早稲田塾
GOOD PROFESSOR

成城大学
経済学部 経営学科

神田 範明  教授

かんだ・のりあき
1949年東京生まれ。’79年東京工業大学大学院理工学研究科博士課程(経営工学専攻)単位取得退学。’79年東京外国語大学講師。’84年名古屋商科大学商学部助教授。’89年同教授。’93年成城大学経済学部経営学科教授。’94年同大学院経済学研究科(経営学専攻)教授兼任。山形大学大学院理工学研究科講師、ドリームゲート(起業支援総合機関)アドバイザー。
主な著作に『商品企画七つ道具 実践シリーズ』全3巻(はやわかり編・よくわかる編・すぐできる編)『顧客価値創造ハンドブック』(前著ともに日科技連出版)『実践ものづくりイノベーション』(日経BP社)などがある。
「神田ゼミナール」のURLアドレスはコチラ →
http://www.kan-semi.com/

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「商品企画七つ道具」大活用の産学協同実践

神田研究室のある成城大学3号館
研究室ドアには趣味のマグネット

今週ご紹介する一生モノプロフェッサーは成城大学経済学部経営学科の神田範明教授だ。
神田研究室は、一般企業と協力して商品企画や市場調査のプロジェクトを積極的に推進していることで知られる。
つねに5つ前後のプロジェクトが稼動しつづけているという。

学生が参画する産学協同プロジェクトを、これほどの規模で実践する経営学系大学研究室は全国的にも珍しい。
ちなみに、その相手企業とプロジェクト内容の実績をいくつか挙げてみると――

(1)日産自動車:若者向けRV車
(2)NEC:ノートパソコン・携帯電話
(3)リコー:デジタルカメラ
(4)パイオニア:ミニコンポ
(5)ブラザー:ファクス
(6)アサヒ飲料:缶コーヒー
(7)パイロット:大人向けクレヨン
(8)東都生協:中華まんじゅう等食品各種
(9)積水化学:住宅・ベランダ

このほかにも参画企業名だけを列挙してみても、ホンダ・デンソー・東京海上・トステム・富士フィルム・凸版印刷・明治製菓・ロッテ・セガトイズ・日本生活協同組合連合会――などなど、どんどんと続いていく。

しかも、これらの協同プロジェクトに参加できる学生は成城大学神田ゼミの、3年次ゼミ生だけなのだ(詳しくは後述)。

「これだけの企業の人たちといっしょに商品企画などを学生時代にした経験は、後々はかり知れない自信をもたらしますね。就職活動でもこの経験が有利に作用しますので、学生たちには大きな励みになっています」

では一体なぜこれだけの大手企業が神田研究室とのタイアッププロジェクトにこぞって参集するのだろうか?
それには、神田先生が中心になって90年代初めに考案した、画期的なマーケティング手法の効果が非常に大きい。

マーケティングにおいて最も重要とされる商品企画(商品を考案し提案して実現する)作業を7つのステップに分けて、ひとつずつ検証しながらステップアップして研究開発や設計につなげるという手法である。
具体的にその7段階をあげてみよう――

(1)インタビュー調査
(2)アンケート調査
(3)ポジショニング分析(方向の決定)
(4)アイデア発想法
(5)アイデア選択法
(6)コンジョイント分析(組み合わせ)
(7)品質表(技術に連結)

このうち(1)~(3)が「調査」段階で、商品に対する潜在ニーズ(隠れたニーズ)の発見と最もよい企画方向の確認になる。
また(4)~(5)が「発想」段階で、大量のアイデアのなかからユニークでニーズに合ったアイデアが選び抜かれる。
さらに(6)が「最適化」段階になり、ここで最適コンセプト(最も売れる商品イメージ)が具体的に決定される。
最後の仕上げの(7)が「リンク」段階で、その後の技術研究開発への橋渡しとなる。

これら具体的手順を踏まえて、各プロジェクトにとって最適な商品企画がなされていく。
実際にこの手法によって誕生して世に広まったヒット商品がいくつもある。
その輝かしい実績がこれだけの大手企業を神田研究室へと参集させているのだ。

商品企画の第一人者のもと学べる神田ゼミ

冬枯れの成城キャンパス点描
OBや企業の方も参加した夏合宿

神田先生が在籍するのは成城大学経済学部経営学科である。
つぎに成城大学経営学科の特徴について3点に絞って説明願おう。

「まずは徹底したゼミ指導ですね。専門ゼミは2~4年次の学生全員が対象になります。私学の経営系学科として、ゼミ演習指導がこれだけの期間徹底して行なわれるのは珍しいでしょう」
「次いで『経営』『会計』『商学(マーケティング)』『情報』の4分野がバランスよく配分されていて、それぞれの分野の教員やゼミもそれに合わせてバランスよく配置されていることが挙げられます。学生諸君は自らの適性と将来の希望に応じて学ぶべき分野が自由に選択できます」
「3つ目は実践的な教育指導をしている教員が多いことですね。教科書をただ読むだけの従来の座学では学生の身に付かないということで、それぞれ色々な工夫を実際にやって確かめる指導を心掛けています」

3番目の実践的指導については、実際の企業に出向いて、働く企業人の生の声を聞いたり、実際のデータを取って分析したりすることが日々実践されている。
もちろん、実際に大手企業と組んで商品企画に携わっていく神田研究室はその最たる模範実例ということになる。

前述のように、成城大学経営学科の専門ゼミ演習は2年次から始まり全員必修である。
神田ゼミでは例年20人ほどのゼミ生を受け入れている。
その具体的なゼミ内容についてはこう語る。

「2年次は『商品企画七つ道具』を徹底的に学びます。4人ずつのグループに分かれて自分たちで商品企画のテーマ(モノやサービス)を決め、商品企画の実践的な演習をしてもらいます。3年次は『ビジネスプランニング』を学んでから、やはりグループで新規の事業計画をつくり発表してもらいます。さらに企業の人たちといっしょに実際の商品企画や市場調査を実施しますので、忙しくも最高に充実した1年となります」

このゼミの華は何といっても3年次の企業コラボの商品企画や市場調査だが、全員がいずれかのプロジェクトに参加できるようにグループ分けされる。
ただし華々しいだけに苦労もそれなりに覚悟しなければならない。

たとえば夏休みは普通の学生の約半分ほどになってしまう。
パートナーの企業の人たちが猛烈に働いているのに、学生側だけ夏休みだからといって離脱できるはずもないからだ。

神田ゼミで一生モノの企業人リテラシーを

成城大学正門へ続くイチョウ並木
最寄りの小田急線・成城学園駅

そうした貴重な経験を踏まえて、4年次になると自由なテーマで卒業論文の作成となる。
恋愛やファッションや将来の道、さらには環境問題や学食改善など、自らの身近で面白いテーマを自由にたてられる。
しかも分析とビジュアルの両面にこだわった魅力的な卒論がめじろ押しだという。
ちなみにグループ研究による卒論提出も可としている。

あらためて神田先生のこだわりの指導方針を聞くと、その代わりに「神田ゼミに向く性格」をまとめた表があるということで特別に見せてくれた。

(1)好奇心が旺盛
(2)集中力がある
(3)明るく積極的
(4)協調性がある
(5)論理的思考力が高い(数学が得意)
(6)創造性が高い(アイデアが豊か)
(7)表現力が豊か

この7項目のうち5項目以上に該当する人、それが「神田ゼミに向く人」。
さらに言えばそれこそが、いま企業・社会が求める人材(つまり熱意と意欲があってチームで働ける人。コミュニケーション力のある人。課題を発見し分析して解決する力のある人)にもつながるのだという。

インタビューの最後、おもむろに神田先生はボードに「理才文魂」と書いた。
そして、数学嫌いでIT音痴気味というありがちな高校生諸君にはやや厳し目のこんなメッセージも寄せてくれた。

「これからは『理系の才覚』と『文系のセンス』を併せ持つ――そのことが社会人に必要とされます。(文系だから理系だから)いま自分には関係ないと思っている教科も、後々には役立つときが来ます。とくに数学が苦手だから文系に進学するなど愚かな選択としか言いようがありません。もはや、どんな分野に進んでも(とくにビジネスでは)数字を毎日扱うし、論理的にデータを分析する手法から逃れることなど出来ない時代になったのですから」

こんな生徒に来てほしい

大学や社会に進んだら何をやりたいのか――その夢のイメージをもって来てほしい!
それが心の底からの夢ならば、自ら実現していく道筋は必ず見つかります。
ですから、ブランドや成績で大学を選ぶのはもう止めるべきです。
さらに商品企画や市場調査などに興味のある人なら、神田ゼミのある成城大学経営学科がベストの選択でしょう(笑い)。
わたしの研究室にぜひアクセスして見学に来てみてください。
高校生諸君でも大歓迎しますから、メールを送ってくださいね(神田ゼミナールHPからも可)。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。