011年度の工学部改編によって、ヒューマン・ロボット学科は廃止されることになりました。少子化時代にあって、大学教育の効率化を図るためというのが理由です。4年前に学科がスタートした翌年の入学者は34人でしたが、2010年度は55人に増えて定員をほぼ満たすまでになっていたのです。その成果は確実に上がっていただけに、廃止の決定は非常に残念でなりません」

そういう経緯もあって、新年度から石原先生は工学部機械工学科に所属することになる。

「機械工学科のなかに編入されても、何ら自分の学生への指導方針は変わりません。やはりテクニカルなことよりも人間性の成長を重視した教育になります。学生の成長を見守りながら、全員が4年で卒業できるようにしたいですね」

あらためてインタビューの最後に、学生指導における眼目について語っていただいた。

「すべての学生を入学してきたときから好きになること。学生それぞれの個性をなるべく早く理解すること。最初の段階で学生たちが挫折しないように指導することですね」

こんな生徒に来てほしい

親心と公平さをもって教育指導に携わるようにしています。
ですから、こんな学生が良い悪いというのはありません。
これまでのヒューマン・ロボット学科での経験から、
一人ひとりの個性を見極めながらの指導を行っています。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。