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GOOD PROFESSOR

明治学院大学
社会学部

宮田 加久子 教授

みやた・かくこ
東京生まれ。1986年東京大学大学院社会学研究科社会心理学専門課程博士課程満期退学。’86年帝京大学文学部社会学科専任講師。’86年同助教授。’96年明治学院大学社会学部社会学科助教授。’97年より現職。’02、’03、’05年トロント大学(カナダ)客員研究員。政府系各種委員を多数歴任。日本社会心理学会出版賞(’05年)。大川財団出版賞(’05年)。情報通信学会最優秀論文賞(’10年)。
主な著作に『ソーシャル・キャピタルのフロンティア:その到達点と可能性』(共編著・ミネルヴァ書房)『きずなをつなぐメディア――ネット時代の社会関係資本』(NTT出版)『Social Capital:An International Research Program』(共著・米国で出版)などがある。
宮田先生主宰の「宮田加久子研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.meijigakuin.ac.jp/~miyata/

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社会関係資本の視点でIT社会分析

宮田研究室のある明治学院本館
白金キャンパス正門脇のパネル

明治学院大学社会学部は社会学科と社会福祉学科の2学科からなる。今回紹介する宮田加久子教授は社会学科に所属する。まずは同学科の特徴から伺った。

「大きく3つの特徴があります。第1に1~4年次まで少人数のゼミ形式の授業が用意されていることです。1年次の基礎ゼミに始まり、2年次からは3つのコースに分かれて専門的なコース演習がおこなわれます。さらに3~4年次になるとより専門的な専門ゼミで学びます。そのいずれもが少人数制クラスであること。これが第1の特徴ですね」

このほかに教員の指導で専門書を講読する授業が多数あって、学生は興味のある授業をいくつでも受講できるのだという。なんと知的好奇心を刺激する試みであろう。

「第2の特徴は、社会調査の実習に力を入れているところです。これも少人数クラスに分かれて、2年次に調査について座学で学び、3年次に現地調査やアンケート調査などの実習をおこないます。この調査では学外に出て世代や階層の異なる人々と接することができます。これが学生たちには良い経験になっていますね」

さらに「社会調査士」の資格取得を希望する学生にはさらに多くのカリキュラムまでもが用意されている。

「3つ目の特徴は、先にもいった2年次から始まるコース制でして、『メディアと文化』『生命と身体』『環境とコミュニティ』の3コースからなっています。ただ、この段階でのコース制は学ぶためのガイドライン程度のもの。ほかのコースの科目を履修したり、3年次からの専門ゼミで他コースのゼミを取ったりすることも出来ます」

このように社会学科内におけるコースの縛りはとても緩やかになっている。それだけに学生たちにとって視野広く自由に学ぶことができる学科だとも強調する。

人と人とをつなぐSNSメディアへの期待

明学白金キャンパス点描
学生いこいの場「ヴォーリズ広場」

そんな宮田先生の専門は「社会心理学」だ。その学問分野の説明についてお聞きすると――

「人間は社会で他の人たちと互いに影響し合いながら生きています。そのなかで、我々はどんな影響を受けて生活したり行動をしたりしているのか、それらを探る学問分野です。非常に広範囲のことを扱いますが、要約すると『自己』『集団』『社会』の3つになります」

ここでの「社会」とは、社会的文化的制度のなかの人間行動を扱う分野であり、たとえば世論やマスメディア・インターネットの効果などについての研究をさす。宮田先生の研究テーマは――インターネットを中心に、それら社会的メディアが個人や集団あるいは社会にどのような影響を与えているかについて――である。インターネットが及ぼす影響を『社会関係資本』の視点から分析研究する第一人者とされる。

「ここでいう『社会関係資本』とは、人と人のあいだに埋め込まれた社会的な資源のことで、社会的なネットワークや人と人との信頼関係のことをいいます。それが緊密かつ広がりをもつことで、社会的な豊かさが実現されるのではないか。そのための有効な手段がインターネットではないのか? それらを実証していく提案型の社会心理学研究といえます」

かつてインターネットは情報を得る社会的ツールのひとつに過ぎなかったが、いまや人と人とをつなぐメディアに変じているというのが宮田先生の見解だ。

「ツイッター(Twitter)やフェースブック(Facebook)など、新たなソーシャル・メディアの登場によって、その傾向はますます強まっています。ただ、日本ではまだ知り合いのなかだけでの情報交換というのが大半です。本来のネットは、未知の人々や異質な人々を結びつけるところがメリットなのですが、そうした利用は少ないのが実情ですね。日本人の特性なのでしょうが」

そうした日本でも3・11東日本大震災以後、身近な知り合いの範疇を超えて未知の多様な人々の間でつながりあおうとする変化の傾向も出てきている。「これをキッカケにして変わっていくと素晴らしいのですが」と期待を寄せる宮田先生だ。

自立的・自律的な社会人が育つ「放牧主義」

明学の象徴・チャペル(礼拝堂)

明治学院大学社会学科の専門ゼミ演習は3~4年次の学生が対象である。宮田ゼミでは、3年生は定員いっぱいの15人ずつを受け入れている。それでも人気のあるゼミだけに希望者が多く例年選抜になっているそうだ。

「選抜の方法は面接になりますが、わたしのところでは今年度から5人ずつでグループディスカッションをしてもらっています。これまでの個人面接では見えなかった面が見えたりして、この方法に変えてよかったですね」

なお4年次ゼミ生はそれぞれの卒業論文作成と就職活動等もあるため、ゼミ活動の中心は3年次ゼミ生になる。その3年次ゼミ生の前期は文献講読に充てられ、後期には社会調査をおこなっていく。

「後期の社会調査については毎年テーマを変えています。今年度は『消費者行動の社会心理学』がテーマで、実際の調査はグループで実施します。各グループはそれぞれ立てた仮説を質問調査やインタビューなどの方法で実証していきます。その調査分析の結果をゼミ論にして、それを冊子にまとめて完成になるわけです」

ちなみに今年度の仮説テーマは「口コミ」「パッケージデザイン」「ポップ広告」「プライベートブランド」など、それらが消費者行動に与える社会心理学的影響についてだという。驚くほど多岐にわたる興味深いテーマの数々といえよう。
あらためて学生たちへの指導方針については次のように語る。

「わたしの場合は『放牧主義』ですね(笑い)。やや広めの枠のなかで自由にやってもらいます。みんなの自主性を育てたい気持ちもあります。自ら考えて行動できる自立的(かつ自律的)な人になってほしいと思うからです。マニュアル化されていないことに最初は非常に戸惑う人が大半ですが、しだいに慣れて馴染んできますね」

さらにプレゼンテーションの方法についての指導にも力を入れているという。

こんな生徒に来てほしい

対象は何でもいいので、とにかく好奇心の旺盛な人、疑問や不思議に思うことがあったら調べずにはいられないような人ですね。さらに多様な人と接することができる人、いろんな人と触れ合ってみたいと思う人、そんな人が来てくれたらいいと思います。
いろんな考え方や背景のある人々を受け入れることを「寛容性」といいますが、いま日本社会全体にそれが低くなっていることが大いに心配されます。その寛容性を高めるためには多様な人とのコミュニケーションが大切となってきます。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。