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GOOD PROFESSOR

神奈川工科大学
情報学部 情報工学科

田中 博 教授

たなか・ひろし
1960年北海道生まれ。’85年北海道大学大学院工学研究科精密工学専攻修士課程修了。’85年日本電信電話(NTT)入社。横須賀電気通信研究所勤務。’94年博士(工学)(北海道大学)。’94~’97年宇宙開発事業団(現・宇宙航空研究開発機構)に出向。’06年より現職。付属国際センター所長。

主な著作に『ユビキタスサービスネットワーク技術』(電気通信協会)『次世代ヒューマンインタフェース開発最前線』(前著ともに分担執筆、エヌ・ティー・エス)『よくわかるワイヤレス通信』(共著・東京電機大学出版局)などがある。

田中教授らが主宰する研究室のURLアドレスはコチラ
http://www.tnklab.ic.kanagawa-it.ac.jp/tanakalab/index.htm

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田中研究室が入る「情報学部棟」
神奈川工科大内の「中央緑地公園」

新ワイヤレス情報通信システムの創造めざす

今週の一生モノのプロフェッサーは神奈川工科大学情報学部情報工学科の田中博教授。ご専門は「情報通信」と「ワイヤレス通信」である。

「わたしの研究テーマは、IT技術(Information Technology)とワイヤレス通信技術とをコラボレーションして新たな情報通信システムを構築することにあります。つまり、スマートフォンなどとインターネットを組み合わせた情報通信システムについて考えています」

自身の研究テーマについて終始にこやかに語る田中教授。20件近いその研究成果のいずれも、まだ世の中には見られない試みばかりで、どれも実証実験では良好な結果を得ているという。

そこで田中教授の研究室による開発成果の主なものを以下に紹介してみよう(なお、この研究分野の研究者は多く、激しい開発競争のなかにあるため、同じような成果が他でも発表されているケースもあり得る)。

【遠隔操作・モニタリングシステム】スマホ画面に映っている機器をタッチすることで、離れた室内に置かれた家電機器の電源のON/OFF等ができる。また「見守りカメラ」としても使用できる。
【操作命令の音声認識による家電操作】アンドロイド(Android)の音声認識サービスを利用して、音声命令により家電操作ができる。
【まばたきによる筋肉電位変化を用いた家電操作】モニターに表示されている項目をヒトのまばたきの回数で選択して家電操作をする。身体障碍者やケガ人の利用を想定している。
【ジェスチャー認識による家電操作】Android内蔵の三軸加速度センサを利用して、手にもった端末を中空でジェスチャー(文字描画)することで家電操作ができる。

どうだろう。生まれながらのIT世代である現役高校生にとっては、いずれも身近でイメージしやすい研究成果であろう。さらに田中教授がいま最も力を入れている研究テーマは次の2つの研究だ。

「一つは『超音波センサを用いた広域屋内測位システムとその応用』で、屋内の天井に埋め込んだ超音波センサで移動物体の位置を検出するシステムを開発し、電動車椅子に走行命令を送って目的の場所まで自動誘導するシステムです。もう一つが『カラー手袋を用いた手指形状認識による入力インタフェース』で、要するにコンピュータが手話を読み取るシステムを目標にしています」

なお、前者の屋内測位システムについてはすでに模型実験では成功をおさめている。また、後者の手指入力インタフェースは2013年夏に米国の学会で発表して好評を得ているという。

着々と建設工事が進む「新講義棟」
神奈川工科大厚木キャンパス点描

IT学習を支援するための諸制度も活用可能

田中教授が最終的にめざしているのは、「環境が人間の活動や生活を支援する」というユビキタス(Ubiquitous)の実現だ。ここからは所属する神奈川工科大学情報学部情報工学科について語ってもらおう。

「情報系はどこの大学でも同じかもしれませんが、本学科でもプログラミング実習や実験授業を特に重視しています。私どもも大学院生のティーチングアシスタントを多く配置するなどして、きめ細かく学部生の支援にあたるようにしています」

また「何かをやりたいけれど具体的に何をやればいいかわからない」という学生のために、研究室配属前の学生を対象とした研究プロジェクト(現在のプロジェクト数は22)があらかじめ用意されているのも神奈川工科大学情報工学科の特長といえよう。

興味あるテーマのプロジェクトに自由に参加できるという制度で、この「ソフトウエア工房」制度は非常に評判が良いそうだ。田中教授も4つのプロジェクトを主宰するプロジェクトアドバイザーとして指導にあたる。

「さらに学会などの対外発表やコンテストなどへの参加では、大学側から旅費が援助されます。また、コンパなどで教員と学生の交流に要した費用も大学がその一部を援助してくれます。これらの制度は本学ならではといえるでしょう」

神奈川工科大厚木キャンパス点描
研究室内で学生を指導する田中教授

社会に巣立つ前の「孵卵器」としての研究室

神奈川工科大学情報工学科における学部生の研究室配属は3年次の2月からで、田中教授の研究室でも例年8~10人ほどの学部生を受け入れる。自身の研究で多忙な田中教授だが、研究室学生への指導でも親身の指導を尽くすのが信条だ。

「研究と教育は一体のものと考えて、学生といっしょに研究するというのが私のやり方です。研究論文も学生との共同執筆という形を基本としています」

学会への出席も積極的で、修士の学生は当然ながら、研究発表までする学部生も多数いるとのこと。これは学生には大いなる励みとなることだろう。

ちなみに田中教授の研究室では、卒業研究はひとり1テーマで個別におこなうのが原則。ただし研究分野が近接領域であったり、同じような実験をしたりするときは、協力し合うよう指導するという。そうすることで自らの研究テーマ以外の知識も得られ、一生モノの視野が広がる効果も期待できる。

さらに田中教授による卒業論文指導の基本方針として、OJT(研究室内で研究を続けながら指導する方法、英On the Job Training)方式をとっていることも挙げられる。

「OJTによる個別指導のたびに、そのときの研究の進捗状況をメモに書いて提出させるよう学生たちに求めています。そうしたメモがたまっていくことで、それがそのまま卒論執筆の資料にもなっていくわけですね」

あらためて学生指導で心掛けていることについて聞くと――

「大学の研究室というものは、社会に出ていく前の孵卵器・滑走路のようなもの――というのが持論です。研究室できちんとやれない人は、社会に出てからも出来ないだろうと思います。よく学生に話すのは『やる・やらないで学生を差別はしない。しかし区別はする。熱心に取り組む人とそうでない人とは、それぞれそれなりの対応・処遇をせざるを得ない。会社と同じ』ということですね」

かくも熱き心で一生モノの白熱指導を日夜つづける田中教授。それを支援するための諸制度も整って、ここ神奈川工科大学には21世紀を担う学生を本気で育てようという想いが込められているようだ。

こんな学生に来てほしい

いまや世の中はグローバル化の真っただ中で、かつてないほど大きく急速に動いています。そのなかでも特に技術の発展・革新は激しいものがあります。そのことを認識して、労を惜しまず努力できる人に来てほしいですね。これから世の中がどう変わっていくのか誰も予測はできません。そんな中でも確実に生き抜き社会貢献ができる一生モノの力を大学で身につけてほしいと思います。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。