{literal} {/literal}
GOOD PROFESSOR

東京都市大学
知識工学部 情報通信工学科

堀田 正生 教授

1948年東京生まれ。71年武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部卒。76年北海道大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程修了。工学博士。76年日立製作所中央研究所入社。機能デバイス研究部長。半導体グループアナログ技術本部長を歴任。03年ルネサステクノロジ入社。アナログ技術統括部長。同主管技師長を務める。05年武蔵工業大学工学部教授。09年東京都市大学に校名変更。知識工学部情報ネットワーク工学科教授。13年より現職。IEEE(米国電気電子学会)フェロー(01年)。電子情報通信学会フェロー(09年)。「市村産業賞貢献賞」(03年)。

主な著作に『システムLSIのためのアナログ集積回路設計技術』『超LSIのためのアナログ集積回路設計技術』(前著ともに共訳・培風館)『アナログ回路』(共著・オーム社)などがある。

堀田先生が主宰する「集積化システム研究室」のURLアドレスはコチラ↓

http://www.is.cn.tcu.ac.jp/ISLwiki/index.php

  • mixiチェック
堀田先生の研究室が入る「五島記念館」
東京都市大3号館「五島記念館」の内部

デジタル製品を支える集積回路研究

この春に東京都市大学は、従来の「情報ネットワーク工学科」を「情報通信工学科」へと学科名称を変更した。その経緯について同学科主任でもあった堀田正生教授に聞いてみよう。

「これまで本学情報ネットワーク工学科では、情報通信に特化したエンジニアの育成を目的としてきました。ただ近年の情報通信手段の発達には目覚ましいものがあり、この分野で扱うべきものが、ハードウエアからアプリケーションまで非常に幅広くなりました。そこで工学系の学科として、本来のモノづくりにベースを置きつつ、情報通信にかかわる物理的なものからシステムまでを統合的に理解できるカリキュラムにして学科名も変更したわけです」

つまり、アプリケーション教育については別の学科で指導していることもあり、情報通信におけるモノづくりの人材育成を目的にした学科となった。あわせて情報通信の技術を学ぶ学科であることを鮮明にするために「情報通信工学科」という新たな学科名が選ばれたのだという。次いで新生同学科の特長についても語ってくれた。

「情報通信工学科には8人の専任教員がおりますが、その多くが企業出身者です。これは実社会でどのような技術が求められているのか、いま学生には何を教えるべきかなどよく理解している人が多いことにもなります。そのため教科書を超えた実践的な教育がなされており、それが一番の特長といえます」

ちなみに前学科名時代から就職率は毎年度ほぼ100%近くを達成してきた実績があり、新学科名になっても高就職率は踏襲されるだろうと堀田先生は語る。

この道路両側にキャンパスが広がる
初春の世田谷キャンパス点描

高性能の変換回路なしに高品質製品など不可能

そんな堀田先生自身の専門は「電子回路」(electronic circuits)で、とくに「集積回路」(IC、英integrated circuits)の研究開発が中心で、そのエキスパートでもある。

「集積回路で扱う信号にはアナログとデジタルの2通りがあり、アナログからデジタルへの変換「A/D変換回路」(Analog-to-digital converter)、あるいはその逆「D/A変換回路」(Digital to analog converter)の研究をしています。わたしは日立製作所中央研究所時代から一貫してその研究開発に従事してきました」

このA/D変換・D/A変換とは果たしてどのようなものなのか説明してもらった。

「デジタルカメラで考えますと、レンズの背後に画像センサーがあって、そこから出てくる信号は光の強弱によって変わりますが、この信号はアナログです。これをメモリーに保存するときにデジタル信号に変換して保存します。さらに、これを写真画像として見られるようにするためにはアナログ信号への変換が必要になります」

カメラに限らずあらゆるエレクトロニクス分野で当たりまえなA/D変換→D/A変換が必要となる。ここで重要になるのが、その変換性能ということになる。

「こうしたシステムにおける製品の性能の優劣は、画像でいえば暗いところでもきれいに写せるかどうか? 電波でいえば微弱な電波でもきちんとキャッチしてクリアーな音に増幅できるか? その優劣で決まります。つまりシステム性能はA/D変換のところで決まりますから、高性能の変換回路をつくり出さないと高品質の製品など出来ないことになります」

そのためにも、いかに雑音が少なく入出力でひずみの少ないアナログ回路を構築するのかが研究者たちの腐心するところになる。

「そのなか私たちが特化して取り組んでいるのは、高精度のビデオ信号を扱うA/D変換器、システム制御のためのマイコン(MCU)に組み込むA/D変換器などの研究開発をしています」

それは数ミリ角のLSI回路(Large Scale Integrated Circuits)に変換器を集積し、そのうえ低消費電力で、対環境性の高い性能まで求められる非常にシビアな世界の話となる。そうした大規模システム集積回路研究の世界を牽引するトップリーダーの一人が堀田先生その人なのだ。

東京都市大学正門の校名プレート
写真下のLSIに回路が組み込まれる

とことん自ら考え抜いて努力を惜しまない

東京都市大学情報通信工学科の学部生が研究室に配属になるのは3年次後期からとなる。ただしこれは仮配属で、無事4年次に進級したところで本配属になる。堀田先生の「集積化システム研究室」は、傘准教授と共同で運営しているため、その受け入れ学部生は14~16人とやや多めとなる。

「研究室に仮配属になった3年次学部生は、4年次に取り組む卒業研究の準備期間ということで、そのための実験とか演習などに充てることになります。わたしの研究室では集積回路の設計を卒研のテーマにする人が多いので、3年次のうちに回路やシステムのシミュレーションと、A/D(D/A)変換器の実機製作や実験などをやってもらいます」

そして4年次になると、ゼミ演習形式で英文テキストを輪講しながら、それぞれテーマを決めて研究に入っていく。その卒業研究テーマについては、先輩の研究や修士論文などの発表会を聞いて、各自興味をもったものを堀田先生に申告し相談のうえで決められる。
あらためて学生・研究生たちへの指導の方針について次のように語ってくれた。

「研究というのは、他人から教わるものではなく、自ら考えるものであるということですね。考え方についての相談にはいくらでも乗りますし、いっしょにいろいろ考えてあげることは出来ます。しかし研究の基本は本人自身が考え抜いてやるものであると指導しています」

これは大学での研究に限らない。よくゼミの席では、民間企業が求める研究開発エンジニアの人材のあり方について話すことがあるとも語る。

「企業で働くときは、必ずチームの一員として仲間と連携しながら仕事をします。ここで重要なのはとことん努力をすること。がんばって努力していれば、チームの人々も企業もあなたを見捨てるようなことはしません。惜しみない努力をしていると、次も良い仕事が回わってくるという好循環にもなっていくのです」

かつて企業人として、熾烈な開発競争の場に身を置いていた堀田先生ならではの実感のこもる一生モノの貴重なアドバイスでもあろう。

こんな学生に来てほしい

将来をしっかり見据えて学部学科まできちんと決め込んで進学しなさい――などというのは理想的ですが、いま高校生の段階では少し無理があるような気がしますね。まずは漠然とした方向性だけでいいので、理学系か工学系か薬学系かぐらいの決め方でも良いのではないかと思います。
それで大学に進んでいろいろな分野の講義を受けながら、各学系の中どの分野に進みたいのかを1~2年次のあいだに自ら決めれば十分だと思いますよ。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。