早稲田塾
GOOD PROFESSOR

城西大学
経営学部 マネジメント総合学科

小野 正人 教授

おの・まさと
1958年高知県生まれ。’82年東京大学経済学部経済学科卒。’82年新日本製鐵入社。’87~’89年経済企画庁(現・内閣府)に派遣。経済白書作成メンバー。’89年日本生命入社。ニッセイ基礎研究所勤務。’95年米スタンフォード大学客員研究員。’98年日本ベンチャーキャピタル勤務。’04年日本テクノロジーベンチャーパートナーズ勤務。’12年城西大学経営学部教授就任。’12年同大学院経営学研究科教授(兼任)。
著作には『ゼミナール これからの企業金融・財務戦略』『ベンチャー起業と投資の実際知識』(前著ともに東洋経済新報社)『ベンチャーズインフラ― 攻めのセーフティネットをつくる』(共著・NTT出版)がある。
「小野研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.josai.ac.jp/~ono

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混沌の世紀を生き抜くために企業を知る

小野研究室が入る17号館
ケヤキ並木が続くキャンパス内

城西大学のメーンキャンパスである坂戸キャンパス(埼玉県坂戸市)は、秩父山系に源流をたどる高麗川の河畔に建ち、緑と木立が続く開放的で明るい雰囲気だ。坂戸キャンパスで斬新な構造が目につく17号館で、経営学部マネジメント総合学科の小野正人教授にお話をうかがった。

小野先生の研究室は講義のある教室と同じ5階、学生が気軽に入れる雰囲気だ。小野先生といっしょに研究室に行くまでに数人の学生が声をかけてくる。陸上競技部長をされているから、スポーツをやっている学生があいさつをして来るのだという。研究室で小野教授の講義の内容をお聞きした。

感心したのは、毎年自分で独自のテキストブックを作られていることだ。担当する「アントレプレナーシップ」(Entrepreneurship)の講義では、オリジナル・テキストブックが用意されている。また、「ミクロ経済学入門」「マクロ経済学入門」の講義では、自ら作成編集したパワーポイントのプレゼンテーションに合わせてサブノートも配布している。

そのプレゼンテーションを実際に写し出してもらったが、講義そのものだけでなく、わかりやすい図表・イラストや、その講義に関するビデオまで作成されており、丁寧に設計されていることに驚く。まずは『アントレプレナーシップ』から解説していただいた。

「『アントレプレナーシップ』は、ゼロの状態から何かしらの価値をつくり出していくことを指し、『ベンチャー』(Venture)という会社の意味とは違って、より広い概念として使われています。わたしは自ら価値をつくり出すアントレプレナーシップの精神にならって、学生たちが未来を自分の力で拓いてほしいという期待を込めて授業をしています」

大学生の就職難がいわれて久しい。ギリシャなどヨーロッパでは二十代の失業率が20%をはるかに上回るという。グローバル・スタンダードが政治・経済・社会のあらゆる場面で広がり続けるなかで、ニッポン型の正社員雇用形態も危機を迎えている。

このような先の見えにくい混沌の世紀をたくましく生き抜くために、学生には自分でゼロから道を切り拓くアントレプレナーシップという知を身につけてほしい――こうした熱い意気込みを込めて学生指導を続ける。

そんな小野先生が所属する城西大学経営学部は、(1)企業マネジメント(2)行政マネジメント(3)環境マネジメント(4)健康スポーツマネジメント(5)グローバルマネジメント――の5コースで構成される。

「本学の経営学部は『マネジメント』(Management)をキーワードにしています。マネジメントとは、人が組織を作っておこなう社会活動を、どのように効率的で公正で望ましいものにしていくかを考えることです」

なかでも、健康スポーツや環境についてのマネジメントを学べるのはかなり異色といえよう。これらのコースについては、在学中に他のコースに移動でき、また他コースの科目履修も可能とするなど、学生主体の制度になっているのも特長だ。

アントレプレナーシップ企業金融研究の主導者

学食がある坂戸キャンパス3号館
プレゼンソフトを駆使する講義風景

小野先生が研究分野としているのは「アントレプレナーシップ」と「コーポレート・ファイナンス」(企業金融、英corporate finance)、それに「経営史」である。ここでは前2者について解説してもらった。

「アントレプレナーシップの実例は『Facebook』が有名ですね。Facebookは2004年に当時ハーバード大学の2年生だった、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)が寮の自室で始めたソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)ですが、現在のユーザー数は世界中で9億人を突破しています。Facebookはこの5月には株式を公開しましたが、時価総額は9兆円を超えてトヨタ自動車に匹敵するまでになっています」

このほかAppleやGoogle、Twitterなどの新興のIT企業は、いずれも大学生などの若者たちがゼロから創業して、現在では世界を席巻するようなグローバルな巨大企業に成長している。

「こうしたアントレプレナーシップの理論や知識、あるいは具体的な起業ストーリーを学ぶことは、若い学生の将来の知力になるでしょう。そういう思いを込めてオリジナルのテキストブックを作りました。日本も必ずアントレプレナーシップの時代がやって来ますから、その意味を理解しておかないとちゃんと生きていくことが困難な時代になるかもしれない――そんな予感がします」

もう1つ「コーポレート・ファイナンス」については次のように説明してくれた。

「商売とお金は古今東西どこまでも切っても切れない関係で、21世紀のいまも変わっていません。企業経営にとって、ファイナンスはスポーツのリレーでいえば最後のアンカーです。ファイナンスによって、企業の価値も重要な取引も決められているのです」

なかでも小野先生が特に注目して研究しているのが、アントレプレナーシップにおけるファイナンスだという。企業家が事業に乗り出すのは数百年以上昔からで、人間の歴史そのものだが、そのような時代から新しい事業に対する『ベンチャー・ファイナンス』というものがあった。いま先生は、アメリカの過去200年間のベンチャー・ファイナンスの研究に取り組んでいる。

こんな生徒に来てほしい

日常の1つひとつの本質を考えようとする学生といっしょに学んでいきたいと思います。たとえば、身近にあるゲームでもケータイでも、なぜ人々の関心をとらえて世に拡がったのかを多方面からじっくりと考えてみることです。そこから自分と経済社会との接点と関係が見えてきます。
高校までとは違って、城西大学の経営学部では実社会を意識した目的合理的なテーマを軸に学んでいきます。社会の本質を意識できる人が大学時代も卒業後もすばらしい人間になる可能性が高いでしょう。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。