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GOOD PROFESSOR

千葉工業大学
社会システム科学部 経営情報科学科

岩下 基 教授

いわした・もとい
1960年東京生まれ。’85年早稲田大学大学院理工学研究科数学専攻博士前期課程修了。’85年日本電信電話(NTT)入社。’92年英ブリティッシュ・テレコム研究所客員研究員。’99年東日本電信電話。’03年日本電信電話。’10年千葉工業大学社会システム科学部准教授。’13年より現職。

著作に『情報通信工学』(共立出版)『マルチメディア産業応用技術大系』(分担執筆 フジ・テクノシステム)がある。
岩下教授が主宰する「岩下研究室」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.mis.it-chiba.ac.jp/~iwashita/

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岩下研究室が入る千葉工大「2号館」
千葉工大「1号館」前のモニュメント

データマイニングで見える未来の情報インフラ

今週登場ねがうのは、千葉工業大学社会システム科学部の岩下基教授。まずはじめに、所属する経営情報科学科の特色から話してもらおう。

「まずは企業経営の基本的な考え方が学べることです。近年は世の中の環境変化が急ですし、個人のニーズの多様化や情報技術の進展などもあって、企業の経営も変化を余儀なくされています。その変化に対応できる科学的経営の基礎力が学べるということですね」

さらに、千葉工業大学経営情報科学科では文系志向の学生を歓迎していることも大きいと岩下教授は語る。

「本学科では文理融合型の教育をめざしていて、理工系知識のバックグラウンドがないといって不安を感じることはありません。大切なのは、この学問分野が好きで本気で学ぼうという意志があるかどうか。それさえあれば文系タイプの人でも問題なく付いてこられるカリキュラムが用意されています」

このほかに学科の特色として、3年次の夏休みに実際の企業や非営利団体などで実践体験をする「インターンシップ」制度。あるいはJABEE(日本技術者教育認定機構)対応の「経営システムコース」を履修すると、国際資格である「技術士」の修習技術者の資格(本試験第1次試験免除)が得られることなども挙げられるという。

初夏を迎えた津田沼キャンパス点描
初夏を迎えた津田沼キャンパス点描

ユーザーの行動分析をIT情報インフラ構築に生かす

ここで岩下教授ご自身についていえば、その前職NTT時代から「情報通信」(Information and Communication Technology)を専門とする。なかでも情報通信を数学的観点から研究する「データ マイニング(データを解析し、そのなかの項目間に潜在する相互関係やパターンを探し出す技術、英Data mining)」に力を注いできた。

「多くのITデータのなかから重要な知識・情報を抽出し、それを将来の情報通信ネットワークにどう反映していくのかという研究になります。近年はブログ(weblog)やツイッター(Twitter)などSNS(Social Networking Service)からも情報分析ができるようになり、大衆ユーザーの考えていることがわかるようになりました。こうしたユーザーの行動とか感じ方を分析して、その結果をいろいろなITサービスの普及に生かすということをやっております」

とくに岩下教授が具体的に手掛けているのは「情報インフラ」(information infrastructure)の整備構築についてである。

「いまやインターネットは人々の生活の一部になっています。そこで、社会的に影響の大きいライフラインともなったインターネット諸サービスを対象にして、そのインフラ(基盤)整備について検討しています。ただ、需要のないところに整備しても仕方ありませんので、必要とされているサービスとインフラとを組み合わせ、どこにどのような手法でインフラ整備をしてサービスを普及させていくかに取り組んでいます」

ちなみにインターネット上のインフラ整備を標榜する研究者は世にあまた存在する。ただし、ユーザーの行動分析をサービスに生かすインフラ構築をめざす研究者は今のところ岩下教授だ。

「この研究はまだ緒に就いたばかりで、いまはユーザーについて過去から現在までの行動履歴を分析しているところです。その分析データをもとにユーザーの行動を予測することにより、ユーザーの使用が集中してネットがダウンするのを防いだりすることなども可能になっていきます」

これが完成していけば情報通信の分野に画期をもたらすものとして期待されている。

「この研究に併行して、クラウドサービス(cloud computing service)についても研究しています。クラウドは今後利用者の増大によって各サービスや料金体系の複雑化が予想されますが、その効率的な管理システムのあり方についての研究になります」

これらの研究もその先鞭をつけたのは岩下教授で、同分野でもトップリーダーの地歩を占めているのだ。

緑陰涼しい津田沼キャンパス「中央広場」

独自課題の設定にこそ有効な一生モノのデータ分析法

千葉工業大学経営情報科学科の学部生が各教員主宰の研究室に配属になるのは3年次の前期からである。岩下教授の研究室にも例年15人前後の学部生が配属されるが、人気のある研究室だけに配属希望の学部生は毎年多い。定員の15人を超えると選抜になるが、その方法はずばり成績順だという。

「わたしのところはデータ マイニングが基本になりますので、3年次の学部生には確率と統計に関連した基本的な知識(構造分析・評価法・多変量解析など)を身につけてもらうことが要件となります。それにデータ マイニングのためのものの見方や考え方、そのモデル化などについても学んでもらいます」

こうした基本的な知識と研究リテラシーを身につけたところで、4年次に進級しての卒業研究のテーマ決めへと至ることになる。

「卒研のテーマは学生自身にそれぞれで決めてもらいます。4年次に進級したところから学部生とわたしとの個別のゼミを毎週1回おこない、その話し合いのなかから、学生が研究テーマを見つけ出せるようにしているわけです」

各卒業研究のテーマを決めるために、15人もの学部生と毎週のように個別ゼミを実施しているのだという。実にキメの細かな指導がなされているのである。その結果、5月の連休ごろまでにはさまざまな内容の15もの研究テーマが居並ぶことになる。

「データ マイニングは何をテーマにしても研究できます。そのせいか中にはわたしの全くの専門外のテーマを掲げてくる変わり者の学生もいるんですね(笑い)。過去には節電問題やTPP(環太平洋経済連携協定)問題をテーマに研究した学生もおりました。なぜそれをテーマに選んだのか明確な理由づけさえあれば、私自身も見識を広めることができますし、それでも認めることにしています」

最後にあらためて研究生たちへの指導方針について岩下教授はこう語ってくれた。

「最近の学生の傾向として、与えられた問題を器用に解くことができても、自ら問題を設定できる学生が少ないことがあります。そのあたりに重点を置いて指導しています。問題もただ設定すれば良しというわけではありません。その意味(どの程度重要なのか、どういう影響を社会に与えるのか等)について考えなければなりません。また、そのためにこそデータの分析が必要になってくるわけです」

こんな学生に来てほしい

特定の専門にとらわれることなく物事を幅広い視点で見られる人。あるいはコツコツと地道に積み上げていっていつの間にか全体性を浮かび上がらせてしまうような人。何事にも粘り強く取り組む姿勢の人。そんな人に来ていただければと思っています。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。