早稲田塾
GOOD PROFESSOR

東京農工大学
工学研究院

宇野 亨 教授

うの・とおる
1956年茨城県生まれ。’77年茨城工業高等専門学校電気工学科卒。’80年東京農工大学工学部電気工学科卒。’85年東北大学大学院工学研究科電気および通信工学専攻博士後期課程修了。’85年東北大学工学部助手。’91年同助教授。’98年東京農工大学工学部教授。’06年同名称変更により現職。この間に’98年米ペンシルベニア州立大学電気工学科(文部省在外研究員)。電子情報通信学会フェロー(’08年)通信ソサエティ論文賞(’07年)篠原記念学術奨励賞(前賞ともに電子情報通信学会・’91年)など受賞多数。

主な著作に『電磁気学』(コロナ社)『アンテナ工学ハンドブック』(前著ともに共著・オーム社)『FDTD法による電磁界およびアンテナ解析』(コロナ社)などがある。

宇野教授が主宰する「宇野研究室」のURLアドレスはコチラ↓

http://www.tuat.ac.jp/~uno/

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宇野研究室が入る農工大「5号館」
農工大小金井キャンパスの「東門」

トップレベルの「電磁波工学」研究

今回紹介する東京農工大学大学院工学研究院先端電気電子部門の宇野亨教授は、工学部電気電子工学科の学科長も務める。まずは、同学科でどんなことを学べるのか聞いてみよう。

「現役中・高生のみなさんに馴染みぶかい電気用語といえば、電流・電圧・スマートフォンや太陽電池といったところでしょうか。これら電気を使用する機器や装置からその原理・方法まで、つまり電気一般について学べるのが電気電子工学科です」

こうした「工学の電気系」を大学で学ぶ意義については次のように語る。

「産業の基盤ですし、学ぶべきことが多い学問分野といえます。学生のなかにはハードで辛いという声をあげる人もいますが、卒業するときには『辛かったけれどしっかり学べて良かった』『学習内容に満足している』『卒業できてプライドを感じる』といった声に変わります。そうした言葉を聞くことで我々教員もやり甲斐を感じています」

東京農工大学電気電子工学科には「学習支援室」が設けられ、専任の教員が常駐して学生からの学習相談を受ける態勢が用意されている。これは同大のなかでも電気電子工学科だけの特長といえる。

「学習上の不明なことや基礎的な知識の確認など相談にのっています。この支援室が開設されてから、留年する学生の数が減少しています。これとは別に、各教員が学生3~4人の担当になって生活面でのケアをする制度もあって、こちらも効果を上げています」

学生にはありがたい支援制度で、これによって学業に専念できるわけだ。

キャンパス内にある「科学博物館」
学食などが入る「工学部総合会館」

電波を活用したあらゆる通信技術に挑む

宇野教授教授のご専門は「電磁波工学」だ。

「わたしが研究しているのは、電波を使用した通信のためのアンテナやその関連技術についてです。具体的には、無線LANや通信端末(スマートフォン・携帯電話)・レーダーなどが研究対象になります」

電波を使うという意味で意外なところでは、非接触型ICカード(Suica・PASMOなど)も研究対象となる。こうした研究分野において宇野教授はわが国における第一人者と目されている。こんなエピソードも話してくれた。

「かつての携帯電話には外側にアンテナが付いていました。いまや携帯端末やスマートフォンのアンテナは内蔵されて、外からは見えません。このアンテナの内蔵化技術を開発したのは我が研究室のOBでして、いまは某電機メーカーに所属する研究者なんです」

この話からも、宇野研究室における有為なる人材育成の様子も自ずとうかがい知れよう。現在の主な研究課題といえば、携帯情報端末などに利用されるアンテナの更なる小型化・高性能化を筆頭とする。さらには次のようなものも研究中という。

「電波がどのように空中を飛んでいるのか普通は目に見えません。それをコンピューターのなかでシミュレーションし可視化する研究、さらには地中に電波を飛ばし、その反射によって埋設されている歴史的遺物などを探査する研究などにも着手しております」

このほか金属や絶縁体を組み合わせることで、自然界では考えられない構造体(メタマテリアル)を組成することについても研究中という。これが成功すると、『ハリー・ポッター』に登場する「透明マント」の可能性さえも理論的には見えてくるらしい。まさに、電気電子分野における世界トップレベルの研究に挑んでいるのである。

東京農工大小金井キャンパス点描
キャンパス裏を走る「農工大通り」

「自ら考える」一生モノの習慣を身につける

東京農工大学電気電子工学科の学部生が各教員の研究室に配属になるのは4年次の4月からである(配属先の決定は3年次の12月)。宇野教授の研究室でも毎年4~5人の学部生を受け入れている。

人気があるだけに配属を希望する学部生は当然のように多い。同学科では各学生に配属を希望する研究室の順位を書いて提出させる方式で、配属希望者が定員を超える研究室については、教務担当の教員が希望順位を勘案しながら振り分けるという。

「4年次4月に配属になった学生たちは学部の卒業研究に向かいますが、この配属学生には2つのタイプがあります。4月時点で大学院への進学を希望する人と、大学院には進学しないで学部で卒業し就職する人――の2タイプです。
大学院への進学を希望する人のなかで成績上位者には大学院入試の筆答試験を免除する制度があり、学科全体で30名程度がこれを利用して進学しています。8月の大学院入試を受験する人もいますので、卒業研究についてはそれぞれの事情に合わせて開始してもらっています」

このうち大学院入試受験の人は、実質的に9月から卒業研究をスタートさせることになるわけだが、その研究結果は修士課程修了の2年後までにまとまればOKという考え方だという。学部だけで卒業して就職する人でも、9月ごろまでには卒研に集中できるようになることが多いそうだ。

「うちだけではありませんが、工学系の学生は7~8割が大学院修士課程へ、そしてその1~2割が博士課程へ進学する現状があります。ですから学部での就職組は各研究室に一人いるかいないかという程度なのです。もちろん彼らの指導をおろそかにするわけではありません」

そもそもの研究テーマについては、宇野教授の方からいくつか提示したうえで、学生同士が話し合いで決めることが多いという。あらためて研究生たちへの指導方針については次のように話してくれた。

「何はともあれ『自ら考え抜け』ということですね。将来、研究所なり企業なりで働くようになると、簡単に解ける問題や、すぐに正解にたどり着ける問題に遭遇することはほとんどありません。むしろ、その問題をどうとらえたらいいかさえ皆目わからないことのほうが多いはず。そこで自ら考え抜く習慣が一生モノの武器となりますので、大学にいるときからその訓練をしてもらうようにしています」

こんな学生に来てほしい

ひと言でいえば「努力を惜しまない人」ですね。抽象的ですが、九九をそらんじている子よりも、掛け算の意味を理解しようとする子のほうが好ましいということです。大学というところは教えられる場ではなく、自ら学んでいく場ですから、そうした学生のほうが伸びる気がしますね。ただ覚えるだけでは何も生み出せませんから。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。