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GOOD PROFESSOR

中央大学
中央大学大学院 経済学研究科

長谷川 聰哲 教授

はせがわ・としあき
1948年北海道生まれ。’76年慶應義塾大学大学院商学研究科国際経済学博士課程単位取得退学。’78年拓殖大学商学部専任講師。’81年同助教授。’89年中央大学経済学部助教授。’90年より現職。この間に米ハーバード大学・中国北京大学などの客員教授・客員研究員を務める。また財務省(旧大蔵省)税関研修所教官・関税等不服審査会委員や経済産業省(旧通商産業省)国際産業連関表作成委員会委員なども歴任。
主な著作には『APEC地域主義と世界経済』(共編)『APECの市場統合』(編著)(両著ともに中央大学出版部刊)『経済モデルの技法』(共訳著・日本評論社)などがある。
「長谷川聰哲研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~vinomac/

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最先端予測モデル駆使して迫る国際経済学

長谷川研究室が入る中央大学2号館
中央大学正門からのアプローチ

今週の一生モノプロフェッサーは、国際舞台での活躍が注目される中央大学経済学部の長谷川聰哲教授だ。

長谷川先生の研究テーマを大きく分けると、「国際経済政策」と「動学的マクロ産業連関モデルとその国際的リンケージ(連結)」の2つとなる。
いずれも実証的な研究分野であるのが特徴といえよう。

「国際経済政策の分野では、アジアにおける地域経済統合の方法を探る研究をしています。その基軸になっているのはAPEC(アジア太平洋経済協力)です。このアジア地域内の国々における貿易の障壁になっているもの(関税など)について考え、それらを撤廃することで各国の経済や国民生活にどんな影響を与えるのかを研究しています。その求めているものは、アジアにおけるシームレス(結び目のない)な地域経済統合ということになります」

もうひとつの「動学的マクロ産業連関モデルの国際リンケージの研究」、こちらこそが長谷川先生の研究の本領となる。

「この『動学的マクロ産業連関モデル』とは、レオンチェフ博士(ノーベル経済学賞受賞)の開発した産業連関分析手法を、ハーバード大学での弟子としてクロッパー・アーモン博士(現メリーランド大学)が動学的マクロ分析に拡張した、最先端のマクロ経済予測のモデルです。これまでの諸経済モデルと違って、120項目にわたる諸経済活動を計量分析して経済動向の予測ができるのが特徴となります」

長谷川先生のこの産業連関型マクロ経済予測の研究は「国際貿易投資研究所」との共同プロジェクトとして進められている。
動学的マクロ産業連関モデルを用いたわが国の経済活動の計量分析と将来予測のゆくえは、大いに注目を浴びている。

「そうして得られた各国(16ヵ国)の詳細なマクロ経済のシミュレーションは、毎年開かれる年次大会INFORUMに持ち寄られることになります。それらを総合的に連結・分析し、世界経済はどのように相互依存しながら波及していくのかを予測していきます」

年次大会は各国もち回わりで開かれ、長谷川先生も毎年参加して論文報告や議長役を行なってきた。
今年の南アフリカでの年次大会では、東日本大震災後の日本経済が世界経済にどう影響を及ぼすのかが議題に上るだろうとも語る。

なお、長谷川先生は関税政策などの国の委員に就くことも多い。
そうしたこともあって、ここのところ国内論議の的ともなっているFTA(自由貿易協定)やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)についても研究課題としている。

学科中に厳しさが広く知れわたる長谷川ゼミ

モノレール駅からのプロムナード
長谷川ゼミでのグループ学習の様子

伝統ある中央大学経済学部は、(1)経済学科(2)経済情報システム学科(3)国際経済学科(4)公共・環境経済学科――の4学科からなる。
まずは長谷川先生が所属する国際経済学科についてその特徴を聞いた。

「現代の経済活動はますます国境を越えた場が対象となります。世紀をまたいだ数十年間、経済の営みはグローバル化の道をたどってきました。それが経済活動や市民生活にどのような影響を与え、国家の政策にどのような変化をもたらしたのか――そうした経済諸問題を国際的な視野でとらえて研究している学科です」

中央大学国際経済学科は「貿易・国際金融」と「経済開発」の2クラスター制をとっている。
それぞれの特徴についてはこう説明してくれた。

「まず『貿易・国際金融クラスター』では、市場経済が発達している国々でのモノやサービス・資本・技術・カネ(金融)などの取引についての研究が中心となります。また『経済開発クラスター』のほうは、経済が途上段階にある国々を対象に貧困問題や開発問題などについて経済的な面から研究しています」

なお中央大学経済学部での科目履修は学科の枠を越えてかなり自由に選択して学ぶことができる。
じつは専門ゼミ演習についても経済学科などの学科を超えて取れるのが決まりとなっている。

ただし、こと長谷川ゼミにおいては、国際経済学科在籍の学生以外の入ゼミを認めていない。

その中央大学国際経済学科の専門ゼミの入ゼミ時期は2年次後期からとなる。
長谷川ゼミでは毎年度15人前後のゼミ生を受け入れる。


「選抜ではまず、このゼミに入ってどんな研究をしたいのか――それを小論文にまとめてもらいます。その上でわたしと先輩ゼミ生とで面接を重ねて、ゼミ活動に対する意気込みのほどを評価して決めていきます」

中国大学ゼミ対抗討論会など一生モノの体験を

長谷川ゼミでのグループ学習の様子
長谷川ゼミでのグループ学習の様子

長谷川ゼミの学生たちは、難解な「産業連関や計量経済モデル」などを使用した計算処理や数量的分析などの研究の日々にどっぷり浸かることとなる。
しかも研究論文などはすべて英文での提出が求められる。
それでも、こうしたハードルの高さを乗り越えて希望してくる人材は毎年度定員を超えており、入ゼミ選抜は恒例となっている。

「ゼミ生たちに求めたいのは、オールマイティーであることもさりながら、それぞれに個性的な特技があっていろんなことに関心を寄せてくれることですね。そうした個性が集合してチームとして力を発揮してくれれば良いと思っています」

そうした志のあるゼミ生らが研究に没頭できる環境を整え、その意欲的な芽を大きく育てていきたい――
それこそが専門ゼミを指導運営する教員の役目でもある――
長谷川先生はそう語る。

実際のゼミ研究は、国際的な経済問題についてあるテーマを設け、それを理論的に整理していく。
そこから、さらに実証的にとらえて研究し論文にまとめるグループ研究が一番の中心になる。

さらに特筆すべき長谷川ゼミでの活動の華は、何といっても中国の大学ゼミとの対抗討論会だ。

「毎年3年次後期のゼミ生たちを連れて中国に行き、北京大学はじめ現地の5大学のゼミとで対抗討論会をやっています。討論するテーマは毎回変わり、全員英語でトークするのがルールです。中国の同じ世代の若者たちと同じ時間を共有する体験は、ゼミ生たちにとって貴重な経験になっているみたいですよ」

こうした中国の討論会での発表と発言(先のグループ研究の論文も)は立派なハードカバーの冊子にまとめられて全員に配布される。
ゼミ生にとって若き日のよい記念ともなることだろう。
あらためて長谷川先生の学生指導方針を伺うと――

「学生のうちはキャンパス内で自らの半径数メートルだけを見るのではなく、広く遠い世界の先のすばらしいものに目を向けてほしい。社会に対してどういう貢献ができるのかじっくりと考える時間があるのも、事実上人生でこの間だけです。いまほど国同士の相互依存が強まりつつも、その混沌ぶりが際立つ時代はありません。そうした時代のなか若者らしく考え悩み抜いてほしいですね」

こんな生徒に来てほしい

大学においては、高校までのクラス単位のような締め付けが基本的になくなります。
ですから良い先生との出会いとか、大学のシステムをどこまで貪欲に自ら活用できるかなどが重要になってきます。
さらにいえば一刻も早く「親離れ」を断行して、社会の中における自身の存在のあり方を想像し、自覚した生活をしていくことも特に大切です。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。