早稲田塾
GOOD PROFESSOR

成蹊大学
理工学部 情報科学科

杉山 賢二 教授

すぎやま・けんじ
1961年静岡県生まれ。’85年東京理科大学大学院工学研究科修士課程電気工学専攻修了。’85年日本ビクター入社。同テレビ研究所および中央研究所勤務。’04年成蹊大学理工学部電気電子工学科教授。’05年学部改組により現職。映像情報メディア学会研究奨励賞(’01年)。
主な著作に『基礎と実践 画像処理入門』『実践映像信号処理―C言語を使って体感する』『JPEG・MPEG完全理解』(共著・著作はいずれもコロナ社)などがある。
杉山先生が主宰する「映像情報研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.ci.seikei.ac.jp/sugiyama/

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「映像信号処理」研究のエキスパート

杉山研究室の入る11号館建物
夏の成蹊キャンパス正門

今週の一生モノの恩師プロフェッサーは成蹊大学理工学部情報科学科の杉山賢二教授である。まずは、所属する情報科学科の特徴から話してもらった。

「本学理工学部は3学科で構成されていて、そのひとつの学科ですから、単純に理工学の3分の1の分野をカバーしていることになります。そのカバーする範囲はかなり広く、IT(情報技術)から通信・メディア・数理・経営工学までを扱っています。世の中に流通している機械や電気製品(ひいては社会システムも含む)など、極言してしまえば世の中のあらゆる事物に関わるソフトウエアについて研究する学科ともいえるでしょう」

成蹊大学情報科学科には14に上る研究室がそろう。大きく分けると、(1)コンピュータ・通信(2)メディア(3)数理――の3つのカテゴリーで構成される。

「情報科学科というと、パソコンのアプリケーションソフトだけを学ぶ学科などと勘違いされることもあるでしょうか。本学の場合は情報分野に限らず理工学のかなり広い範囲について学ぶこともできます。それが大きな特徴になっています」

そう語る杉山先生の専門だが「映像信号処理」で、そのエキスパートとして知られ、国内特許165件・米国特許75件の発明者でもある。

「わたしが行っているのは、一般の人にも馴染みのあるテレビや携帯電話・デジタルカメラなどの映像をより高品位にするためのシステムの研究です」

じつは大学研究室において「画像処理研究」を謳うところは多い。しかし杉山先生のようにテレビやカメラの映像処理システムについて専門にしているところは少ない。まさにこの分野における屈指のエキスパートたるゆえんでもある。

撮影から再生までの映像情報システム研究

伝統ほこる成蹊学園本館
成蹊大学キャンパス点描

つぎに杉山先生が関わっている具体的な開発技術についても伺っていこう。まずは「映像情報の圧縮」についてから。

「『映像情報の圧縮』あるいは『情報の符号化』と呼ばれる技術の研究開発になります。この2011年7月に地上波テレビがアナログからデジタルに完全移行されたことで、これからの研究課題はデジタルの中身へと向かいます。大量の情報をいかに圧縮するか?  しかも映像の質を保ちながら送信するか――といった研究ですね」

それから「映像の構造変換」については――

「最近の映像は非常に多様化していまして、それこそインターネット上を流れるさまざまな映像システムから次世代DVD、さらにワンセグから液晶テレビ・ハイビジョン映像、さらにハイビジョンを超える高品位画像まで出現しています。それぞれの画像の高品位化と映像システムのフォーマット変換についての研究ということになります。3D(立体)映像や送信側のシステムについての研究などもここに入ります」

さらに「画質評価・改善」の研究については――

「これは多くの人に動画像を見て主観評価をしてもらい、その結果を統計処理しておきます。一方で同じ動画像を信号処理によって解析し、それを主観評価の統計処理したデータに近づけようという研究です」

さらに杉山先生の「映像情報研究室」URLにはコンピュータグラフィックス(CG)も研究項目として挙げられている。これは杉山先生個人の研究ではなく、研究室の別のスタッフが中心に遂行している研究テーマだとのことだ。

「わたくしども研究室の特徴はどの研究も映像の撮影から伝送、そして再生までを一貫して研究しているところでしょうね。このようにシステム全体で映像情報について研究しているところは少ないはずですよ」

こうして自信のほどを覗かせる杉山先生。さらに今後の研究テーマとして、より合理的で画期的な新しい映像信号処理のシステムにも挑んでいきたいと抱負の一端を示す。

「いずれそう遠くない時期に詳しく発表できるでしょう」

現段階ではこう語るのみでだが、その具体化の日がいまから待たれるところだ。

IT基礎スキルを幅広く習得してほしい

キャンパス外周へと続くケヤキ並木
実験器具を操作する杉山先生

成蹊大学情報科学科の学部生が各研究室に配属になるのは3年次の後期から。杉山研究室には例年10人前後が配属されてくる。当然ながら人気の研究室だけに希望者は多く、毎年度選抜になっている。3年次前期までの成績と、先生が面接して研究に懸ける意欲をはかって決めているそうだ。

「研究室入りした学生には、まずプログラミングと映像処理の勉強を兼ねて、自分でプログラミングして映像にするまでの作業を覚えてもらいます。
映像処理については専用のソフトウエアもあるのですが、そうしたソフトは使わなくてもやれるというのが原則です。1年次から学んできたC言語知識を積み重ねていけば自分ひとりでプログラミングできるはずですからね」

こうして3年次後期に基礎技術を身に付ける。そして4年次春からはそれぞれの卒業研究に入る。

「この研究室での卒研はすべて個人研究です。グループ研究も可とすると、どうしても個々レベルで曖昧なところが出てしまいがちですね。各研究テーマについては、わたしの方でいくつか用意したもの中からそれぞれ選んでもらっています」

あらためて杉山先生が学生指導で心掛けていることについて最後にこう語ってくれた。

「この研究室では映像信号処理について学ぶわけですが、卒業後も同じ映像信号処理の仕事に就けるとは限りません。そのため映像信号処理を学ぶ一方で、プログラミングであるとかコンピュータの操作であるとか、IT情報技術の基礎的なスキルについても幅広く習得するよう指導しています」

学生たちの需要としても、むしろITスキル一般のほうに人気があったりもするという現実的な事情もあるらしい。

「卒研に挑む4年次の学生諸君は、翌春から社会人になって実際の職場に入って働くことにもなります。ですからビジネス一般の段取りから作業・後片づけまできちんと仕事として出来るようになってほしい。たとえ研究テーマはそれぞれ別でも、研究作業では協力し合って共同作業することに慣れるようにも指導しているつもりです」

こんな生徒に来てほしい

わたしたち情報科学科は理工学部に属しますが、本学には同じキャンパス内に文系学部もあって、クラブ活動などいっしょにする機会も多いといえます。それだけに、あまり理系のことだけに懲り固まらずにバランス感覚のいい人のほうが向いているような気がします。
IT分野というのは、技術としては応用系に属します。応用技術の開発者というのは、基本的なプログラミングに加えて、応用技術の使われ方などもよく知っていなければなりません。そのため社会的なことなどにも関心をもつ必要があります。ぜひ、そんな人に来てほしいですね。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。