早稲田塾
GOOD PROFESSOR

中央大学
経済学部

谷口 洋志 教授

谷口 洋志(たにぐち・ようじ)
1952年富山県生まれ。75年中央大学・法学部卒業。82年早稲田大学・大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。83年富士短期大学経済学部講師。85年同助教授。92年麗澤大学・国際経済学部助教授。96年同教授。97年より現職。経済学部博士。主な著作に『公共経済学』『米国の電子商取引政策』(ともに創成社)などがある。

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インターネット経済学のパイオニア

谷口研究室のある2号館総合研究棟

中央大学・多摩キャンパスは広大な多摩丘陵に広がる伸びやかなキャンパスである。ここに「経済」「産業経済」「国際経済」「公共経済」の4学科からなる経済学部がある。近代的なビルが立ち並ぶキャンパスの中で、ひと際高く聳える2号館総合研究棟に経済学部教授・谷口洋志先生の研究室がある。

「中央大学・経済学部の特徴は、何といっても教員スタッフが充実していることでしょうね。どんな専門分野でも複数の教授が在席しています。これは学生にとっては教授を選べるという利点になりますし、我々教授にとっても互いに影響し合い競い合うことにもなって、非常に良い環境だといえると思います。もう一つは産業経済学科と公共経済学科の存在ですね。この二つは他の大学にはない学科で、前者は経済の中心である産業について総論から実学的知識まで学べます。後者は国や自治体の様々な活動を経済の観点から学ぶというユニークな学科です」

谷口先生は、同大経済学部の特徴をそう語ってくれた。先生の専門は経済政策で、デジタル経済や電子商取引政策・インターネット経済学などを研究テーマにしている。実はこの分野の研究では、わが国のパイオニアとして位置づけられる先生なのだ。

「インターネットのサービスが始まったのは90年代の中ごろでしたが、そのころどうしても手に入れたい海外の文献がありまして、インターネットを使ってみたところ、いとも簡単にダウンロードできたのですね。しかも、無料で入手できました。こんなことがあっていいのか?というくらいの驚きでした。同時にインターネットは従来のメディアとは違う。これで世の中が変わるかもしれない。これは経済政策のテーマになると思って着目しました」

インターネット研究は若い人が活躍できる場

中央大学多摩キャンパスの全景

さっそく研究を始めて、授業でもインターネットを取り上げることになる。しかし、周りが伝統的な経済学を説いているなかで、インターネット経済学を説く谷口先生は浮いた存在にもなったようだ。当時のインターネットはまだうさん臭いものという見方もされていたのだ。そこで先生は研究の目を米国に向ける。

「インターネットを通じてアメリカの研究資料をダウンロードしてみると、段ボール10箱分の量になりました。アメリカではこの分野の研究を国をあげてやっていたのです。それを見て自分は間違っていないと確信しました。それで調べはじめてみると、たとえばマイクロソフト反トラスト事件ひとつをとってみても、経済だけではなく、法律や商業、コンピュータのハードやソフト、さらにはアメリカの裁判制度や国内事情にまで通じていなければならないことがわかりました。これは大変な世界に踏み込むことになるという思いと、また研究するに十分値するという思いも強くしました」

そして、この分野の経済研究におけるわが国パイオニアの道を歩むことになる。  研究の話をするときの谷口先生は、まるで息せき切ったような情熱的な話し方をする。ライフワークとなる研究課題に、邂逅できた至福を横溢させながらの話し方とでもいったらいいか……。

「日本のインターネット研究は、まだまだ世界からは立ち遅れています。とくに経済学の分野での遅れが目立ちます。ですから若い力を必要としていますし、研究テーマもいっぱいありますよ。若い人たちが活躍できる場の多い分野といえます」  

谷口先生は受験生諸君に、そう呼びかけてくれた。

心やさしい苦学生の味方(?)

山中湖での2泊3日泊まり込み夏のゼミ合宿。日ごろの研究発表やディベート・スポーツ大会まで開催される

谷口先生が担当している講義は「経済政策論」と「入門情報処理演習」。ともに経済学部4学科に共通の科目である。またゼミの指導もしていて、谷口ゼミでは毎年先生からテーマが与えられ、ゼミ生が分担して調査研究するスタイルで行われている。

「ゼミの研究テーマは、ゼミ生の意向も尋ねながら、その年のテーマを決めるようにしています。昨年度は全国の元気な商店街の情報化について、一昨年度は電子マネーについての調査研究をしました。経済学部の学生がそこまで調べるのかというくらいに私のゼミでは徹底してやらせています」

先生がそう特に仕向けるわけではないが、ゼミの熱気が徹底した調査に向かわせるようだ。たとえば、一昨年度の電子マネーの調査では、学生たち自らが計画して英国まで調査に行ったという。また、昨年度では学生の一人がある情報にあまりに精通してしまい、就職試験で面接官に気味悪がられて試験に失敗するという笑えないエピソードもあったそうだ。

こう書いていくと、谷口先生は自身の研究に邁進しながら、学生指導に徹底を極める厳格な印象を与えてしまいそうだが、実際は正反対だ。人柄は実に純朴で温かな先生なのだ。  谷口ゼミのゼミ室には先生がポケットマネーで購入したパソコンが置いてあり、学生が自由に使えるようになっている。また、学生の小遣いでは手の出ない高価な専門雑誌が数種類毎月用意されてもいる。さらに、苦学している学生にはノートパソコンの貸与もしているという。それもこれも、谷口先生自身が学生時代に苦学した経験があるからだ。

「私が学生だったころは、貧乏なくせに書籍代に月5万円もかけて、本当にどん底の生活を送った思い出があります。経済的に苦しい学生を見ると、何とかしてあげたくなりますね。それにどの学生でもそうなのですが、この大学で私という人間に出会ったのは一つの縁だと思うのです。この出会いによって、人生が変わる機会になるかもしれません。その手助けをしていきたいと思っています」

以前、女子学生のなかに茶髪にガングロという4人組がいて、全員を谷口ゼミに受け入れて心を通わせていった話もしてくれたが、残念ながら詳しく紹介する余白がない。それにもう一つ。谷口先生はオヤジギャク(?)の名手としても名高いらしく、ゼミ合宿などでの面白いエピソードには事欠かないらしい。温かい人柄のうえに、ユーモアを解する先生でもあるのだ。

こんな生徒に来てほしい

これは私自身がそうだったからでもありますが、自分に自信がもてない人、自信はもてないけれど頑張ってもがいている人、世渡りは不得意だけれど、精一杯誠実に生きていこうとしている人、そういう人たちにもぜひ来てもらって、その潜在的な能力を引き出すサポートがしてあげられたらと思っています。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。