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GOOD PROFESSOR

芝浦工業大学
工学部 土木工学科

伊代田 岳史 准教授

いよだ・たけし
1975年静岡県生まれ。’99年芝浦工業大学大学院建設工学専攻修了(修士課程)。’01年スイス連邦工科大学ローザンヌ校交換留学。’03年東京大学大学院社会基盤工学専攻修了(博士課程)。’03年東京大学生産技術研究所PD研究員。’03年新日鐡高炉セメント㈱入社。同技術開発センター勤務。’09年芝浦工業大学工学部土木工学科助教。’11年より現職。日本コンクリート協会年次論文奨励賞(‘99年と’08年に2回受賞)。’09年セメント協会優秀講演賞。
著作には『コンクリート構造物のマテリアルデザイン』(共著・オーム社)がある。
伊代田先生が主宰する「芝浦工業大学マテリアルデザイン研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.db.shibaura-it.ac.jp/~iyoda/

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震災後ニッポン再生を担う建設材料研究

伊代田研究室が入る「研究棟」
芝浦工業大学豊洲キャンパスの全景

今回紹介する一生モノのプロフェッサーは、芝浦工業大学工学部土木工学科の伊代田岳史准教授である。まず先生は「そもそも土木工学って何なの?」という根本的命題から説明してくれた。

「現役高校生のみなさんは、土木と聞くと道路や橋あるいはダムのような大きな構造物の建設工事だけを想像されるかもしれませんね。ところが土木工学が実際に扱うのは、構築物を企画構想するところから始まり、建設費の確保から設計・材料選択・実施工・完成後メンテナンス・解体撤去そしてリサイクルまで非常に多岐にわたります」

つまりは、ヘルメット姿でガテン仕事をするだけが土木ではないのだ。さらに、伊代田先生のお話は同大学土木工学科の特徴へと続く。

「本学科教員12人のうち半数の6人が土木計画や構想が専門で、わたしを含め残り6人が材料や施工の専門でして、こうしたバランスの良さが第1の特徴ですね。また、講義と実習で少人数指導をおこなっていて、とくに3年次には教員と少人数学生とが向きあう授業がいくつもあります」

さらに芝浦工業大学土木工学科に「社会基盤」と「社会システムデザイン」の2コース制が敷かれていることについては――

「このうち社会システムデザインコースではコミュニケーションやプレゼンテーション・スキルの指導に力を入れ、土木施工計画とか事前説明などの分野の人材育成もしています。これは他大の土木建築学系にはない特徴といえるでしょう」

また土木工学科に限らず今の大学生にとって最大の懸案である卒業後の就職問題については――

「3年次の学生を対象に、学科OB・OGなど社会人の方の話を聞く機会が、講義として毎週土曜日に設けられています。さらにキャリア演習の授業では就職活動に必要なさまざまな指導もおこなわれています」

コンクリート構造物の劣化問題を防ぐ

大学図書館は「研究棟」内にある
豊洲キャンパス脇には船着き場も

そんな伊代田先生の専門分野は「建設材料」「コンクリート工学」「建設系マテリアルデザイン」で、概してその研究対象の中心は「コンクリート」である。

ただ、一口でコンクリートといってもその研究範囲は広い。材料設計から施工方法・メンテナンス・解体撤去・リサイクルまでに及ぶのだ。

いま伊代田先生が研究の中心にしているのは「コンクリート構造物の経時変化による劣化問題」。ちなみにコンクリート構造物の劣化とは、コンクリート内部の鉄筋が腐食して構造物がひび割れたり表面がはげ落ちたりする現象などのことをいう。

「わたしの研究はそうした劣化現象を防ぐための研究になります。そもそもコンクリートとは、セメントと水を混ぜ合わせることで化学反応が起こって固まったものです。その反応の状態によって、劣化の進行に影響を与えることが分かっています。そうしたセメント化学の観点からどのような反応なら劣化が起きないのかについて検討・研究しています」

しかし、何よりコンクリート劣化に決定的な影響を与えるものに現場の施工方法がある。

「同じセメント材料を使って同じ設計によって施工したとしても、『やっつけ仕事』で手抜き施工したものと丁寧に施工したものとでは、劣化時期に大きな差が生じます。さらに施工後の養生(コンクリートが硬化するまでの表面の保護)の方法や期間によっても格段の差になって表われます」

その養生の仕方については、電気的な測定値によってコンクリートの品質期間を保証するための研究をいま展開中だという。このほかには、伊代田先生の研究としてこのようなものもある。

「セメントを製造するときの焼成工程で排出される二酸化炭素の低減化、それを踏まえた新しいセメントの開発、あるいは施工後の補修・補強などの維持管理技術、解体後に産業廃棄物になるコンクリート塊の処理等々についての研究などもしています」

一生モノの仲間とともに積み上げていく

芝浦工業大学周辺に広がる豊洲の街
研究室の学生たちとともに

芝浦工業大学土木工学科の学部生が研究室に配属になるのは4年次の春、4月からである。伊代田研究室でも例年9~10人の学部生を受け入れている。

その配属人数は全研究室均等割りが決まりだそうだが、それぞれの配属先は学部生たちの話し合いで決められるのだという。
「わたしの研究室で扱うのはコンクリートが主体ですから、固まるのに28日間ほどもかかり、さらに劣化を研究するには2ヵ月の期間が必要です。ですからその作業は前倒しでおこなわれるのが原則となります。コンクリートはひとりでは練れませんから、全員で協力していくチームワークが必要にもなってきます。ですから内容的にはかなり厳しい研究室になってしまいますね」

ただ、そうしたハードさこそが逆に一生モノの仲間意識をつくっていく効果にもなっているとも語る。こうして配属になった学部生たちは1年間の卒業研究に励んでいく。

「卒業研究のテーマについては、わたしの方からリストアップして提示する中から選ぶのも良し、学生自身に研究したい具体的テーマがあるのならそれでも良しとしています。それぞれが研究作業に入るのは例年5月の連休明けくらいになりますね」

あらためて研究生・学生たちへの指導方針については次のように語る。

「小中高から大学3年次ぐらいまでは、授業を聴いて暗記・応用しテストを受けるという受け身の学習方法が主体ですが、4年次になると急に自ら問題を発見して解決するというスタイルへの対応に迫られます。こうした事情は社会人になっても同じことです。ですから大学最後の1年間はそのための実践トレーニングという意味も込めて、規律をもって臨むようにとあえて厳しめに指導しています」

こんな生徒に来てほしい

土木工学というのは意外なほどに幅広い分野とかかわっています。国家や自治体の政治・経済問題をはじめ、化学や物理・数学・国語(プレゼン能力)の素養も求められ、国際化に向かっては英語能力も必要になってきました。今やこうしたことを平均的にこなせる人材でありたいですね。
そして、社会に役立つために身を惜しまず動ける人、道路とか橋・ダムなど「地図に残る仕事」に夢を懸けられる人であればさらに向いていると思われます。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。