早稲田塾
GOOD PROFESSOR

芝浦工業大学
システム理工学部 環境システム学科

池田將明 教授

いけだ・まさあき
1952年東京生まれ。’75年武蔵工業大学(現東京都市大学)土木工学科卒。’75年フジタ工業(現フジタ)入社。’84年京都大学研究員。’89年技術研究所土木生産システム研究室長。’91年米ペンシルベニア州立大学共同研究チームリーダー。’92年京都大学博士(工学)。’02年環境形成研究所取締役。’04年PMI(米のプロジェクトマネジメント協会)東京支部次長。’07年芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授。’09年より現職。
著作には『建設エンジニアのためのPMSによるプロジェクト計画入門』『建設事業とプロジェクトマネジメント』(前著ともに森北出版)『システム工学:計画・分析の方法』(共著・オーム社)がある。
池田先生が主宰する「マネジメントシステム研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.msl.se.shibaura-it.ac.jp/

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マネジメントシステム視点で迫る建設・環境問題

池田研究室が入る5号館建物
芝浦工業大学大宮キャンパス点描

今回ご登壇ねがう芝浦工業大学の池田將明教授は、システム理工学部環境システム学科の所属である。まずは同学科の概要から話していただいた。

「本学環境システム学科は、基本的に『建築』『都市』『環境』の3つのエリアからなり、非常に広範な領域を扱っています。ですから将来の目標が定まらずに漠然と入ってきた学生でも、自分に合う目標領域が必ず見つけ出せるという大きなメリットがあります」

さらには環境システム学科の特徴に、工業大学にあって文系志向を併せもった学科であることがあげられるという。

「たとえば受験科目に数学がないなど、文系寄りの学生のためにも門戸を開いています。入学して1~2年次のあいだは建築・都市・環境のすべてについて学び、3年次からそれぞれのエリアを絞った専門科目を学んだうえで、4年次の総合研究(卒業研究)に進むカリキュラムになっています」

ところで芝浦工業大学環境システム学科には前記の3エリアのほかに「その他社会エリア」というものがあり、池田教授はそちらの所属になる。

そんな池田教授の担当はシステム情報科目で、学部全体を対象とした講義をしている。と同時に、3エリア共通科目である「建設プロジェクトマネジメント」の専門科目の講義もしている。

PFI社会資本整備から再生可能エネルギーシステムへ

芝浦工業大学大宮キャンパス点描
大宮キャンパス「生協・食堂棟」

池田教授のご専門は、「建設マネジメント論」「環境マネジメント論」「プロジェクトマネジメント」だ。これらを総称して「マネジメントシステム思考」というらしいが、一体どのような研究分野なのか、解説してもらおう。

「実世界における様々な事象・制度をマネジメントシステム(Management System)としてとらえ、その本質やメカニズムを解明しようとする思考法のことです。たとえば人間をひとつの生命体システムとして考えますと、頭があり脳があり心臓があり、いろいろなパーツがうまく連携して機能しています。各パーツの役割を知り、それらがどう連携して全体として機能しているのかを探るのがシステム思考になります。その理解のうえで、さらにシステムの合理化・効率化を図っていくわけです」

そこで池田先生の具体的な研究例から話してもらった。話はPFI(民間資本を活用した社会資本整備、英Private Finance Initiative)の例である。

「北九州市のコンテナターミナルの運営をPFIでおこなった例があります。ただ、これは失敗し経営破綻に至りました。こうした失敗ケースでシステムのどこに問題があったのかを明らかにするのも私たちの研究対象となります。この例では、国が主体に中国や韓国とアメリカを結ぶコンテナ貿易の中継基地をつくろうとしたのですが、それより早く中国と韓国にコンテナターミナルが完成したために必要性がなくなってしまったのでした」

この失敗の原因は国の見通しとシステム構築の甘さにあると池田教授は断じる。しかし、これをPFI方式としたことで破綻への道筋が目に見えることになり、かえって良かったのではないかとも話す。これが従来のような第3セクター方式で運営されていたら、その事実関係もウヤムヤになっていた可能性もあったからだ。

「それでも、この破綻処理の方法にはいくつかの不明朗な点もありました。それというのも、このPFIをスタートさせたときに経営破綻するケースを想定していなかったからです。そもそもマネジメントシステムの観点からは考えられないことですがね」

なお、池田教授の研究室では、ほかにも「インフラ事業」「温室効果ガス排出制度」「再生可能エネルギーシステム」「社会生活制度(企業の農業参入など)」についても、マネジメントシステムの見地から調査研究をしていて、PFIに次いで力を入れているのが再生可能エネルギーシステムだという。

自ら考え行動できる一生モノの能力を構築しよう

ヨットのオブジェまでもある

芝浦工業大学環境システム学科の学部生の研究室配属は4年次の4月からとなる。池田教授の研究室でも毎年6~7人ほどの学生を受け入れている。4月に配属になった学生には、マネジメントシステムについての再レクチャーがおこなわれ、その上でそれぞれの総合研究(卒業研究)のテーマが決められていく。

「総合研究については、各自興味のあることをマネジメントシステム思考の視点で調査研究してもらいます。ただ、それだけでは漠然としていますから、自らの将来に役立つことの研究ですね。つまり総合研究に入るころには、それぞれの就職先もほぼ決まってきますから、就職してから役立つことを研究テーマに選びなさいと言っているわけです」

あらためて学生たちへの指導方針については次のように語る。

「問題意識をもつこと。ここでいう問題とは『理想と現実とのギャップ』です。理想というのは主観的理想で、現実のほうは客観的な事実です。理想とは主観ですから、それはいくらでも高めることができます。だからこそ、高い理想をもちなさいと指導しています」

理想は主観的なものだから努力次第でいくらでも高めることができる。さらに、研究生たちが総合研究を始まる前に必ず言うことばがあるらしい。

「これまでの君たちは教室で教員から一方的に教えられ、与えられた問題に答えるという立場であった。しかし、これから始める研究はそれとは違い、自ら問題を設定し思考し、解決を図らなければならない。総合研究で試されているのはその能力なのです」

まさに理にかなった戒めである。学生たちが社会人となってから常に求められるのもそうした能力である。自ら考えて自分から行動できる――それこそが一生モノの力なのであろう。

こんな生徒に来てほしい

期待したいのは、いろいろなことに問題意識をもって自ら取り組もうとする意欲のある人ですね。これからは海外にも目を向けて、どんどん海外にも出ていくような積極性のある人が来てくれたら更にいいですね。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。