早稲田塾
GOOD PROFESSOR

東京都市大学
工学部 機械システム工学科

金宮 好和 教授

かなみや・よしかず
1954年ブルガリア生まれ。旧名D.N.ネンチェフ(D.N.Nenchev)。’79年ソフィア工科大学ラジオエレクトロニクス学部卒。’84年同大学院博士課程ロボット工学専攻修了。’84年ソフィア工科大学ロボティクス研究センター研究技師。’86年同助教授。’94年東北大学助教授。’97年新潟大学教授。’99年弘前大学教授。’03年武蔵工業大学(現東京都市大学)教授。
日本機械学会学術論文賞(’99年)。日本航空宇宙学会論文賞(’04年)。
おもな著作には『Motion and Vibration Control』『Advances in Robot Control』(前著とも共著でSpringer社より刊行)『英語で学ぶロボット工学「運動学、動力学と制御」』(コロナ社)がある。
金宮先生が主宰する「ロボティックライフサポート研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.rls.mse.tcu.ac.jp/robotics/index.html

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ロボットの未来を支える「運動制御」研究

金宮先生の研究室が入る「11号館」
世田谷キャンパス南エリア点描

今週の一生モノのプロフェッサーは東京都市大学工学部機械システム工学科の金宮好和教授。

ブルガリア生まれのブルガリア人という金宮先生は、小さいころから機械や回路などのモノづくりが好き――ということで、母国で学んだ大学院以来「ロボット工学」をずっと専門に研究を進めており、妻と息子を伴って’94年に来日した。

当時から日本のロボット研究はアメリカと並んで世界の最先端を走っていたからという。日本各地の大学でロボット研究を続けるうち、この国の風土や人の情が気に入った先生一家は、2004年に家族3人全員で日本国籍を取得して現在に至る。

「わたしの名前の姓『金宮』については、家族みんなで相談して、3人の好きな漢字を勝手に組み合わせて決めたんですよ(笑い)」

流暢な日本語で金宮先生はほのぼのとしたエピソードを紹介してくれた。
そんな金宮先生の専門の「ロボット工学」だが、正確には「ロボットの『運動制御』の研究」となる。とくにロボット運動制御理論、およびそのためのシステムインテグレーション(システムの組み合わせ)についての研究で知られる。

まずは現在手がけているロボット運動制御について、その代表的なものをいくつか解説紹介してもらった。

【単腕ロボット】
「片腕の形をしたロボットで、ひとり暮らしをしている高齢者や病気療養中の人の生活援助・介助を目的にしています。キッチンに用意された朝食をダイニングテーブルまで自走して運んでくることも出来ます。また現在研究中なのが、壁に取り付けた装置を利用して高い棚の上のものを取ってくる作業です。まもなく実用実験に入りますが、成功すれば世界初のことになります」

【ヒューマノイド型ロボット】
「ヒト形をしたロボットで、将来的には生活支援全般の作業をさせたいのです。まだバランスが悪くて外部からの少しの力で転倒してしまう弱点があるので、いまはさまざまな条件の下でバランス強化の研究をしています。ただコストの問題などもあって、このロボットに生活支援を任せられるのはだいぶ先のことになりそうです」

【宇宙ロボット】
「宇宙空間に浮遊している宇宙ゴミを回収したり、故障した人工衛星を修理したりすることを目的にしたロボットで、『単腕ロボット』の改造モデルになります。宇宙空間は無重力ですから、作業活動をすると無反動運動生成の現象で反対方向への運動も起きてしまいます。これをどう制御するのかが大きな問題です」

このほか「双腕ロボット」「多指ロボット」などの運動制御についても研究しているという。

やる気のある研究生・学生こそをサポートしたい

東京都市大学3号館「五島記念館」
新装なった管理部門の「1号館」

次いで金宮先生が所属する工学部機械システム工学科について聞いた。
ちなみに東京都市大学の工学部には「機械工学科」と「機械システム工学科」という、名前からは似ていると思われる学科がある。

「前者の機械工学科が機械材料や機械解析などを中心に学ぶのに対し、機械システム工学科では機械やそのシステムにまで範囲を広げて、制御や電気・電子を含めた計測まで学ぶことになります。さらに機械と電気を融合させた応用アプリケーションとして、宇宙システムやロボットシステムについても学ぶことができます。それが大きな特徴になりますね」

東京都市大学機械システム工学科は「機械システム設計工学」「計測制御」「ロボット宇宙工学」の3コースからなり、学生はそれぞれの興味と関心からいずれかのコースを選んで学ぶ。

機械システム工学科の学部生が各教員の研究室に配属になるのは3年次後期から。この時点では仮配属のかたちだが、そのまま4年次4月からの正式配属に引き継がれるのが普通だ。

金宮先生が主宰する「ロボティックライフサポート研究室」では、2011年度から2教員態勢になり、17人の学部生を受け入れている。人気のある研究室だけに例年配属希望者は多い。そのため配属メンバーは、研究室側からの希望者と成績順でまずピックアップし、そのあとは金宮先生との面接で最終的に選抜される。

「わたしは面接でも成績などあまり重視しません。それよりも基礎的知識がしっかりしていること、そのうえでモチベーションをもって研究をしようとしているかどうかを判断します。このモチベーションがあるかどうかは非常に重要です。やる気・意欲のある人をサポートしたいですからね」

身に付けるべきは課題に立ち向かうための基礎知識

双腕ロボットを前に金宮先生
単腕ロボットを説明する金宮先生

3年次後期に研究室に仮配属になると、まずは「事例研究」といって、配属になった研究室ですでに進行中の研究について学ぶ。そして4年次の4月から本格的に卒業研究に入る。

「わたしの研究室では、研究テーマごとにチームに分かれて研究していますから、配属になった学部生もいずれかのチームに属して研究メンバーになってもらいます。そこでそれぞれの卒研テーマを見つけて各研究に入ってもらうことになります」

あらためて研究室生や学生への指導で心掛けていることについて語ってもらった。

「まず、基礎知識を全員に身に付けてもらいたいということですね。ここでいう『身に付ける』というのは、暗記するということではなく、研究課題に対して自らの頭で考えて解決できる知識をもつという意味です。オリジナリティーが大切だということですね。ですから、わたしの講義の試験では教科書テキストの持ち込みをOKにしているくらいです」

テストの課題からして、自分の頭で考えることを求めているということなのだろう。よく日本人は暗記や改良は得意だが、独創性あふれる「ゼロからの発想」は苦手だと評されがちだ。

「かつては確かにそうだったでしょうが、いまはだいぶ変わってきています。とくに最近の若者にはオリジナリティーが育ってきていますよ」

こんな生徒に来てほしい

わたしの研究の中心はロボット工学ですから、数学と物理が大切な科目になります。それにコンピューターとモノづくりに興味があることも必要ですね。さらにブルガリア出身ですから、外国語とくに英語を学びたいという人に来ていただいても期待に添えるでしょう。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。