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GOOD PROFESSOR

横浜市立大学
国際総合科学部国際都市学系グローバル協力コース

上村 雄彦 教授

うえむら・たけひこ
1965年大阪生まれ。’88年三重大学人文学部国際関係論専攻卒。’92年大阪大学大学院法学研究科修士課程修了。’93年加カールトン大学大学院国際関係研究科修士課程修了。’93年カナダ国際教育局。カナダ日本関係担当官。’94年国連食糧農業機関(FAO)住民参加・環境担当官。’06年千葉大学地球福祉研究センター助教授。’07年同准教授。’09年横浜市立大学国際総合科学部国際教養学系国際文化創造コース准教授。’12年学部内改組により現職。現在、国際都市学系長兼グローバル協力コース長。国際連帯税推進協議会委員。

主な著作に『グローバル・タックスの可能性』(ミネルヴァ書房)、『世界の貧困問題をいかに解決できるか』(共編著・現代図書)、『国際社会を学ぶ』(分担執筆・晃洋書房)などがある。

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上村研究室が入る「総合研究教育棟」
横浜市立大金沢八景キャンパスの正門

地球的課題に挑む白熱の「国際関係論」研究

NHK教育テレビ(Eテレ)で放送されて反響を呼んだ『白熱教室JAPAN』で、そのトップバッターとして登場したのが、今回登壇ねがう横浜市立大学国際総合科学部国際都市学系の上村雄彦教授である。

「日本人教員として最初の登場ということで大変なプレッシャーでした。一方で、研究していることや双方向式の講義内容が多く知ってもらえる喜びもありました。4週にわたって放送されたことで大きな反響があり、いっしょに出演した学生たちにも貴重な体験になりました」

当時の手応えをそう語る上村教授だが、同番組の初回「白熱プロフェッサー」に抜擢されたのは、その研究内容によるところが大きい。その専門はといえば「国際関係論」(international relations)である。

「『地球政治論』あるいは『地球公共政策論』とも呼んでいます。人類が抱える諸問題は、国際(国境)を越えて地球規模の問題になっています。貧困や環境・紛争・感染症の問題など、いずれも一国のがんばりでは解決できないグローバルな課題になっているわけです」

こうした難問の問題解決のためにはいろいろなアプローチがあり得るが、いま上村教授らが一番力を入れて提案しているのが『国際連帯税』(グローバル・タックス、英International Solidarity Levy)の導入だ。

「現代の経済システムでは、モノやサービスに対価を支払う実体経済にくらべ、株式や債権・デリバティブなどに大金を投機して、その利ざやで巨額の富を稼ぐマネーゲームのほうが規模が大きくなっています。ここに国際連帯税を課し、マネーゲームを抑えるとともに、そのステークホルダー(利害関係者)たちが透明性と公平性のある民主的な理事会組織を構成して、グローバルな諸問題の解決のために税の分配をしていくわけです」

このグローバル税制を導入することで、投機的マネーゲームの過熱ぶりが抑制されて国際経済が安定し、国際政治の公平なガバナンスも期待できるという。これは夢物語ではない。すでに「航空券連帯税」が国際レベルで導入されて、貧しい人々の医薬品アクセス改善などで実績をあげつつある具体的事例も出てきている。

「ただ研究するだけでなく、それを教育に生かして人材を育成し、さらに具体的に実践までおこなう。これらを通じて、具体的に社会や世界が抱える問題を解決していきたい。それがポリシーです」

そう言い切る上村教授。

金沢八景キャンパス「市大交流プラザ」
横浜市立大学「学生交流ラウンジ」

究極のフィールドワーク「海外調査実習」が始動

そんな上村教授が横浜市立大学で所属するのは国際都市学系。ここでは果たしてどんなことが学べるのか。

「2012年に学部改組で開設されたばかりの新しい学系でして、都市問題や地域問題、そして国際社会の諸問題などを解決できる人材の養成をめざしています」

この国際都市学系は、(1)まちづくり(2)地域政策(3)グローバル協力――の3コースからなる。上村教授は「グローバル協力コース」を担当している。

「3つのコースともに学際的であり、理論と実践の融合に重きを置いているのが特色です。なかでも『グローバル協力コース』では、地球規模の諸問題に果敢に挑戦することを目標とし、将来的にはその問題解決に資する人材の養成を目的にしています」

ここでいう地球規模の諸問題とは、先に上村教授が自らの研究課題として挙げた種々の問題群のことを具体的には指す。現場レベルの問題解決とともに、広くグローバルな構造についても学ぶこととなる。

「そのため、海外調査実習が必修科目として組まれています。A~Cの3班に分かれて、A班はアジア、B班は国連など国際機関、C班はアフリカなどのフィールドに出ます。とはいっても、ただ現地を見学するだけではなく、たとえば国連(B班)であれば、事前にグループでテーマを決め、そのための十分な調査と議論をしたうえで国連にいく。国連ではそれぞれのグループが割り出した担当部局に行き、直接担当官と面談して質問をぶつける。また、現地の大学生との対話討論会を開くことを予定しています。そして、帰国後はこれまでの調査に基づいて論文(リポート)を完成させ、新入生の前で発表します」

すべて英語での発表となるため、学生たちとっては大変な作業になるが、そうして初めて本当の力がつくのだ。なんともアグレッシブで魅力的なフィールドワーク体験。これは学生たちにとって「一生モノ」になるだろう。これらの海外調査実習はいよいよ今年度から始動する。

横浜市立大金沢八景キャンパス点描
横浜市立大のデザインロゴマーク

「白熱のゼミ」で身につく一生モノのリテラシー

横浜市立大学国際都市学系における専門ゼミ演習は2年次から始まる。上村ゼミの入ゼミ生は毎年15人前後だが、人気のあるゼミだけに毎年の希望者は倍ほどもあり、選抜になる。その選抜方法はレポートの提出と、上村教授による面接だという。その面接でのポイントについては――

「やる気の度合いと、どんなことを研究したいのかが明確になっているか、さらに英語力、ゼミへの貢献度や積極性・将来性などを総合的に勘案して決めています」

という上村教授のこだわりの基準がいくつもあるそうだ。

「ゼミは2~3年次合同で、世代間の縦の関係を重視しています。1年間の前期ではグループ活動で、文献講読とテーマ別に分かれた研究発表をしてもらいます。今年度の研究テーマは、『日米関係』『貧困削減と教育』『ジェノサイド(計画的集団殺戮)』『国際法』『宗教』『CSR(企業の社会的責任)』などですね」

つづいて後期では個人活動がおこなわれる。

「後期では英語文献講読と、3年次ゼミ生の卒業論文の構想発表、それに年明けからの4年次ゼミ生による卒論発表会が中心となります。ここで2~3年次ゼミ生には、これらの卒論テーマのうちから1本を選んで、関連したコメント発表をしてもらいます。そのためには選んだ論文を読み込まないといけませんから、けっこう大変ですよ」

まさに「白熱のゼミ」で、午後2時半から夜半まで4時間以上ぶっ通しなど当たり前らしい。あらためてゼミ生たちへの指導方針については――

「ゼミを通じて、質問力とコメント力・批判力・議論力を身につけてもらいたい。同時に、プレゼン力、それを論文にまとめる力も自分のものにしてほしい。そうした一生モノの能力を手にしてぜひ留学してもらいたいですね。これらを足がかりに、将来は人類が抱えている諸問題を解決するために世界に羽ばたく人材に育ってほしいと思っています」

こんな学生に来てほしい

貧困問題をはじめ地球環境問題や紛争問題など地球規模問題に関心があって、その解決に役立ちたいと思う人であれば誰でも大歓迎です。そのために今なすべきこととして、関心のあるテーマについて文献を読み込んだり、NGOのスタディーツアーに参加してみたりするなど、受験勉強を超えた一歩踏み込んだ勉強をしてほしいですね。あとは英語力を身につけることも忘れないで――

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。