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GOOD PROFESSOR

東京理科大学
薬学部 生命創薬科学科

青木 伸 教授

あおき・しん
1964年北海道生まれ。'86年東京大学薬学部卒業。'88年東京大学大学院 薬学系研究科修士課程修了。'90年東京大学大学院 薬学系研究科博士課程中退。'92年薬学博士(東京大学)。
'90年東京大学薬学部助手。'92年米スクリプス研究所博士研究員。'95年広島大学医学部総合薬学科助手。
'01年同助教授。'03年東京理科大学薬学部製薬学科教授。'06年同学部改組により現職。研究奨励賞('99年 錯体化学研究会・現錯体化学会)。奨励賞('01年 日本薬学会中国四国支部)。 奨励賞('02年 日本薬学会)。 

著作には『無機化学(ベーシック薬学教科書シリーズ)』(編著・化学同人)『マクマリー生物有機化学 基礎化学編』(訳書・丸善出版)がある。

青木研究室のURLアドレスはコチラ↓
http://www.rs.noda.tus.ac.jp/aokilab/

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青木研究室が入る野田15号館
東京理大野田キャンパス講義棟

あらゆる元素と手法で挑む「超分子化学」研究

「本学科の教育理念は、世界をリードする高度な知識と技能を備えた薬学(創薬)研究者を養成することにあります」

取材の冒頭そう語るのは、早稲田塾に集う皆さんにとって「スーパー生命創薬科学ワークショップ」でおなじみの、東京理科大学薬学部生命創薬科学科の青木伸教授である。青木教授が続ける。

「つまり、本学を卒業してから製薬企業の研究開発職に携わる人、あるいは公的な研究所機関で創薬関連の職務に就く人、そうした人材の育成をめざす学科と考えてください」

東京理科大学生命創薬科学科の定員は100人。なんと、これは国内では最大規模になる。

「薬学系4年制の学科で100人の定員を擁しているのは、国公立・私立を合わせても本学科が国内最大になります。そのため全国の4年制薬学系卒業者の約1割は本学科の卒業生で占められます。これは6年制の薬剤師養成(薬学科・定員100人)だけでなく、4年制の研究者養成にも力を入れるという本学の教育方針によるものです」

なお、生命創薬科学科では9割以上の学生が大学院修士課程に進学するという。このことを念頭に入学してきて欲しいと青木教授は強調する。

東京理科大学薬学部14号館
野田キャンパス薬学部校舎点描

サイエンス枠を越えたベース構築をめざす

青木教授の専門は「生体機能化学」「超分子化学」「光化学」。その研究モットーは「あらゆる元素と手法でアプローチする生命科学・超分子化学・創薬」だ。

「わたしの研究はいろいろな分野の要素を含んでいるので、少しとっつきにくいかもしれません。具体的な最近の研究例から申しますと、(1)生理活性やツールの材料となる物質の有機合成 、(2)さまざまな元素を用いた錯体(金属元素と有機物の化合物)による抗がん剤をはじめ診断ツールや細胞実験のための研究、(3)発光錯体による色素についての研究――などをしています」

もっと具体的には、分子を水に溶かすと自然に集まる自己集積現象を利用して新しい構造と機能を生み出す研究、炭素―炭素結合を生成する触媒的反応の開発、金属酵素をターゲットとする薬剤の開発、がん細胞に結合し発光して場所を示し、さらにがん細胞の死を誘導する化合物の研究、がんの放射線治療の副作用を低減させる薬剤の開発、中性子によるホウ素の核分裂反応を利用してがんを治療する研究、血液中のがん細胞を捕捉分析してがん転移予測やメカニズムの解析への応用――なども手掛けている。

あらためて研究フィールドの広さが際立つ青木教授。こうした全体の方向性については、一つの研究テーマが一つの成果を目指しているわけではなく、複合的・相補的な広がりをもっているのだとも語る。

「できるだけ化学・物理学・生物学一般における汎用性のあるベース的なものを発見したいと思っています。それは、化合物であっても反応であっても現象であっても何でもいい。それが見つかればいろいろなことに応用できますからね」

分子模型を手にする青木教授
新装なった最寄りの東武「運河駅」

指示待ち的・下請け的な実験研究はしない

東京理科大学生命創薬科学科の学部生の研究室配属は4年次4月からとなる。青木教授の研究室では例年6~7人前後の学部生を受け入れている。やや人数が多めなのは、もう一つの薬学科に所属する学生も受け入れているからだ。

「配属になった学生は、4年次の1年間の卒業研究と、大学院での研究に挑むことになります。その研究テーマについては、学生本人の希望と卒業後の進路などを考慮しつつ相談して決めています」

あらためて研究室の学生たちへの指導方針については次の2点をあげる。

「教育イコール研究――というのが、わたしの基本的な考え方です。どの分野でもそうだと思いますが、ある仮説を立てて実験をやっても、うまく進まなかったり、結果が仮説通りでなかったりすることが大半です。 そうしたときこそ資料をさらに調べ直して化合物になったつもりでよく考え、また実験をしていく。これを幾度も繰り返すことによって、目的としていることが巧くいくのかいかないのか、自らの頭と手と身体で答えを出していくことが重要です。これこそが生きた研究・生きた教育になると考えています」

「さらには研究や実験を下請け的な考え方でやらないこと。これらは誰かの指示でするのではなく、自分で目標・目的を設定して自らの力で実行することが大切です。いったん社会に出れば与えられたプロジェクトをどう発案して展開するのか、自分ひとりで考えるのが基本となるでしょう。ですから学生のうちからいろいろなことに取り組む習慣をつけて、指示待ち的・下請け的にならないようにと指導しているつもりです」

最後に、青木教授から受験生の皆さんに寄せられたメッセージをここに紹介しておこう。

「高校までは化学や生物・物理を別々に学びますが、薬学はそれらを網羅した分野です。自然界が化学・生物・物理のタテ割りで構成されているわけではありません。ですから化学を専攻するから生物・物理は学ぶ必要がないなどというのはもったいない。わたしの研究室は有機合成化学と錯体化学が中心ですが、生物や物理の実験手法も使います。生体反応は水中でなされるのですから、水溶液中で機能する化合物を自ら設計・合成し、その機能をできるだけ自分たちで物理化学的・生化学的手法を用いて定量的に評価したいと考えています」

「最近は、学内で異分野の研究をなさる先生方や、国内外の大学・病院・研究所・企業の方々との共同研究も増えています。その方々が扱っている物質は、オングストローム~ナノメートルスケールの分子や生体高分子(タンパク質・核酸・糖鎖等)から、マイクロ~センチメートルサイズの細胞や組織・発光材料まで様々で、その概念も大きく異なります。ですから双方が日常的に使っている対象物・言葉、概念を理解して共有することが大切であり、それができてくると新たなアイデアが生まれます。薬学研究とは、それらを結びつけながら研究成果を病気の診断・治療はもちろん様々なことに展開できるサイエンスだと思います」

「実験・研究をしていると必ず障害があります。それを乗り越える勇気と努力、柔軟なアイデア、最後まで成し遂げる意志と責任感が大切だと思います。そして、それらの成果をわかりやすくプレゼンテーションする力も重要になってきます」

こんな学生に来てほしい

わたしの研究に対する考え方や姿勢に少しでも共感してくれる人が来てくれたら良いと思います。何でもやってみようという人。自らの将来がデザインできて、そのためには何が必要かを考えられる人。そんな人の能力を引き出すお手伝いをしたいと考えています。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。