早稲田塾
GOOD PROFESSOR

神奈川工科大学
情報学部 情報工学科

木村 誠聡 教授

きむら・ともあき
1963年東京生まれ。’85年日本大学工学部電気工学科卒。’85年日本アイビーエム入社。生産技術・製品開発を担当。’07年同社退社。この間’01年工学博士(旧武蔵工業大学)。’07年より現職。
主な著作に『アナログ電子回路のキホンのキホン』『デジタル電子回路のキホンのキホン』(共著・前著ともに秀和システム)『電子回路のキホン』(SoftBank Creative)などがある。
木村先生が主宰する「信号処理応用研究室(Signal Processing Application Laboratory)」のURLアドレスはコチラ →
http://www.ess.ic.kanagawa-it.ac.jp/

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IT革命を支えるデジタル信号処理研究

木村先生の研究室の入る「情報棟」
「デジタル信号研究」内容模式図

神奈川工科大学情報学部情報工学科は、21世紀、あらゆる産業に必要とされる情報のソフトウエア技術を学ぶ学科として定評がある。
その特徴について同学科教授の木村誠聡先生はこう語る。

「情報工学科というと、コンピューターについて工学的に学ぶイメージが浮かぶでしょう。しかし本学科は文理融合型の学科なのです。つまり理系型の人と文系型の人がいっしょに学べるのが大きな特徴になっています。文理に関係なく、将来コンピューターを使用する可能性が大きい時代になっているのです」

そうした社会ビジネスニーズに着眼して開設された経緯があるという。
そのためか、必修科目が少ないのがカリキュラムの特徴でもある。

「必修科目が少ないですから、自らの学びたい科目を自由に組み合わせて学ぶことができます。たとえば理系型志向の人は、コンピューターシステムの細部について学ぶ科目を中心に選択できます。また、Webデザインなど文系型よりの科目を中心に履修することも出来るわけです」

これによって理系型と文系型の双方が満足のいくカリキュラムになっているわけだ。
IT関係に興味はあるが、理系受験科目が必要であるため志望をあきらめてしまう現役高校生にとっては、朗報ともいえるだろう。

さて木村先生の研究領域だが、「デジタル信号処理」の理論研究が基本となる。
さらに、その理論に立脚した「組み込みシステム」と「デジタル回路ハードウエア」開発を研究している。

じつをいうと、情報処理分野の研究者において、理論研究とシステム・ハードウエア開発の両者に関わっている人はほとんどいないと言われる。
その意味においても、木村先生は非常に貴重な存在といえるのだ。

画像処理・組み込み技術などのプロジェクト群

整然とした神奈川工大学キャンパス
第2食堂や売店が入る「幾徳会館」

さて木村先生の携わる具体的な研究内容について、話を伺おう。

「デジタル信号処理については『デジタル画像処理』の電子工学的研究が中心となります。(1)画像データの圧縮(2)地上デジタルテレビなど拡大画像のクリーン化(3)画像ノイズの除去(4)デジタルカメラ画像の高解像度化――などについて理論的に研究しています」

次いで「組み込みシステム」(Embedded system) について語ってもらう。
同システム技術は、自動車やデジタル家電・携帯電話などにあらかじめ小型コンピューターなどを組み込むことで特定機能の高度化を図る、いま注目の技術のことである。

「組み込み技術に関して、いま取り組んでいるのは『制御技術』です。具体的には(1)4輪駆動車にそれぞれ独立した4つのモーターを取り付けて、それをいかに制御するのかという研究(2)電力線を通信回線として利用するPLC(Power Line Communications)を使った家電の電力制御の研究(3)いく台もの無線機器をリレー方式でつないで、データを効率よく送るための信号処理およびソフトウェアの研究などをしています」

これら木村先生たちの諸研究には、企業との共同研究などによってすでに実用化されているものも多い。
なかでも、車のタイヤ検査装置のためのソフトウエアや、画像の復元処理などのソフトウエアなどは画期的な技術である。
画像処理が得意な木村先生ならではの研究開発と言えよう。
さらに「デジタル回路のハードウエア開発」については――

「LSI(Large Scale Integration)集積回路において、ハードウエア記述言語でプログラムしますと、その内部にデジタル回路を組み込ませたITシステムを構築することができます。それによって画像の拡大作業や圧縮作業・ノイズ除去などを画像撮影の現場で処理できるようにもなります」

これらを企業5社との共同で研究中とのことだ。
かなりの数の研究開発プロジェクト群が、木村先生の研究室で同時進行していることに改めて驚かされる。

「わたしの研究室には優秀なメンバーがそろっているので、実際の研究実務は彼らがみんなやってくれるのです。わたし自身が実際にしているのは方針の決定と人事、それに週1回彼らから研究進捗の報告を受けて指示を出すくらいですからね(笑い)」

第一線企業を凌ぐほどの厳しい研究室指導

まさにサクラ満開のキャンパス

神奈川工科大学情報学部情報工学科の学部生の研究室配属は、3年次の12月からとなる。
早めに卒業研究を始めることにより、大事な就職活動において自分の研究テーマを語れるようにして、採用獲得に向け有利に展開されるようにという配慮からだという。
これは「卒業研究委員」も担当する木村先生らによって一昨年度から実施されている。


「我々は第一線企業と同じ環境でやる、というのを研究室の基本方針にしています。スケジュール管理の徹底から、週1回の報告義務、仕様の明確化などキッチリとやってもらいます。卒研については毎月1回中間発表してもらい、そこで1人2時間くらいかけて吊るし上げ(笑い)をし合うことになります」

研究室OBらによると、研究室時代の苦労を思えば企業での苦労などたいしたことないということらしい。
逆にいえば、これだけ厳しい環境で研究をやり遂げれば、将来どんな仕事・業種に就いてもやっていけるということにもなる。
あらためて学生指導において徹していることについては次のように語ってくれた。

「まず、『ほうれんそう』(報告・連絡・相談)の徹底になりますね。とくに悪い『報・連・相』こそ早くあげなさいということです。たとえ学部生であっても、学会発表を目標に研究に励むようにと指導もしています。実際に、わたしの研究室の学部生が学会発表した例もありますしね」

こんな生徒に来てほしい

夢をもっている人――自分はこんなことを将来やりたいという夢をもっている人に来てほしいですね。
なんとなく大学に来てしまって、何をしていいのか一切わからず途方にくれているようでは指導のしようもありません。
そういう意味でも、進学するにあたっては大学の名前ブランドではなく、どんな研究室があるのかよく選んで来てほしいと思います。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。