早稲田塾
GOOD PROFESSOR

東京経済大学
経営学部 流通マーケティング学科

田島 博和 教授

たじま・ひろかず
1964年東京生まれ。’90年学習院大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了(数学専攻)。’94年同大学院経営学研究科博士後期課程修了(マーケティング専攻)。’94年東京経済大学経営学部経営学科専任講師。同学科助教授をへて’98年流通マーケティング学科開設により同助教授。’08年より現職。
著作には『マーケティング・ハンドブック』(訳書・朝倉書店)『プライシング・サイエンス』(同文館)『マーケティング・コミュニケーション大辞典』(宣伝会議・前著ともに共著)がある。
田島先生が主催するWebサイトのURLアドレスはコチラ↓
http://www.tku.ac.jp/~htajima/

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「武器」3つで立ち向かう市場調査研究

田島研究室の入る6号館建物
東京経済大学国分寺キャンパス点描

「大学の経営学部というのは、会社では何をつくってどうやって売っているのか? また、その一方でお客さんは何を考えてどんなものを買っているのか――そんなことを学ぶ学部なんですね」

経営学部についてそう説明してくれたのは、東京経済大学経営学部流通マーケティング学科の田島博和教授である。先生のお話の続きは――

「その学びの対象は、テレビCMで見ている会社や商品、あるいは日々利用しているコンビニなど身近な題材が多いですから、とても興味深く面白い学問分野だといえますね」

次いで田島先生は、東京経済大学の流通マーケティング学科について解説してくれた。

「経済活動を地球規模でながめて研究するのがマクロ経済学、それをズームインして細かく研究するのがミクロ経済学、さらにズームインして個々の会社活動が経営、商品の運搬・保管が流通、広告や販売活動がマーケティング、お客さんの活動が消費者行動といいます。この学科で扱っているのは、このうちの流通とマーケティング・消費者行動の部分になります」

じつに明快でわかりやすい説明である。また東京経済大学経営学部では、学生の能力に応じた授業の展開をしていることにも触れる。

「たとえば能力が高くて学習に意欲的な学生には『会計プロフェッショナルプログラム』受講を勧めています。このプログラム受講者から今年度も2人が公認会計士試験に現役合格しています。一方で、能力的にやや難のある学生のためには『学習センター』が用意されていて、教職員や大学院生による個別指導や相談がおこなわれています」

この学習センターは経営学部だけでなく全学の学生の利用が可能という。大学全体として学生指導にかける意気込みが伝わってくる。

数学と音楽理論と中国語とで未来を探る

新図書館が着々建築中だった
大学職員常駐の「学習センター」

さて田島先生のご専門は「市場調査」と「流通」である。これらの研究には3つの「武器」で立ち向かうのだという。

「わたしの研究の主テーマは、お客さんが購買商品を選ぶキッカケは何か? そのなぞに迫ることにあります。そのなぞ解明の武器ツールの1つめが『数学』です。たとえばチェーンストアの本部には膨大な数の顧客情報や商品情報が連日入ってきます。それらから消費動向のなぞを読み解くためには、数式に当てはめてみたりコンピューターに入力して分析したりしなければなりません」

じつは田島先生自身、大学の学部から修士課程まで数学を専攻していたとのことで、ここで持ち前の数学ツールが役立っている。

2つ目の武器は「音楽理論」。商品を売るマーケティングに不可欠なのが宣伝広告で、そこに使用されているCM音楽は重要な構成要素になる。しかし従来あまり研究されていない分野でもあるのだ。

音楽のもつ力に着目する田島先生は、CM音楽ばかりでなく店内に流すBGMなどについても研究して、そのマーケティング効果を理論づけたいとも意気込みを隠さない。こちらの研究はまだ始まったばかりの新しい研究である。
そして3つめの武器は――

「それは『中国語』になります。80年代までアジアのトップリーダーは日本でした。しかし今は中国にとって代わられてしまいました。その中国について研究を進めようと、あらためていま中国語学習に取り組んでいるところなんですよ」

そんな田島先生にとって中国関連で最も関心があるのは、東南アジアの国々に住む『華人』とも呼ばれる外国籍の中国人の存在だ。

「華人の中には、その国の経済の実権を握って想像を絶するリッチな生活を送っている人々もおります。そうした人々へのヒアリング調査も始めています」

こうして中国語を武器に、すさまじいまでの富が集中している「華人ビジネス」のなぞについて明らかにしたいとも語る。この分野の研究もほとんどされていないそうで、田島先生の調査結果が待たれる。

これら3つの武器ツールをフル活用して各調査研究に挑む田島先生だが、早くからおこなってきた数学を武器にした研究ではすでに成果もあがっている。

「たとえば駅前立地の店と郊外立地の店があったとして、お客さんがどちらを利用するのかは、単に価格の比較だけでなく、利便性や品ぞろえ・サービスなどを総合的に評価して選んでいます。それらが明確になる計算方法を考えました」

まさに市場調査における消費者行動を探る画期的かつ独創的な計算式なのである。

自らのバージョンアップを一生続けていく

東京経済大学最寄りのJR国分寺駅

東京経済大学経営学部の専門ゼミ演習は2年次から始まる。田島先生のゼミでは例年15~20人のゼミ生を受け入れている。もちろん入ゼミ希望者が40人を超えるという人気のゼミで、その選抜は先輩ゼミ生たちによる面接だという。

先輩ゼミ生たちに選抜面接を任せる理由として、彼らがこれから就職活動で面接を受ける際に、そのときの面接官の気持ちを実感させたいという田島先生らしい木目こまやかな配慮もあるらしい。
そんな田島ゼミの内容概略については――

「1年目ではマーケティングについて書かれた英語テキストの講読が中心です。それに日本経済新聞1面の全見出しの書き出しを日課として課しています。2年目はマーケティングをテーマにした論文作成となります。それぞれ問題意識をもって、仮説を立てて調査し論証するというオーソドックスな方法での論文作成に挑んでもらいます。そして、いよいよ4年次は卒業論文に集中してもらいます」

ちなみに東京経済大学経営学部では卒論は必修ではない。しかし田島ゼミにおいては別だ。

「生まれてから大学卒業までの総決算という意味合いもありますし、わたしのゼミでは卒論を事実上義務づけています」

あらためてそんなゼミ生たちへの田島先生からの指導方針については――

「自らのバージョンアップを一生続けてほしい――ということに尽きます。新しいことを学んだり知ったりする意欲を失うと、そこでバージョンアップは止まってしまいます。ただし漫然と学んで知識を蓄えるだけでは決して役には立ちません。知識を使いこなす知恵と知性も併せもつことが必要です。この年の僕ですが、まだまだバージョンアップは続けていますからね」

こんな生徒に来てほしい

まず、勉強・趣味・スポーツ・音楽でも何でも構わないので、なにか1つ自分なりにこだわるものを持っていてほしい。さらに矛盾するようでもありますが、なるべく幅広い勉強も高校時代までにやってきてほしいですね。
マーケティング研究においても、深く追究していけばいくほど音楽や数学・中国語などさまざまな知識が必要になる――そのことを経験的にわたしは実感しました。子どもが成長するために好き嫌いなく食べることが大切なように、勉強も研究も頭の栄養なのですから、やはり何でも満遍なく学んで自らを磨く努力を惜しまないことが大事なのです。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。