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GOOD PROFESSOR

工学院大学
情報学部 情報デザイン学科

長嶋 祐二 教授

ながしま・ゆうじ
1953年東京生まれ。’80年工学院大学大学院工学研究科(修士課程)電気工学専攻修了。’80年工学院大学工学部電子工学科助手。’89年同講師。’94年同助教授および大学院情報学専攻助教授。’99年情報工学科新設により転属。助教授。’03年同教授。’06年情報学部新設により転属し現職。
主な著作に『会議・プレゼンテーションのバリアフリー』(共著・電子情報通信学会)『基礎から学ぶ手話学』(分担執筆・福村書店)『情報福祉の基礎知識』(編著・ジアース教育新社)などがある。
長嶋先生が主宰する「人間科学・福祉情報科学研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~wwc1015/index.html

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本質からの「人間支援」「福祉情報科学」

工学院大学新宿校舎ビル(手前右)
この15階に長嶋研究室がある

工学院大学情報学部は「コンピュータ学科」と「情報デザイン学科」からなる。今回登場いただく長嶋祐二教授は情報デザイン学科の所属である。まずは同学科の特徴から聞いていこう。

「この学科ではまさに『情報をデザイン』していくわけですが、この情報の定義をかなり広くとらえて、ヒト生体内でのミクロな情報交換から、社会を動かすようなマクロな情報までを範囲としています。つまりは遺伝子・細胞レベルの生体情報から、ことばによるコミュニケーションや認知科学、そして社会基盤までをもデザインの対象としているわけです」

こうして、アニメやCGなどの映像コンテンツや、Webページ作成まで出来るよう教育指導と実地研究がされていく。ただし、情報を広くとらえることが際限もなく広がって、学べる分野が不明瞭となってしまっては、かえって受験生には不親切であろうという配慮もあり、新年度(13年度)からは入試制度を一部改めることについても準備を進めているという。

「情報分野をもっと分かりやすく『人間』と『知識』『コンテンツ』の3つの柱に分けてしまう方針です。どの柱の分野を学ぶにも必要な基礎知識に対応する試験科目を決めて受験してもらう予定となっています」

詳しくは工学院大学URLに適宜アクセスするか、同大学アドミッションセンター(TEL03-3340-0130)まで逐次問い合わせて欲しいとのことだ。

さて工学院大学情報学部にはさらに特典的な特長があることも知ってほしい。つまり工学院大学の他学部では1~2年次を八王子キャンパスで学び、3年次から新宿キャンパスで学ぶのが通常とされる。ところが情報学部に限っては、1年次から4年次までの4年間をずっと新宿キャンパスで学ぶことができるのだ。

「本学の新宿キャンパスは、一大中心エリアである新宿新都心のなかに立地しています。まさに情報についての研究や教育には一等地ですね。とくに外部講師を招いて特別講義をお願いするときでも、キャンパス周辺には情報関連の先端企業が集中していて、とても便利なのです」

それに伴って、年を重ねるとともに学部教員陣の質がますます充実していることも是非ひとつとして挙げておきたいとも語る。

本質的を見極めたうえで見えてくるオリジナル

工学院大学新宿キャンパス入り口

そんな長嶋先生の専門は、あえて言えば「ヒューマンインターフェース」であり、「人間支援」がテーマだ。この長嶋先生の研究コンセプトが実にユニークかつ示唆的なのだ。まず、その点から聞いてみよう。

「人間を支援するのがテーマですが、支援のカタチ形式から考えるのではなく、ヒトという生命体がもつ不思議さのようなことから追究していきます。たとえば『人はなぜコミュニケーションがとれるのか』といった疑問をどんどん追究していきます」

そうした過程において長嶋先生は手話に出合う。

「すると、日本語などとは別次元の言語としての手話にも気づいてきます。そこから手話について言語学の視点から研究していきますと、その中から手話を使用する障碍をもつ人たちを支援する具体的な方法が見えてきたりもするのです」

ごく常識にとらわれた小手先の支援ありきではなく、ヒトの本質的なことをも見極めたうえで見えてくるオリジナルな問題意識をもって障碍者支援の方法づくりへと力を注ぐということなのだ。こうして長嶋先生たちは現在、手話そして視覚認知の弱い子供たちへの支援をおもな研究テーマにしてきた。

「手話の支援については医療用手話の研究に取り組んでいます。具体的には、新たに医療系の手話単語700語を考案しまして、その全単語の動作を42台のモーションキャプチャーカメラ(人体の動作を分解して記録する特殊カメラ)で撮影しました。現在そのデータを解析中で、それをもとに医療用手話のアニメーション辞書を制作することが目的です。この手話アニメーションはNHK放送技術研究所との共同で研究しています」

360度どの角度からでも見られる画期的な「辞書」をめざしており、そのために42台もの高額な特殊カメラが用意されたのだという。もう一つは視覚に発達障碍のある子どもたちのための支援の研究である。

「発達障碍児のなかに視覚認知の弱い子どもがおりまして、図形や漢字などを正確に認知できないことがあります。そうした子どもには図形などがどのように見えているのか、ある普通学級の小学校や視覚発達センターなどの協力を得て500例を集めました。そこから通常発達の子どもと視覚認知に問題のある子どものデータから障碍や病気の原因を探り、どんな支援ができるのかを考えたいと思っています」

ここでも、まずは本質を見極めてからの研究開始という長嶋先生独特の流儀は変わらない。工学系としての福祉情報科学研究の模範を見るような想いもしてくる。

疑い調べ考えて混沌の21世紀を自ら生き抜こう

新宿駅西口から望む工学院大学ビル

工学院大学情報デザイン学科の学部生の研究室配属は、3年次2月ごろの仮配属をへて、4年次の4月から本配属になる。配属になる学生は各研究室とも10人前後だが、学生の希望を配慮しながら学科のほうで均等に割り振ってくるのだという。

したがって、どんな学生が配属されてくるのか、仮配属になるまでは長嶋先生らにも知らされないのだそうだ。これまたユニークな面白い決め方でもある。

「わたしの研究室の研究内容は、子どもが相手であったり病院へ行ったりと、フィールドワークが多いのが特徴です。当然ながら、外部の方と共同作業により話したりディスカッションしたりする機会が多くなりますから、コミュニケーションのスキルは身につきますね」

さらに配属学生の卒業研究のテーマについては、本人の希望を聞きながら長嶋先生とで話し合って決めていく。その研究の範囲は、先生が現在研究中のテーマはもちろん、過去のテーマから選んでもOKだという。あらためて学生たちへの指導方針については次のように話す。

「いつも言っているのは『なぜだろう?』という疑問を常に持ちなさいということです。どうも、いまの学生の多くは考えることをあまりしません。あまりにまじめで素直すぎて疑うことを知らないのですね。それでは未来など拓けません」


「まずは物事について疑問をもち、それがどうなっていくのかを自らの頭で考え理解することが重要です。そうした自主性が育っていないと、社会に出て働くようになってもきっと面白くないだろうと思いますよ」

こんな生徒に来てほしい

大学に進学したら思い切り勉強をしてみたい。なにか目標があって是非それをやり遂げてみたい。そんな人に来てほしいですね。とにかく「なぜ?」「どうして?」「どうなるんだろう?」という自分ならではの発想法を身につけてほしい。そのためには先生をつかまえて、質問をどんどん浴びせることですね。そうすれば大学生活もかなり楽しくなりますよ。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。