早稲田塾
GOOD PROFESSOR

学習院大学
経済学部 経営学科

青木幸弘 教授

あおき・ゆきひろ
1956年群馬県生まれ。'78年学習院大学経済学部経営学科卒。'83年一橋大学大学院商学研究科博士課程単位取得。'83年一橋大学商学部助手。'84年関西学院大学商学部専任講師。'88年同助教授。'95年より現職。
主な著作に『製品・ブランド戦略』(共編著)『マーケティング』(共著・前著ともに有斐閣)『消費者行動の知識』(日本経済新聞出版社)などがある。

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消費者行動・ブランド戦略研究の第一人者

青木研究室が入る東2号館
学食コンビニが入る「輔仁会館」

今週紹介する一生モノのプロフェッサーは、学習院大学経済学部経営学科の青木幸弘教授である。さっそくその所属する経営学科の特長から伺おう。

「この大学自体が大規模ではありませんので、経営学科も教員15人の小ぢんまりとした学科です。それだけに学生同士(あるいは学生と教員と)の距離が近く、密度の濃い関係がつくられます。教員は各分野バランスよく配置され、それぞれの分野に著名な教員が迎えられているのも特長でしょう」

そう語る青木教授も、マーケティングや消費者行動研究において活躍されている教授のひとりである。つづいて学習面での学習院大学経営学科の特長について――

「履修科目は学生が自主的に選択するスタイルで、その主体性に任されています。また、経営学やビジネスについて英語で学ぶ『ビジネス事情』という科目があって、これは語学の得意な学生には好評ですね」

さらに情報教育にも力を入れていて、2人の専任教員が指導にあたり、パソコンが常備された経済学部専用の教室や、経済学部教育研究棟にも専用のパソコンコーナーがあって、経済学部学生であれば自由に使用できるようになっているという。学生にとって非常に学びやすい環境といえよう。

脱コモディティー化戦略、それこそがマーケティング

初秋の学習院目白キャンパス点描
初秋の学習院目白キャンパス点描

青木教授のご専門はといえば「マーケティング」である。なかでも「消費者行動論」や「ブランド戦略」などを中心に研究している。

「マーケティング(marketing)とは、簡単にいえば『売れる仕組みづくり』のことです。ただ製品をつくって売るのではなく、どういう製品をつくって、どういう売り方をしたら良いかを考えていくのです。買い手である消費者の存在を意識し、その製品に対する心理状態のプロセス(消費者行動)を知ることが重要な要素になるわけで、それらを中心に研究しています」

具体的には、消費者が広告宣伝で製品をどうイメージし、それがどう購買行動につながって、最終的にどのブランド製品を選択することになるのか――それらのメカニズムの解明ということになる。

こうした研究を中心にしつつ、青木教授は「企業のブランド戦略」についても研究している。そこで、そもそもブランドとは何かについて説明いただいた。

「他社の製品との間に明確な差別化のポイントがあって、その意味や価値を消費者が理解している製品を『ブランド』(brand)と呼びます。一方、他社の製品と十分に差別化できず、価格だけで勝負せざるを得ないものが『コモディティー』(commodity)です。つまりマーケティングの本質は、コモディティーの状態から抜け出して(脱コモディティー化)製品をブランド化させていくことなのです」

さらに青木教授は、女性消費者のライフコースにも関心があって研究を始めているとも語る。

「かつてこの国の女性たちは、結婚を機に仕事を辞めて家庭に入るのが一般的でしたが、近年では結婚や出産をしても働き続ける女性が増え、そのライフコースは多様化しています。それらが消費行動にどのような影響を与えているのか、調査を始めています」

青木教授による学部での講義は、学生間の評判として、お決まりのテキスト類を使用しないことでも知られる。

「わたしは基本的にオリジナルなプリントとプレゼンソフトを使って講義を進めています。それに時々のテレビ経済ニュースを録画したものや話題のテレビCMを上映したり、大手企業の企業人をゲストに招いて話してもらったりもします。こうして現実のビジネス社会で日々起こっていることを知ったり、いまの経済現象が分析できたりする講義になるようにしています」

自ら計画を研き上げ巻き込んでいく一生モノの力

都心と思えないキャンパス内の緑

学習院大学経営学科の専門ゼミ演習は2年次後期から始まる。この学科のゼミの定員は15人ほどという暗黙のメドがあるようなのだが、入ゼミ希望者が毎年70人を超えるというほどの人気ゼミでもある。

「ゼミ生の選抜は、わたしの面接とリポート提出、それに成績を考慮して、全体的なバランスで決めています。ただ、どうしても定員に絞り込むのは忍びなくて、例年25~30人ほどを受け入れることになっています」

なぜ、これほどの人気が集中するのか、理由のひとつには、「Pasco」ブランドで知られる敷島製パンの製品企画がゼミの研究テーマともなっていることもあるという。

「2~3年次のゼミ生をグループ分けして、それぞれ菓子パンの製品を企画し、敷島製パンに提案するというものです。企画が通れば本当に製品化されますから、みんな真剣で非常に活発なゼミになっていますね」

これまで2つの企画が実際に通って製品化されたそうだ。しかしながら、2つとも定番化製品として残るまでには至らなかったという。これもまたパン業界のシビアさがうかがえる話でもある。

ちなみに学習院大学経営学科では4年次生に卒業論文提出の義務はない。その代わりにゼミ論文の提出が求められる。
あらためて学生たちへの指導方針について聞いた。

「社会で起こっている事象について、自分なりの視点で切り取って、なぜそういうことが起こるのかを考え、その問題点の解決のための対策を立てて、人々を巻き込んで実行に移せる人になってほしいですね」

そのためにも、自らの手と脚を動かしてオリジナルの情報を集め、自分の頭で考えてプレゼンしつつ計画を研き上げ、それらを実際に実行に移せるような能力を磨く努力を惜しまないことも強調する。

「ただし大学4年間でこれらを完璧にマスターするのは無理でしょう(笑い)。ですから、その目標に向けて一歩でも近づけるような努力をし続けてほしいですね」

こんな生徒に来てほしい

さきほどの繰り返しにもなりますが、経済問題をはじめ21世紀初頭のいま、日々起こっている諸問題に関心をもち、それらを自分なりに解き明かしていこうという気持ちのある人ですね。そういう意欲のある人であれば、得るものの多い指導ができるものと思います。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。