早稲田塾
GOOD PROFESSOR

専修大学
経営学部

李 建平 教授

り・けんぺい
1960年中国江蘇省生まれ。’00年一橋大学大学院経済学研究科応用経済学専攻博士課程単位取得。’03年一橋大学博士(経済学)。’03年専修大学経営学部専任講師。’04年同助教授。’07年同准教授。’10年より現職。国際交流研究所優秀賞(’93年)。
著作には『中国における企業と市場のダイナミクス』『中国における企業組織のダイナミクス』(前著ともに分担執筆・中央大学出版部)がある。
「李建平ゼミナール」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.isc.senshu-u.ac.jp/~thm0664/

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中国企業の民営化インパクトと世界的大転換

李研究室が入る10号館(130年記念館)
生田キャンパス正門の桜は満開だった

今週紹介する李建平先生は専修大学経営学部の教授だが、中国経済に関する講義、「地域研究」(11年)の履修学生はなんと大教室いっぱいの300人以上にも上った。これは経済関連の講義のなかで学部随一の履修人数であり、ゼミの入ゼミ希望者数も学部のベスト3にも入るという。
「いまの日本の若者たちには中国の動向について(中国語や中国経済・中国ビジネスなど)に敏感であり関心のある人が多いんでしょうね。さらに、経済学の講義は理論の話ばかりで一般的に退屈なことが多いのですが、わたしの講義ではたくさんの実例を出して具体的な話をしますのであまり退屈しないのだとも思います」

そう自らを分析する李先生。在籍する経営学部(経営学科だけの単科学部)の特徴については次のように語る。

「本学経営学部はテーマ制を敷いていて、学生は用意された10個のテーマから2つを選択して学ぶことができます。就職活動などでは経営学部で学んだと申告しても漠然としがちですが、このように学びのテーマを絞り込むことで、自分が何を学んだのかを強くアピールできます。学生たちの自信にもつながりますからね」

その10テーマとは「企業と市場・社会」「ベンチャー創造と事業継承」「戦略デザイン」「グローバル・マネジメント」「企業評価とファイナンス」「企業活動と会計情報」「顧客満足とマーケティング」「ビジネス・ソリューション」「人的資源と知識創造」「ITプロフェッショナル」からなる。

中国企業の民営化が進んだ先にある別次元の世界

早春の専修大学生田キャンパス点描
早春の専修大学生田キャンパス点描

李先生の専門分野については、学生時代に応用経済学・計量経済学などを学んで日本のメインバンク・システムについて実証研究をしてきた。現在は「中国の民営企業」を研究していると同時に、その成果を産業組織論や応用経済学などの講義にも応用しているという。

「国共内戦後の1949年に社会主義の国として生まれ変わった中国では、すべての企業が国営化され計画経済のもとで運営されるようになりました。それから約30年後の78年に経済改革が始まります。この改革は、文化大革命後の知識青年層の就業機会として個人の自営業を認めたものです。こうした個人業は資本主義の原則に基づき大きく発展することになります」

しかし’89年の天安門事件によって国際的に経済制裁を受けることで、それまで順調だった中国経済は停滞を余儀なくされる。

「そこで’92年、時の中国政府は市場経済への移行を決定します。これによって多くの非公有企業(民営企業)が生まれ、同時に多くの海外企業の進出もあって、中国経済は大躍進することになります。いまやGDP(国内総生産)は日本を抜いて世界第2位となり『世界の工場』といわれるまでに発展を遂げました」

ただし、これでも全ての公有企業が民営企業化されたわけではないことに注意が必要とも語る。

「中国GDPの6割を占めているのが民営企業ですが、じつは基幹産業の重要なものはまだ民営企業化されていません。通信や金融・鉄鋼・鉄道・郵便などその大半はいまも国有企業が独占しています。次第にこれらも民営企業化されていくものと見られていますが、社会主義政治体制との関係もあって微妙な問題なのですね」

その歴史的ターニングポイントとも予想されるのは、今秋(12年)にも開催が予定されている第18次中国共産党全国代表大会だろうと李先生は予想する。

「第18次中国共産党全国代表大会以後、中国の政治改革が本格的に始まるだろうと期待されています。そうなると国有基幹産業の民営化も一層進むでしょう。その意味で今度の大会は重要で、わたしも非常に注目しています」

ゼミ生が引き継ぐ「議論」「マナー」リテラシー

研究室内でパソコンに向かう李先生

専修大学経営学部の専門ゼミは、3~4年次学部生が対象である。李先生のゼミの定員は各15人ずつ。冒頭にも書いたように同ゼミは入ゼミ希望者が多く、毎年当然のように選抜となる。

「選抜の方法は面接で、わたしと先輩ゼミ生の代表が別々に面接します。わたしは入ゼミ希望者の学習面をチェックポイントにし、先輩ゼミ生たちはどんな個性なのかをポイントに選考します。あとで双方の意見を突き合わせて、15人前後のゼミ生を決める方式を採っています」

李ゼミの基本テーマは「市場構造と経営戦略」。市場構造が変化すると企業経営戦略の手段も変わってくる。ここでは市場構造と経営戦略の手段などの基本を理解して、経済の現状と未来を経済学的に分析する能力を培うことを目的としている。

「ゼミは3~4年次合同でおこないます。このうち3年次の前期には産業組織論と経営戦略についての専門書の輪読、それに卒業論文に向けた研究方法と書き方を学びます。3年次後期は各自関心のある先行研究を要約していきます。4年次になると卒論の作成と発表になります」

専門書の輪読についてのみ、章ごとに担当を決めたグループ活動となるが、そのほかは個人研究が基本となる。あらためてゼミ生たちの指導方針については次のように話す。

「学生には論理的に議論することが得意でない人が多いので、学生同士でディベートする機会を設けるように意識しています。まず議論をさせて分からない箇所を説明するというスタイルですね。また常に言っていることとして、先輩ゼミ生から後輩への『マナーの継承』があります。就職活動でも恥ずかしくないという意味も込めて、社会人としての基本マナーを身に付けてほしいからですね」

ゼミでの一大イベントといえばゼミ合宿だが、李ゼミの合宿では「卓球大会」が恒例となる。なんと! これまで歴代の卓球大会において李先生を負かしたゼミ生はただの1人もいないという。高校時代に関東大会出場という手練のゼミ生も過去いたらしいが、本場仕込みの先生の相手では到底なかったようだ。

こんな生徒に来てほしい

いまの若い人は文章力がますます弱くなっている気がしますね。自分の考えていること、言いたいことが相手にはっきり分かりやすく伝わるように書く能力を身に付けないと何も始まりません。大学へ進学する高校生にとって、まずはそれが最低の基本条件になると思いますよ。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。