{literal} {/literal}
GOOD PROFESSOR

二松学舎大学
文学部 国文学科

塩田 今日子 教授

しおだ・きょうこ
静岡県生まれ。86年東京外国語大学大学院修士課程朝鮮語専攻修了。89年韓国ソウル大学校人文大学院国語国文学科博士課程単位取得退学。90年二松學舎大學文学部専任講師。同助教授をへて05年より現職。入試委員長。

主な著作に『こうすれば話せるCDハングル』(朝日出版社)『ゼロから話せる韓国語』(三修社)『悟りの瞬間』(訳書・池湧社)などがある。

塩田教授が主宰する「Sun&Moon」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.geocities.jp/kyokotsm/title.html

  • mixiチェック
塩田研究室が入る二松學舎大「1号館」
塩田研究室が入る二松學舎大「1号館」

感性的回路からの日韓比較言語論

明治10(1877)年に三島中洲によって創立された二松學舎大學(当時は漢学塾・二松學舎)は、西洋文明礼賛の時代にあって「東洋に学ぶ」を教育理念に掲げて始められた学校です。東洋に学ぶとは、己を知って自己を確立するという意味で、そのうえではじめて西洋文明に向かい合うことが出来るという考え方です。これには深い共感を覚えます。

――取材の冒頭そう語るのは二松學舎大學文学部国文学科の塩田今日子教授である。その建学の精神は、いまも伝統として受け継がれ、まじめで真剣に学業に取り組む学生が多いとも語る。次いで塩田教授の話は、国文学科の特長にに移る。

この学科には国文学はじめ、日本語学、日本文化、比較文学・文化(韓国・中国)、さらに映像・演劇・メディアの専攻まであって、とても幅広く学べます。とくに国語・国文学の科目はバラエティーに富んでいて、能や狂言について学ぶ授業までも組まれています。こうした授業を通して、日本について知り、東洋について知り、それから海外に雄飛するのも良いと思います。

――二松學舎大學は九段キャンパスに3号館が完成したことで、全学4年間同キャンパスで学ぶことができるようになった。さらに2015年には4号館もできる予定という。

九段キャンパスは千代田区という文字通りの都心にありますが、周辺には堀や神社・公園などが多くあり、とても静かで勉学に集中するには打ってつけの環境ですよ。

二松學舎大九段キャンパス「2号館」
二松學舎大九段キャンパス「3号館」

日本人がハングルを学ぶ意義と利点とは

――塩田教授のご専門は「韓国語学」と「言語学」だ。韓国語学と教授ご自身との関係についてはこんなエピソードも。東京外国語大学に朝鮮語専攻の大学院が開設されたのは83年だったが、その第1号の大学院生がまさに塩田教授で、しかも一人だけの院生だったという。学生のころから韓国語のパイオニアだったのだ。そんな先生に韓国語・朝鮮語を学ぶことの意義についてから聞いていこう。

韓国は、02年のサッカーW杯日韓共同開催から非常に近しい国になって、韓国語にふれる機会も増えています。韓国語は日本語によく似た言語で、語順などそっくりなのです。

ただハングル(hangeul)という独特の表音文字には戸惑う人もいるでしょう。この文字は一般庶民が使えるようにと人工的に作られたもので、非常に合理的にできています。さらに韓国語の6~7割は漢語ですから、その部分のハングルを漢字に置き換えるとおおよその意味が理解できてしまうのです。

――そのため日本人の最初に学ぶ外国語が英語でなく韓国語であったら、いまほど外国語で挫折する人は多くなかっただろうと言う塩田教授は、13年3月までNHKラジオの「まいにちハングル講座入門編」の講師を務めていた。そんな第一人者のことばを信じて君もハングルにトライしてみるのはどうだろう。塩田教授のもう一つの研究課題である言語学については――

人間生活のさまざまな事象や森羅万象を代弁しているのが言語です。それがどのような仕組みで出来ているのか、あるいはどのような文法や法則にのっとっているのかなどを研究するのが言語学(linguistics)になります。

ただし文法研究などで論理的にきちんと区分けしようとしても、どうしても区分けできない中間的な部分も出てきます。それらを無理に区分けしないで感性的回路による判断でよいという論をわたしは展開しています。そのほうが本質に近づけると思うからです。

――少し難解な話で、もはや哲学的な世界なのかもしれない。くわしくは塩田教授のURLにある「言語論」に譲りたい。そのなかの「言語学こうぎ」は必読の名エッセーでもある。

近くには桜の名所「千鳥ヶ淵」もある

外国語修得はその国のドラマで学ぶに限る

――二松學舎大學国文学科の専門ゼミ演習は3~4年次学部生が対象で、各学年の定員は20人。塩田ゼミのテーマは「日・韓比較言語・文化ゼミナール」ということになる。じつは例年20人のゼミ生のうちの数人は、このゼミテーマというよりは、とびきり明るい塩田教授の人柄にひかれて入ってくるらしい。
3年次のゼミは韓国製ドラマを観ながら韓国語を習得していきます。外国語を習得するにはその国のドラマを観賞して覚えるのが一番の近道です。つまり、その言語が使われる設定や話している人の表情・人間関係などから全体像が理解できて、ことばの意味も身体の中にしみ込んでくるからです。

――単語帳などで一語一語を無理やり覚え込むのではなく、全体像を自然なかたちでとらえることが外国語習得の秘訣と塩田教授は説く。さらに韓流ドラマには底に南北分断のテーマが流れるなど内容的に深みのある作品が多いとも。そして4年次ゼミ生には卒業研究が課せられる。

この学科では必ずしも卒業論文でなく、絵画や映像作品・翻訳でも自分が一番良く表現できるものであれば何でもよいことになっています。卒業研究としていろいろな表現があって、とても良いシステムだと思っています。

――あらためてゼミ生たちへの指導方針については次のように語ってくれた。

いまの若者世代は、「守り」に入って小さくまとまろうとする人が多いような気がします。それは自らの本当の姿を見せる勇気がないからでしょう。たとえばリポートの提出を求めますと、ネットで拾った情報を引き写して出してくる人が必ずいます。

たとえ間違っていてもいいので、あなた自身が思っていることを語るようにしましょう。他人からどう思われるのかは関係なく、自らの意見を堂々と言える人に育つよう指導しています。激動が予想されるこれからの時代、それこそが必要だと思います。

――ところで塩田教授のURLは、先に紹介した「言語論」はじめ内容の充実したコンテンツがめじろ押しだ。そのなかで特にユニークなのは「恋の悩み相談室」だろう。恋に悩む閲覧者の質問に、「どんな人にも最良の伴侶が存在する」というのが持論の塩田教授が親身になって相談に乗ってくれている。恋に悩む現役高校生はぜひアクセスしてみたら。

こんな学生に来てほしい

はっきり申しまして、どんな学生さんが来てくださっても結構です。どんな人も、他の人に負けない取り柄をもっていますから、それを引き出してあげたい――それこそがわたしの願いです。これまでの人生で失敗して自信をなくしているような人でも必ず素晴らしい一面があるはずです。それを見つけたい人は是非いらしていただきたいですね。



公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。