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GOOD PROFESSOR

横浜国立大学
工学研究院

鈴木 和也 教授

すずき・かずや
1960年岐阜県生まれ。'88年京都大学大学院理学研究科博士課程化学専攻単位取得満期退学。'88年東京工業大学理学部化学科助手。'94年横浜国立大学工学部助教授。'96年同大学院工学研究科助教授。'01年同大学院環境情報研究院助教授。'05年より現職。
「鈴木和也研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://suzuki-lab.ynu.ac.jp/

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化学の視点でめざす物性物理学の新潮流

鈴木研究室が入る物質工学科化学棟
大学入り口に立つポールサイン

2011年度から横浜国立大学では、それまでの工学部を廃止して「理工学部」を誕生させた。今週登場願う大学院工学研究院の鈴木和也教授も新学部開設に関わられた。まずは、その新学部誕生の経緯から伺った。

「これまで本学には、工学部はありましたが理学部がなく、その改革・開設を求める声は以前からありました。そんななか教育人間科学部や工学部の、主として理学を専門にしている教員らを中心に理学部設立の気運が高まっていきました」

工学部を廃止して理工学部を開設させたもくろみについては――

「理工学部を開設することで、理学志向の学生や研究タイプの学生数を増やし、将来的には研究学部・大学としての質を高めていきたいということになります」

開設から2年目。鈴木教授をはじめ、関係者はその手応えを日々感じてもいるようだ。その理工学部は(1)機械工学・材料系(2)化学・生命系(3)建築都市・環境系(4)数物・電子情報系――の4学科からなり、鈴木教授は「化学・生命系学科」にて教鞭を執る。この同学科の特徴については――

「化学・生命系学科の教育プログラムは、『化学』『化学応用』『バイオ』の3つからなっていまして、『化学』『化学応用』の入試では一括で募集し、2年次からいずれかのプログラムを選択して学びます。このうち『化学』では化学の基礎を中心にしながら応用の一部までを学び、『化学応用』のほうでは化学工学・安全環境工学・エネルギー工学など工学的な観点から学びます。なお、この学科の大学院進学率は8~9割になっています」

さらに「化学教育プログラム」を専攻することで、履修する科目によって「学士(理学)」か「学士(工学)」のいずれかの学位が授与される。また2年次に進級するときに学科内の異なる教育プログラム間を転配属することも可能という。こちらは理工学部内の全学科で適用されている制度ではある。

化学と物理双方から迫る世界初の「物性」研究

正門では緑の並木に迎えられる
横浜国大理工学系研究図書館

そんな鈴木教授のご専門は「物性」(Condensed matter physics)と「無機化学」(inorganic chemistry)だ。

「わたしの場合、化学にいながら物理にかなり近いことをやってきました。というのも、化学の研究をしているとどうしても数学や物理の知識が必要になり、化学も物理もサイエンス全体の観点からすれば境界はあいまいなのです。化学と物理双方の視点をもつことは、大学での基礎研究でも企業での応用研究でも大きな武器になるとも思っています」

そんなこともあり、学生たちにも双方の知識をみっちり指導しているという。さらに鈴木教授の研究成果については次のように語る。

「たとえば磁石の鉄は鉄原子から出来ていて、その鉄原子1つひとつに磁石があり、それが同じ方向を向くことで結晶全体が磁石になります。ところがある種の物質(希土類金属の化合物)で、まるで2つの磁石が存在しているように見える現象を発見しました。実験や理論計算を進めていくと、このような物質では、結晶のある方向と、それに垂直な方向で別々に磁石が作られること、それはつまり、1個の原子のなかに2つの磁石が独立して存在することを見つけたわけです」

こうして同じ希土類金属の化合物において電子の軌道が秩序化する相転移を発見し、さらに「三角格子と正方格子の積み重なりからなる化合物」の発見に関わったのも鈴木研究室である。

「自然界には、三角形と四角形の結晶が交互に組み合わさった物質が存在します。結晶が三角と四角ですから、重ね合わせようとしてもピタリと重なりません。その一辺を合わせてやりますと、もう一辺ではズレが生じてきてそれを合わせようとして結晶全体がたわみ、それがぐるぐる巻いてチューブ状の結晶ができることも発見しました。10億分の1というナノスケールでの話ですがね」

このほか種々の発見をしている鈴木研究室だが、いずれの発見も世界に例を見ないものばかりである。さらに、「化学の立場から、物性物理学の新しい潮流をつくるような物資の開発をめざす」とも語る。

自然科学に基づく一生モノの考え方を身につける

横浜国立大学会館
晩夏の横国大キャンパス点描

次いで学部生の研究室配属についての話を聞いていこう。横浜国立大学化学・生命系学科の学部生は、4年次の4月から各教員が主宰する研究室に配属になる。鈴木研究室でも、毎年度3人ほどの学部生を受け入れている(現在の4年次学部生は旧工学部物質工学科の所属になる)。

「4月に配属になった学部生には、まず物理の物性と量子力学の基礎的なことを学んでもらいます。それを学びながら各々の卒業研究のテーマを決めていきますが、学生自身で決めるのは難しいため、わたしの方でテーマをいくつか用意して選んでもらうという方法になりますね」

大半の学生が大学院に進学するため、それを見据えての研究テーマ設定になる。もちろん学部だけで終えて就職する学生には、それなりのテーマも用意される。実際に卒研に取りかかるのは夏休みの前あたりからだという。
あらためて学生たちへの指導方針については次のように語る。

「どうしてそうなるのか、何故そうなるのか? それらを表面的ではなくきちんと言えるようになってほしい。たとえば、総じて自然科学にはエネルギーを低減させるという目標があるとされます。ある方法を選択した時それがエネルギーの低減にどうつながるのか? そうした自然科学に基づいた考え方が癖になるようにということですね」

さらに、化学と物理との境界に近い分野の研究をすることの意義についても語ってくれた。

「化学の知識をもちながら物理学の研究をする、つまりは融合領域の研究をしていることになります。すると物質をつくることが出来るうえにその性質についても調べることも可能となるのです。研究領域も広がりますし、さらに物理を専門にしている人たちからは違った視点から新しい物質をつくることを期待されて、とても良い位置関係になるのですね」

こんな生徒に来てほしい

一般的にはやる気のある人、いろんなことに興味のある人ということになりましょうか。わたし自身のことでいえば、研究は趣味だと思ってやっています。趣味ですから、つねに楽しみながらやっています。同じように研究を楽しみながらできる人が来てくれたらいいですね。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。