早稲田塾
GOOD PROFESSOR

玉川大学
工学部 機械情報システム学科

白崎 博公 教授

しらさき・ひろきみ
1952年福井県生まれ。’79年大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了(工学博士)。’79年日本学術振興会奨励研究員。’82年玉川大学工学部電子工学科講師。’90年同助教授。’01年同教授。’08年学部改組により現職。この間’92年米UCLA大学ロサンゼルス校に留学。
著作には『光学実務資料集』(情報機構)『Recent research developments in electronics & communications』(Transworld research network)がある(著作はいずれも分担執筆)。
先生が主宰する「白崎研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.tamagawa.ac.jp/teachers/shira/index.html

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ナノレベル電磁波・光解析のパイオニア

白崎研究室の入る8号館「工学部・教職センター」
世界的半導体製造技術者が集まる光技術国際学会主催「応用露光技術会議」(SPIE Advanced Lithography)にて

今週紹介するグッドプロフェッサーは、玉川大学工学部機械情報システム学科の白崎博公教授である。まずは、所属する機械情報学科について話してもらおう。

「この学科では、機械・電子・情報・通信の4分野を扱っています。学生たちは3年次の夏から研究室配属になり、それぞれが得意な(あるいは興味のある)分野に進んで研究に入ります。大卒者の就職難が世間の話題になる時代ではありますが、じつは本学科が扱う4分野とも求人数が多く、とても就職状況は良好なのですよ」

さらに玉川大学の全学的な大きな特徴として担任制を敷いていることがあげられる。

「これは形式的なものではなくて、担任教員は1人ひとりの学生に対し勉学や進路について同じ目線で相談を受け、親身な進路指導を行っています。『師弟同行』が本学の教育理念のひとつなのです」

つねに学生の立場から学びの環境を整えていく――これこそが玉川大学の際立った姿勢とも語る。

超微細技術を支える「スキャトロメトリ」光解析

研修行事で就職指導をおこなう白崎教授
初春の候の玉川学園正門付近

白崎先生のご専門は「電磁波・光解析」だ。かつて先生は、大学講師時代に直属教授との共同研究で「マイクロ波テーバ導波管」の長さを3分の1以下に押さえることに成功した。これは世界初の快挙となって、大いに功績を称賛されたことでつとに知られる。

さらに現在は、「限界寸法」ともいわれる超微細な寸法について、光波を用いて計測する「スキャトロメトリ」(光波散乱計測、英scatterometry)の研究における世界的権威として揺るぎない地歩を確立している。

「いまや半導体やLSIの世界では、線路幅がサブ10ナノメートルという微細な精度での製造が求められています。そうしたフォトリソグラフィ(Photolithography)工程における回路パターンの限界寸法計測では、非破壊・非接触で瞬時に測って誤差を修正する必要があります。その計測に用いるスキャトロメトリについて、日本初の理論化と実用化に成功しました」

白崎先生がこの「光波散乱計測」に注目して研究を始めたのは88年のこと。当時、半導体の線路幅スケールはミクロン単位だったため、顕微鏡での計測が常識とされた。当時ほかの研究者からは一顧だにされない中での研究でもあったという。

「それが10年ほど前から半導体製造がナノスケールでのオーダーになりました。すると線路幅が光の波長より小さくなり、一般の光学顕微鏡では計測できないという事態になり、スキャトロメトリが急に脚光を浴びることになったのです」

それからの白崎先生は、主だったコンピューターや半導体のメーカーに指導したり共同研究したりする超多忙な日々が続く。

米国シリコンバレーでの研究発表も毎年の恒例になっているという。注目される今後の研究テーマについては次のように語ってくれた。

「大手化粧品メーカーとの共同で光波散乱解析の技術を応用した美肌効果の研究、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から依頼された電磁波解析の研究、光学メーカーとのスキャトロメトリの最適設計を応用した設計開発――こうしたものが主な課題になります」

60点でいいから即実行! 厳しくも愛ある熱血指導

学園正門近くにある「玉川池」
最寄りの小田急・玉川学園前駅

学部開設当初の40年以上前から、玉川大学工学部では「工場実習」が履修科目の1単位として認められてきた。工場実習とは、いまや全国的に認知されて広がった「インターンシップ」のことであり、その先駆けでもあった。玉川大学工学部のインターンシップを現在担っているのは白崎先生である。

「インターンシップは、就職活動に先駆けて実際の企業で働いてみることにより、労働の意味や感触を得て就職後に感じるミスマッチを防ぐことがねらいです。実際にインターンシップを経験した学生たちは顔つきが変わって帰ってきますから、その効果の大きいことが分かります」

玉川大学へ赴任後しばらくしてから、ずっとインターンシップを担当する白崎先生は、インターン受け入れ企業の開拓に努め、一時は100社を超える企業に学生を送り込んだ実績を誇る。インターンシップ推進センター監修の解説ビデオ(全3巻)には、白崎先生自ら出演しているほどの熱の入れようでもある。さらに近年は工学部の就職担当も務めている。

「学生に対する教育はもちろんのこと、その入り口から出口(就職)までの責任が大学にはあるというのが私のモットーなのです。いわゆるキャリア教育にも力を入れて、外部講師による就職対策ビジネスマナー講習や模擬面接、企業側担当者と学生との懇談会、さらに工場見学なども実施しています」

白崎先生は、東京経営者協会主催の「就職・採用担当者の産学交流会」にも必ず参加する。同交流会は就職担当の大学職員が参加する集まりで、なんと教授として参加するのは白崎先生ひとりだけだ。ところで、玉川大学工学部の就職率は、97.2%(2010年度)という驚きの高率を誇っている。


玉川大学工学部における学部生たちの研究室配属は3年次の夏からである。白崎研究室に配属になると、まずは文献講読と先行研究調査、さらにコンピュータプログラミング演習などから始めて、それぞれが4年次におこなう卒業研究のテーマを絞っていく。

なお白崎研究室では市販の数値シミュレーションソフトの使用は許されず、学生たちはプログラミングから自分でしなくてはならない決まりだ。

学生指導に人一倍熱心な白崎先生だが、学生を甘やかすようなことは決してない。あらためて研究生たちへの指導方針については――

「わたしの研究室では『白崎研究室7ヶ条』というのを定めていましてね(笑い)。なかでも『パーフェクトを求めないで、目標は60点でいい。それを即実行すること』『できない理由より、やる方法を考えよ』――この2点を特に強調して指導しています」

こんな生徒に来てほしい

今も昔も資源的に恵まれない国はアイデアで勝負するしかありません。何もないところからできる勝負はアイデア以外にありません。そうした新たな発想力や技術力を求めるバイタリティーあふれるような人に来てほしいですね。
そのためにも、大学進学にあたって学力偏差値ばかりに頼るのは感心できません。本当にやりたいものが何かを自ら真剣に見極めつつ、自らの意志によって大学も学部も学科も選ぶべきでしょう。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。