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GOOD PROFESSOR

電気通信大学
情報理工学研究科

田中 一男 教授

たなか・かずお
1962年東京生まれ。’87年法政大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了。’90年東京工業大学大学院総合理工学研究科システム科学専攻博士課程修了。’90年金沢大学工学部人間・機械工学科助手および助教授を歴任。’98年電気通信大学電気通信学部助教授。’03年同教授。’10年同大学院・学部改組により現職。『IFACWorld Congress Best Poster Paper Award』(’99年)『IEEE Transaction onFuzzy Systems Outstanding Paper Award』(’00年)『American ControlConference Best Paper Selection』(’05年)など受賞多数。
主な著作は『アドバンストファジィ制御』『インテリジェント制御システム―ファジィ・ニューロ・GA・カオスによる知的制御』(共著・前著ともに共立出版)『Fuzzy Control System Design and Analysis』(共著・John Wiley &Sons)などがある。
「田中・田中研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.rc.mce.uec.ac.jp/

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知能制御工学のトップリーダー

田中研究室が入る東地区4号棟
新装なった電気通信大学大講堂

電気通信大学大学院情報理工学研究科の田中一男教授は、「知能機械」「制御工学」分野におけるわが国を代表する研究者である。その田中教授、2000年代初頭までは国内よりも海外で著名であった。

田中教授の制御工学理論などの論文が他の研究者に引用された件数は約5200件にのぼる。これは他の日本人研究者を圧倒する数で、当時から世界最高水準の理論の研究をしていた証しにもなる。その後「脳波による車いす操作システム」を開発発表して、国内でも注目を集めるようになった。

「マスコミが当時こぞって取り上げてくれたおかげで一気に注目されることになりました。ただシステム自体は完成したのですが、脳波で意思を読み取って意のままにコントロールするほうがなかなか難しくて、今もって特別な訓練を受けた健常者しか操作できない始末なのですよ」

そう笑う田中教授。今後は、脳波解析の技術改良を進めて、本来の車椅子利用者が操作できるものにしていきたいと語る。そしていま最も力を入れているのは「飛行ロボット」の開発研究である。

「これは、災害時に被災地の上空を飛んで情報収集するのを目的にしたロボットです。そうした目的ですから、各自治体レベルで保有できるように1機10万円程度の制作費に抑え、小型軽量化して持ち運びができるものを目指しています」

ロボットを小型軽量化するということは、逆に飛行中の制御に困難さが増すということだ。

「そうした無理難題に知恵を出して何とか解決していく。それが大学の低予算で研究していく意義と楽しさですね。わたしが長年研究してきた制御工学(control engineering)の理論を総動員させ、制御システムの集大成にしたいと思っています」

すでに飛行ロボットは単体の自動操縦飛行にも成功した。これからは、完全自動離着陸、バッテリ切れ墜落防止システム、トラブル発生時に自動帰還システム、風向・風速に応じた飛行ルート選定機能などを備えたハイパースマート(超スマート)な飛行ロボットに仕上げるために知恵を絞る。もちろん完成すれば世界初の快挙となる。

このほか大手企業との共同プロジェクトとして「知能機械」( intelligentmachine)の諸開発にも取り組んできた。すでにいくつか実用化されているものも多い。

「知能」をキーワードに最先端の機械工学を学ぼう

学食や生協売店が入る大学会館
東西キャンパスを分ける道路

大学院所属の田中教授が学部で指導を担当するのは、情報理工学部の知能機械工学科。この学科で学べることについても話してもらおう。

「この学科名から知能を外すと機械工学科。そこで、まず機械工学(mechanicalengineering)一般について学びます。いま世の中に出回っている機械類はとても頭が良くなっています。その機械知能の部分についても学びます。つまり知能をキーワードにして、最先端の機械工学が学べるカリキュラムの学科ということですね」

電気通信大学知能機械工学科では、3年次から(1)機械システム(2)先端ロボティクス(3)電子制御システム―の3コースに分かれて学ぶ。

「3コースのうち『機械システムコース』では、機械工学の専門性を突き詰めていきます。あとの2コースは知能の部分、機械を賢くしている部分を中心に学びます。わたしが指導する『先端ロボティクスコース』ではロボットに特化して、そのインテリジェンスについて学ぶカリキュラムが用意されます。また、最近の家電製品などはロボット化されているものが多く、そうした仕組みについても学べます」

教授の話を聞いていると、いろいろなロボットが一般生活に入り込んで来ていることが実感できる。

エンジニアというより一生モノの研究者でありたい

自律飛行実験中の飛行ロボット
飛行ロボットを手に田中教授

電気通信大学知能機械工学科の学部生の研究室配属は、3年次の12~1月ごろとなる。田中研究室でも例年5~6人の学部生を受け入れている。

当然ながら、田中研究室への配属を希望する学生は多く、例年のように選抜になる。その選抜の方法は面接だという。

「わたしが面接で重視しているのは、研究室の方針と学生さんのやりたいことが合うのかどうか、能力が発揮できるのかどうかですね。それに成績。3年間の学習成果を数値化したものが成績ですから、評価のひとつにしています。それとアピールポイント。たとえ成績が少々悪くても、卒業研究についての優れた意欲とスキルをもっている学生さんもいます。そうしたアピールポイントも評価するようにしています」

面接をパスして研究室配属が決まった学部生には、田中教授から卒研に関する導入課題が出され、まずそれらに取り組む。そして各自の興味あるテーマに近い研究をしている先輩を手伝っていく。

やがて研究作業の引き継ぎがなされ、それぞれの卒研に入る。研究テーマの決め方については次のように語る。

「いま私たちの研究室が取り組んでいるものには、脳波での機械操作、飛行ロボット、制御理論、それに企業との共同研究などがあります。それらの中から人数分の卒研テーマをわたしの方から提示し、あとは学生さん同士で話し合って決めてもらっています」

あらためて研究生たちへの指導方針については――

「学生さんたちの最終目標は、大手企業に入って優秀なエンジニアになることなんでしょうね。ただ、わたし自身はそれでは物足りなくて、エンジニアになってモノづくりをしながらも、同時に研究もやり続けてほしいんです」

大学本来の役目はエンジニアを育てることだけではなく、アカデミアとして研究者を育てることにもある―これが田中教授の持論でもある。最後に、若者世代にこんな苦言も呈せられた。

「『ゆとり教育』のせいかどうか、社会性に欠ける人が目立つようになった気はたしかにしますね。挨拶ができない、平気でミーティングに遅刻をしてくる、無断で欠席する―そんな学生も実際にいます。大学生といえば社会人の一歩手前なのですから、やはり社会性は身につけていて欲しいですね」

こんな生徒に来てほしい

うちの学科では「機械系+知能系」が学べるわけですが、明確な目的をもって進学してほしいですね。そのためにも、自分は何に興味があって、将来どういう職業に就きたいのか出来るだけ明確にさせておいた方がよいでしょう。
その手助けとして、どんなことが学べるのかを教える公開講義や、各研究室の研究内容を紹介するオープンラボなども用意されています。そうしたものを利用しつつ、自らやりたいことを早く見つけて、モチベーション高く学んでほしいですね。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。