早稲田塾
GOOD PROFESSOR

専修大学
経済学部

佐島 直子 教授

1955年東京生まれ。’78年上智大学法学部卒。’82年防衛庁(現防衛省)入庁。国際室渉外専門官・防衛研究所主任研究官などを歴任。’93年青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了。オーストラリア国立大学客員研究員・ニュージーランド・ヴィクトリア大学特別研究員を経て、’01年専修大学経済学部助教授。’07年より現職。専修大学社会知性開発研究センター/社会関係資本研究センター研究員。第15回コムソフィア賞(’05年)。
主な著作に『誰も知らない防衛庁』(角川書店)『国家安全保障論Ⅰ』『同Ⅱ』(内外出版)『現代安全保障用語事典』(編著・信山社出版)などがある。

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21世紀もっとリアルな国際安全保障研究を

佐島研究室が入る「9号館」建物

今週の一生モノプロフェッサーである、専修大学経済学部の佐島直子教授のご専門は経済学ではない。ご自身も「専門課程科目を教えないわけではありませんが、全学対象の科目や英語など共通科目を教えることが多い」と語っていて、2部(夜間部)を含めた全学に通じている先生でもある。
そこで、ここでは専修大学全体の特徴や魅力について語ってもらおう。

「専修大学といいますと、派手さはありませんが、長い歴史と伝統に培われた堅実な私立大学です。レベルの高い教員が多いうえに、みんなが指導に熱心できめ細かな教育が行なわれています。そのせいもあるのでしょうが、入るとき(入試)よりも出るとき(就職)の評価が高いと言われています」

その校風は「文武両道」で、スポーツ会系の学生でも学業をおろそかにする学生は少ないという。ただ全体におとなしくお行儀のよい学生が多いので、もう少しやんちゃな面があっても良いのではないか――というのが佐島先生の専修大生観でもある。

「専修大学には全学共通など、学部を横断したカリキュラムや催しが多く組まれています。そのため教員も学生もまとまりが非常に良いですね。ですから仲がいいんです。教員同士・学生同士それに教員と学生もとても仲がよくて、それが特徴でもありますね」

川崎市生田の丘にそびえる専修大学生田校舎からは、多摩の街から丘陵までを見晴らす眺望が得られる。学習環境も申し分ない。

オセアニア地域との安全保障関係を結ぶべし

専修大学「120周年記念館」

佐島先生のご専門は「国際安全保障研究」である。

「これは、国際社会の平和と安定を守るために、どのような方法やシステムがあるのかという研究で、わたくしは日本を含むアジア・太平洋地域について研究しています」

佐島先生には、約20年間の防衛庁(現防衛省)女性官僚としての勤務経験がある。そのキャリアの後半約10年間は、国際安全保障研究のエキスパートとして実績を積んできた。

「国家と国家の関係は、人々が兄弟や親戚たちと親しく付き合うようには出来ません。国家同士の国益は必ず対立する運命にあります。ただし、だからといってすぐに紛争に至るわけではありません。紛争や戦争は抑止することが可能なのです。その方法が『安全保障システム』ということになります」

防衛庁勤務時代から佐島先生の主張に、さらなるアジア・太平洋地域の安全保障のために、オーストラリアおよびニュージーランドとの関係を日本は強化すべき――というのがある。

「こうした諸国との連携によって、アジア・太平洋地域の平和が守られやすくなります。地域が平和であれば、必然的に日本の平和も守られることになります。ただ最初のころは周りから理解されず、『どうして南半球オセアニアの国なんかを研究する必要があるのだ』という声ばかりでした」


「国家というのは、隣国が乱暴だからといって引っ越すわけにはいきません。なだめたりスカしたりしながら、争いのない状態を保って付き合っていかなければなりません。そのためには日本一国で対するより、近隣の諸国と協力して集団で対するほうがより効果的なのです」

ようやく最近になって佐島先生の主張に耳を傾ける専門家が増えて来ているそうだ。

専修大学内に公開されるのが前提の佐島ゼミ

生田「9号館」屋上からの多摩市街

専修大学には「教養ゼミ」の制度がある。これは所属学部に関係なく、全学どの学部の学生でも取ることができるゼミ演習のこと。佐島先生が主宰しているゼミもそのひとつだ。
教養ゼミには毎年2年次以上の学生が参加でき、佐島ゼミでは例年2~4年生全体で20名前後が履修している。入ゼミ希望者は多く、毎年のように選抜になっている。

「選抜の方法はわたしの面接になります。選定の基準ですが、テーマについての知識の量などは問いません。まず厳しい指導で定評のある佐島といっしょに研究をしてみようという意欲があるかどうかですね(笑い)。
それにこのゼミでは個々で研究してゼミ論に仕上げる個人研究と、5~6名の班に分かれて討議し研究するグループ研究を両輪でやっています。ゼミ生はそのどちらにも参加しなければなりません。ですからひとりだけ研究したいという学生はお断りです。
しかし知的な共同作業と呼んでいる班討議はとても充実したものです。他人との関わりが苦手な人でも、佐島ゼミに参加するといつのまにか多くの友人を得ると言われていますから、佐島ゼミは友だちづくりの場でもあります」

ゼミは2~4年次合同で行なわれ、班討議のテーマは佐島先生から出される。2011年度前期は、’01年に起きた『9.11アメリカ同時多発テロ』の首謀者とされるウサマ・ビンラディンが米軍に殺害されたのを受けて、「テロとの闘い」が急遽テーマになって討議されているという。

班討議の結果は公開ゼミの場で発表され、学内他ゼミの教員や学生にも公開され、評定される。そして参加者からの最多得票で優勝した班にトロフィーや賞状が贈られ表彰される。

一方、個人研究のゼミ論のほうはハードカバーに金箔文字が入った冊子に製本されて、卒業のときに全員に配布される。ただし、一定のレベルに達しないゼミ論は「掲載に及ばず」と、掲載してもらえないから要注意である。

あらためて学生たちへの佐島先生の指導方針について伺うと――

「まずは自分が何も知らないということに気づいてほしい。謙虚な態度で学べば、驚くほど知的な世界を広げることができます。そのうえで筋道を立てた考え方・論理的思考法を身に付けてもらいたい。そして、こうした修練を通じて各々が人生について深く考えるようになってほしいですね」

ところで佐島先生は学内他ゼミの発表会に招かれ、講評をすることも多い。その最も優れた発表に「佐島賞」としてトロフィーや賞状を私費で贈るのが恒例化しているのだそうだ。専修大学および専修大生をこよなく愛してやまない先生らしいエピソードでもある。

こんな生徒に来てほしい

どんな学生さんでも受け入れます。不登校などの問題を抱えている人でも構いません。専修大生となることで生き直すチャンスにもしてほしいと思います。そのためのケアには、わたくし自身も力を注ぎますが、大学自体のほうにも手厚い制度が整えられています。ですから、どなたが来てくださっても結構ですよ。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。