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GOOD PROFESSOR

明治学院大学
法学部 法律学科

今尾 真 教授

いまお・まこと
1965年群馬県生まれ。’90年法政大学法学部法律学科卒。’97年早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学。’97年明治学院大学法学部専任講師。’00年同助教授。’06年より現職。この間’03年仏パリ第Ⅱ大学民事法研究所客員研究員。現在、明治学院大学学生部長、体育会ラグビー部長、体育会ワンダーフォーゲル部長。裁判所職員採用試験総合職試験第2次専門試験試験委員(民法)。港区社協成年後見利用支援センター運営委員会委員長。主な著作に『民法入門』『ガイドブック民法』(両著とも嵯峨野書院)がある(著作はいずれも共著)。
今尾ゼミOBが主宰する今尾ゼミ紹介URLのアドレスはコチラ↓
http://www.geocities.jp/imao_seminar/index.html

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民法・成年後見制度の日仏比較研究

今尾研究室が入る明治学院大学「本館」
明治学院白金キャンパス点描

今回登場願うのは、明治学院大学法学部法律学科の今尾真教授である。所属する明治学院大学法律学科について伺うと、先生は4つの特長をあげてくださった。

「まず第1が学習カリキュラムの工夫ですね。とかく法律学の学習は難解・冗長であるとされますが、本学科では学習課程を(1)導入(2)基礎(3)基本(4)発展・定着――の4段階にわけて、法律の知識を各段階的に応じて習得できるようなカリキュラムを組んでおり、これを少人数クラスで学ぶことができます」

さらに卒業後の進路(一般企業・公務員・法曹)に応じて、それぞれの専門科目が学べるようにもなっているという。そのために、なんと140をも超える法律系科目が開講される。そのなかには21世紀初頭ニッポン社会を反映した最先端分野の科目も含まれる。その1つ法律学特講の「成年後見法制演習」は今尾先生も担当する。

「第2の特徴は大学院生らによる学習サポート体制の充実です。これは法律学科と消費情報環境法学科だけでの試みで、『特別TA』(Teaching Assistant)として大学院生が学部生の質問に答えたり、相談に乗ってくれたりする制度です。学部生には非常に好評な制度ですし、担当する院生たちにも良い経験になっていますね」

また第3は、学科内に「国家試験対策室」が設置されていて、法律職・行政職などの公務員や各種の資格取得を希望する学部生を対象に課外講座が開講されている。さらに第4の特長として、法学部OB・OG会「白金法学会」の存在も外せない。いわゆる卒業生の親睦団体などとは違って、教員や学部生との3者交流を図りながら、その進路相談や就職活動のサポートもしてくれるという。

こうした明治学院大学法律学科の学習・キャリアサポート両面における充実ぶりは、就職難時代にあっても約9割の就職内定率を実現していることからも窺える。

.担保となった動産・不動産の所有権帰属をめぐる悩ましさ

四万十川における夏ゼミ合宿
他ゼミとの合同討論会の様子

今尾先生のご専門は「民法」である。

「民法は、日本の近代的な立法のなかでは一番古い法律で、人が生まれてから死ぬまでの人生すべての段階(さらに相続や遺言は人の死亡後も)にかかわる法律です。ですから人が日常生活を送るための基本的な法律だといえます」

その民法研究のなか今尾先生がずっとテーマにしてきたのが、「担保法」と「成年後見法の研究」である。まずは担保法のほうから伺おう。

「担保法というのは、お金の貸し借りに際して、貸主が借主からその貸金をどのように回収するかを定めた法律です。一般に企業などが金融機関から資金を借り入れるとき、土地や建物などの不動産を抵当(担保)に入れることを求められます。もし返済が不能になったときには、金融機関はその抵当から弁済を受けることになります。これは民法にも規定されております」

ただし、この担保法のうちで今尾先生が研究している「動産・不動産や債権の譲渡担保」という制度については、民法の条文に規定のない法律外の担保権となる。

「たとえば、これは工場内にある機械などの動産を担保にして借り入れをするようなケースです。本来、質権などの動産担保はその目的物である機械を貸主に預けるのですが、そうすると工場の生産がストップしてしまいます。そのため機械の所有権だけを貸主・金融機関側に移し、借主はそのまま機械を使って生産を続けるというのが慣行的におこなわれてきたのです」

ここで担保となった機械設備の真の所有権は、借主と貸主のどちらにあるかが大きな問題となってくる。これを今尾先生は20年近くの歳月をかけて研究中なのだが、民法に規定のないこともあって未だに結論を導き出せない問題も数多く含むのだという。
さらに先生のもう1つのテーマである成年後見制度については――

「成人であっても、障碍があったり認知症を患ったりで正しい判断能力に欠ける人が世の中にはいます。こうした人を保護・支援するのが成年後見制度になります」

今尾先生は、これをフランスの成年後見制度との比較で研究する手法をとってきた。

「日本では民法の財産法のなかで成年後見制度が扱われますので、どうしても財産管理の問題に特化せざるを得ないという限界があります。一方フランスでは、法律的・社会的・経済的な面から包括的に支援する仕組みが整っていて、そこが日本と大きく違っていますね」

ちなみに民法(動産・不動産や債権担保法と成年後見制度)における日仏比較の研究分野は研究者が少ないこともあって、今尾先生はこの分野で大いに注目される存在なのだ。

明治学院大学法学部で最も厳しいゼミ(!?)という評判

港区有形文化財指定の「記念館」
明治学院開学の祖・ヘボン博士の像

今尾先生が主宰する専門ゼミ演習は、例年20~30人のメンバーで構成される。人気ゼミだけに当然のことに入ゼミ希望者は多く、毎年のように選抜となる。その選抜方法は今尾先生の面接であり、そのポイントは「気概があって、明るくメリハリのある人」ということだ。

「わたしのゼミの特徴は、民法のなかでも財産法について最高裁判所の重要な最新判例を素材にして討論形式で問題解明を進めていくことにあります」

このように今尾先生は自らのゼミについて説明する。その具体的な運営としては、ゼミ生を5~6人のグループに分け、指定された判例について事前のサブゼミでグループ別に徹底した勉強会をおこない、そのうえで本ゼミに臨んでいくスタイルをとっていく。

「法律学は、ただ読んで理解するだけでは不十分で、裁判や身近な紛争などで相手に話して理解を得ることが重要となります。ゼミはその訓練の場でもあります。このことは、必ずしも法律の専門家になるための訓練というわけではなく、社会でいろいろな紛争やトラブルを解決する際にとても役立つ技能でもあります。多くの学生がこれを習得して社会に出て活躍してもらいたいと考えております」

そのために法律学科の他ゼミとの定期的な討論会も盛んに実施する。ゼミ生たちに求める今尾先生の要求はあくまで高く、明治学院大学法学部内で最も厳しいゼミという評判までもあるそうだ。
あらためてゼミ生たちへの指導方針について次のようにも語る。

「学生と教師という前に、人と人との対等な関係でありたいと心がけています。また出来るだけ各自の長所を伸ばしてあげたい。そのためにも高い理想に向かって努力を惜しまないこと、目の前の課題に対し気概をもって挑むこと、そして何事にもメリハリをもって日々のぞむようにと指導しているつもりです」

こんな生徒に来てほしい

素直でまじめ、そのうえ心の奥に気概をもっている――これまで教えてきた経験では、4年間のうちに飛躍して自らの望む方向に進めるのはそうした人が多いですね。ちょっと頭が良いとか知識があるといったことよりも、自らの頭で素直に考え、問題の核心を見極め、気概をもって議論をし、目標に向けて挑む努力を惜しまない人。そんな学生なら教え甲斐もあるというわけです。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。