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GOOD PROFESSOR

東京都市大学
都市生活学部

宮本 和明 教授

みやもと・かずあき
1952年神戸市生まれ。’80年東京大学大学院工学系研究科土木工学専門課程博士課程中退。同年東京大学工学部土木工学科助手。’83年同専任講師。’84年同助教授。’85年アジア工科大学院(在タイ)助教授。’88年横浜国立大学工学部建設学科助教授。’95年東北大学工学部土木工学科教授。’04年武蔵工業大学(現・東京都市大学)環境情報学部教授。’13年より現職。工学博士(’83年東京大学)。東北大学名誉教授。

土木学会論文賞(’82年)土木学会論文奨励賞(’87年)土木学会環境賞(’06年)などを受賞。

主な著作に『完全網羅日本版PFI―基礎からプロジェクト実現まで』(共著、山海堂)『Urban Transport and The Environment』(分担著、Elsevier)『都市交通と環境―課題と政策』(編訳著・運輸政策研究機構)などがある。

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宮本研究室の入る等々力「2号館」
東京都市大附属図書館

都市インフラ研究の第一人者

東京都市大学都市生活学部(都市生活学科だけの単科学部)の宮本和明教授は「都市インフラストラクチャー研究」の国際的な研究者である。世界交通学会をはじめとするいくつかの国際学会の理事など要職のほか、国内では数多くの政府や地方自治体等の委員なども務める。

そこでまずは、インフラストラクチャー(infrastructure、略称インフラ)研究のことについて、果たしてどんな研究分野であるmiyamotoのかから説明してもらおう。

「我々が快適な都市生活を送るためには、道路や鉄道・上水道・下水道などの社会資本インフラが整備されていないと成り立ちません。快適な生活を送るための公共的な仕組み・基盤としてインフラはどうあるべきか――このことを総合的に考えるのがこの研究になります」

これまでは道路なら道路、上水道なら上水道などと個別のインフラについて研究されることはあった。しかし都市生活の観点からすべてのインフラを有機的に関連づけて、しかも環境面・経済面にも配慮した整備を考えようというのが宮本教授の研究だ。

「そのための都市計画――住み良い街とはどんなものか――を考えて計画しなければなりません。とくにこれからは人口減少を考慮する必要があります。人々の生き方に『スマート・エイジング』(Smart Ageing)という新しい考え方があります。これは知的に成熟するという意味で、これからの都市計画にもこのスマート・エイジングの考え方を取り入れる必要があるとわたしは提唱しています」

アンチエイジングではないスマート・エイジング社会の理想を達成実現させるための手段の一つが都市インフラのスマートな整備というわけだ。前回の64年東京オリンピックでは、高度成長期にあったこの国が、いわば青年期の覇気に満ちた都市づくりをアピールする機会であったが、次回2020年のオリンピックにおいては、すでに成熟し品格があるTOKYOを披露するようにすべきとも語る。

さらに都市インフラ整備の一環として、宮本教授が近年強く主導してきたものとして「PFI」方式のインフラ整備がある。ここでPFIとは、民間が事業主体となって公共事業を実施する方式のことだ。

「当面の問題として、いま老朽化が進みつつある都市インフラにどう対処するのかという難問に対応しなければいけません。いくら社会が縮小円熟期に入ったといっても当然、新設しなければならない社会インフラもあります。こうした事業に民間の資金やノウハウを活用して実施すべきなのです」

東京都市大等々力キャンパス点描
東京都市大等々力キャンパス点描

成熟期ニッポンを救うPFI方式インフラ整備

宮本教授はPFI(Private Finance Initiative)という手法をただ主張しているだけではなく、その実施のための方法論を研究している。

「こうしたインフラ整備をPFI手法で進めるためには、事業資金の調達方法やその返済計画、さらには整備事業に伴うリスクなど、多方面にわたって事前に綿密に検討しておく必要があります。とくにリスクマネジメント(risk management)は、事業の効率的な実施に不可欠ですから、しっかり考えておかなければなりません」

すでにPFI方式は国や自治体などで公共の建物を中心に進められてきているが、宮本教授はより本格的なインフラである道路や空港・鉄道、さらには都市再開発などを想定しているという。これからの日本の都市を住みよく働きやすいものにするためには不可欠であり、また「成算はあります」と強調する。

そんな宮本教授が東京都市大学で所属するのは都市生活学部である。次いで学部のことについても教えていただいた。

「都市を構成する要素には、建築や交通・インフラなど多種多様なものがあります。これらをどう構築・維持すればよいのかを考える学部学科はこれまでも存在しました。そうした中で本学部では、どういう生活スタイルを選択すれば、生きがいにあふれ文化的な生活が送ることができるのかについても研究しています。これは、国内には他に例がなく、また、世界的にも非常にユニークな学部といえます」

ここでは都市空間におけるハード面だけでなくソフト面にも重点を置いて、文化的・機能的な都市づくりのあり方、経済活動や都市経営についてなどが教育と研究の対象になっているという。

「この学部には都市生活に関するいろいろな専門を研究する教員が集まっています。それぞれの個別研究が呼応し合い、それがシナジー効果(相乗効果)となって学生指導に反映されています。学生諸君についていえば、都市や街づくりに興味を持つ人には、その視点を広げさらに伸ばしてあげることができるでしょう」

東京都市大等々力キャンパス点描
最寄り駅は東急大井町線「等々力駅」

自らの発想を信じつつ、楽しみながら苦しもう

東京都市大学都市生活学部の学部生は、3年次から各教員が主宰する研究室に配属される。そこでのプロジェクト演習を経て、4年次の卒業研究につなげるという段取りとなる。ただし宮本教授は同学部に転じて1年目であることから、この学部では、今年度は3年次学生12人の演習指導を担当している。他に、環境学部の4年生7人と、大学院生4人を指導している。

「3年生12人には、まずは自らの足で街をよく見て歩くことを求めています。身のまわりの街の良いところ・悪いところなどを確認し、各自が都市についての問題意識をもつことから全ては始まります」

また同時に、基礎的な力をつけるということで、先行研究の文献講読もしていく。とにかく3年次の学生指導はこの基礎力をつけることが主眼になるという。

次いで4年次における卒業研究のテーマについては、学生本人の希望を考慮しながら、宮本教授が決めていく方式とする。これは「大学教員の学部生に対する一番の仕事は、卒研のテーマを決めてあげること」という宮本教授が長年培ってきた持論によるものだ。そして、研究を続けたい学生には是非とも大学院に進学してもらいたいと力説する。

あらためて自らの研究室に集う学生たちへの指導方針については次のように話してくれた。

「研究というものは自分で楽しくやれないと良い研究につながりません。一方で苦しみのない研究は伸びません。ですから『楽しみながら苦しみなさい』ということですね。あとは学生自身のオリジナルな発想を大切にして、その良いところを伸ばしてあげるというのが指導方針になります」

最後に、一生モノのメッセージも寄せてくれた。

「大学進学には自らしっかりとした目的意識をもつことが大切です。つまり、大学に入ったら『これをやりたい』という気持ちですね。その意識が4年間の学びのなかで変わっていくことは一向にかまいません。柔軟な気持ちで学んでいくと、むしろ変わっていくほうが自然とさえ思います」

こんな学生に来てほしい

まずは、知的好奇心が旺盛な人で、意欲的な人ですかね。何についても「知る」ことが楽しく、「考え」方を学び、何についても積極的・意欲的になれる人ですね。そうした学生が来てくれれば素晴らしいと思っています。

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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。