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GOOD PROFESSOR

東京電機大学
工学部 機械工学科

栗栖 正充 教授

くりす・まさみつ
1964年兵庫県生まれ。’91年京都大学大学院工学研究科応用システム科学専攻修士課程修了。’96年同研究科機械工学専攻博士課程修了。’96年東京電機大学理工学部情報科学科助手。’98年京都大学大学院工学研究科資源工学専攻助手。’01年東京電機大学工学部機械工学科助教授。’06年より現職。
『ICMA 2007 BEST PAPER FINALIST』(’07年)。『第12回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会優秀講演賞』『計測自動制御学会システムインテグレーション部門賞貢献表彰』(前賞ともに’11年受賞)など。
著作には『ロボティクス』(共著・日本機械学会)『ロボットテクノロジー』(編集委員・オーム社)がある。
栗栖教授が主宰する「ロボティクス研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.m.dendai.ac.jp/~roboticslabo/

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惑星探査も原発処理も支えるロボット工学

栗栖研究室が入る千住1号館
早春の千住キャンパス全景

昨年春から東京電機大学工学部機械工学科では、それまでの「機械システムコース」と「精密システムコース」の名称を「機械工学コース」「先端機械コース」へとそれぞれ変更した。今回紹介する栗栖正充教授は、このうちの「機械工学コース」の所属である。まずは、同コースで何が学べてどんな特長があるのか、このあたりから話してもらった。

「ここでは、熱力学をはじめ流体力学・材料工学・振動制御・設計加工などの機械工学分野の学問が幅広く学べます。その学びの選択肢の多いことが一番の特長になります。さらに、それぞれの分野に専門の教員が配置されていて、このクラスの私大としては珍しいと思います」

それぞれ幅広い分野をカバーしながらも、各専門性が失われない配慮もなされているということだ。

「ここ数年の傾向として企業側からの求人数も増えていて、就職に有利なコースとも言えます。なんとなく機械が好きだからと進学してきた学生でも、幅広い選択肢の中からはっきりした目標を見つけて学べますから、そんなことが就職率の良さにもつながっている気がします」

なお東京電機大学の就職活動支援については、就職セミナーなどを通してキメ細かな指導や支援など、全学を挙げて熱心なことで定評がある。もうひとつ東京電機大学の特長として「アドバイザー制」がある。

「すべての学生に担当教員が付いて、学業成績から進路就職問題、さらに私生活に至るまで相談にのってアドバイスをしていく制度です。これで、入学から卒業するまでの全てで面倒を見てもらえるのです」

こうしたアットホームな環境下において、未来の機械工学技術者が育まれていく。

極限空間で遠隔操縦できるロボット開発をめざす

学食・売店などが入る3号館
これが話題の「多脚ロボット」

さて、栗栖教授の専門は「ロボット工学」(robotics)と「制御工学」(control engineering)だ。

「まず災害時のガレキや落石などの撤去作業や、鉱山での採掘作業を目的とするロボットの研究開発があります。これらは他大学の研究室との共同開発で、私たちはその車両移動のクローラー部分(無限軌道、英Crawler)=戦車などと同じ移動システム=の自動走行と制御の開発を担当して研究しています」

さらに、いま栗栖教授の研究室で最も力を入れているのは、次の「多目的遠隔操縦システム」の開発だという。

「このシステムの適用先は、原発内や惑星探査など極限空間での作業になります。おもに多機能型ロボットを遠隔で操縦するコックピットの開発が研究テーマです。宇宙探査などでは、1台のロボットがいろいろな作業をすることが期待されますので、その多機能化についての研究も併せて進めています」

現在は、遠隔操作型作業用6脚ロボットを操作対象として開発を進めている。これは筆者も実際に見せてもらったが、6脚歩行するロボットの脚のうちの2本が、突然として腕の動きになって床の荷物を持ち上げ、なんと自らの背に担ぐという離れ業のような動作までした。ロボットの自律性も高くなっていて、最先端のロボット技術には目を見張るものがある。

「このほか遠隔操作するコックピットから、一人の操縦者が同時に数台のロボットを操縦して連携協力作業をさせるシステムについての研究も始めています。どんな操縦法があって、操縦対象のロボットはどんな形になるのか、いま構想しているところです」

さらに、2年後の14年に打ち上げが予定されている小惑星探査機「はやぶさ2」に搭載されるロボットの一部も栗栖研究室が担当する。

一生モノのロボット工学の担い手が育ってほしい

走行ロボット調整中の栗栖教授
研究生たちともに栗栖教授

東京電機大学機械工学科の学部生が各研究室に配属になるのは3年次の後期から。ただ、このときは仮配属で、滞りなく4年次に進級したところで本配属になる。栗栖研究室では毎年8人前後の学部生を受け入れている。

「3年次後期に研究室配属になった学部生には、少人数による輪講により『ロボット工学』の基礎を、授業のほうで物を動かすという観点からの『制御工学』を学んでもらいます。それと同時に、4年次生ら先輩の研究を手伝いながら、自らの関心のある分野を絞り込んでいきます」

卒業研究のテーマについては、栗栖教授の方からいくつか提示され、そのなかから自由に選択して、4年次の4月からそれぞれの研究に入っていく。栗栖研究室では毎週1回、学部生から大学院生までの全員が参加する研究会も開かれる。ここで各自研究の進捗状況を報告し合うのだ。

「じつは研究室に参加する学生や院生に義務づけているのは、この研究会出席だけで、その他はそれぞれの自主性に任せています。もちろん彼らからの相談にはいくらでも乗りますし、わたしも1日に5~10回ほど研究室に顔を出して様子は見ていますけどね(笑い)」

学部生からプログラムの相談を受け、いっしょに考えているうちに夜が明けてしまうということも少なくないという。けっして放任などではなく、一生モノの親身の指導こそが栗栖教授の身上なのだ。

インタビューの最後にあらためて栗栖教授はこんな話をしてくれた。

「うちの研究室名に『ロボティクス』を掲げているためか、ときにSFアニメに出てくるようなロボット研究ができると思って入ってくる学生がいたりもします。そうかと思うと、生まれてこの方一度もハンダゴテなどの工具すら手にしたことがないという学生も増えています。機械工学科で学ぶからには、簡単な電子工作や機械づくりぐらいは経験してきて欲しいですね」

これらは栗栖教授からの貴重な忠告でもある。小惑星探査機「はやぶさ」の英雄的帰還、そして「レベル7」地震被害と放射能汚染にまみれた福島第一原発4基の事故処理、それら人類史的な難問克服に直面するなかロボット開発とその成果のより早い実現が今後ますます求められていく。この研究室には、ロボット制御工学の未来の担い手が育つ環境が確かに存在する。

こんな生徒に来てほしい

しっかりした目標をもち自ら考えて行動する姿勢をもった人がいいですね。だれかの指示がなくても自分から動ける人ということですね。大学4年間で特に学んでほしいのは「自分で考える」ということです。これは、長い人生の今後の生き方を決めることにもなりますから、きわめて重要だと思います。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。