早稲田塾
GOOD PROFESSOR

千葉大学
文学部 日本文化学科

竹内 比呂也 教授(副学長 兼 附属図書館館長)

たけうち・ひろや
1961年福井県生まれ。87年慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程(図書館・情報学専攻)修了。04年愛知淑徳大学大学院文学研究科博士後期課程(図書館情報学専攻)単位取得退学。修士課程修了後、東京大学附属図書館・ユネスコアジア太平洋地域中央事務所(在バンコク)にて勤務。静岡県立大学短期大学部助教授、千葉大学文学部准教授を経て、08年同教授。現在、副学長・附属図書館長およびアカデミック・リンク・センター長を兼務。

主な著作に『図書館サービス論』(東京書籍)『図書館はまちの真ん中』(前著ともに共著・勁草書房)『変わりゆく大学図書館』(共編著・勁草書房)などがある。

竹内教授が主宰する「竹内比呂也のホームページ」のURLアドレスはコチラ↓

http://kenon.l.chiba-u.ac.jp/~hiroya/

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竹内研究室が入る西千葉キャンパス「文学部棟」
新築されたばかりの千葉大学附属図書館

ニッポンの知を支える司書を育て上げる

――今週登壇ねがう一生モノのプロフェッサーは千葉大学文学部の竹内比呂也教授。副学長でもあり、また附属図書館館長にしてアカデミック・リンク・センター長という要職を複数兼務する。まずは、いま学部で担当する講義内容からお話しいただこう。

学部でのわたしは、全学学生を対象にした司書課程において図書館司書を養成する講義を担当しています。図書館司書というのは図書館業務を担う専門的職員のことで、図書館法によって定められている国家資格です。ここではその資格取得を目指して学んでいきます。

この課程を修めて資格を得るのは毎年度50人ほどで、当然ながら文学部の学生が一番多く、次いで教育学部・法政経学部(旧法経学部)と続きます。なお若干ですが、工学部・理学部・園芸学部の学生もおります。

講義は、文部科学省が示す科目内容の指針に則して指導していくことになります。本学の場合は選択科目として「大学図書館論」や「学術情報論」「電子図書館論」「書誌学概論」などの講義も開講して、公共図書館以外の図書館でも働けるような配慮もしています。

この課程は選択ですので、本当に資格取得をめざす学生だけが集まっています。ですから全員のモチベーションが高く、教えていても気持ちが良いですね。もちろん司書資格を取得した全員が図書館に勤務できるわけではありません。むしろ一般企業や役所などで働く人のほうが多いのですが、資料を基にした調査やデータベース作成などの業務に、この資格が大いに役立つはずです。

少し古い例ですが、本学看護学部の学生が受講していたことがありました。彼女は、将来病院内に患者のための図書室を開きたいという夢をもっていました。そんな夢の実現にもこの資格は役立ったかなぁと思っています。

千葉大学西千葉キャンパスの「南門」
キャンパスはちょうどサクラ満開であった

獅子が子に対するような厳しくも熱い司書教育

――つぎに司書課程における演習科目についてもお聞きした。

演習科目は3~4年次学生が対象で、司書業務の実際に則した演習が中心になります。内容は「資料・情報組織演習」が十進分類法による主題分類や書誌記述の作成、「情報サービス演習」では図書館のレファレンス(参考調査業務、英reference)、「情報検索演習」では各種データベースを用いた情報検索の方法を学びます。

これらの中で一番力を入れているのは、「情報サービス演習」の中における、情報リテラシー(情報活用能力、英information literacy)教育のためのプログラム構築です。これは、いわゆるゼミに近いかたちでグループディスカッションや発表を中心にして進めています。

――あらためて学生たちに対する竹内教授の指導方針についてはこう語ってくれた。

よく冗談で言うのは「わたしの指導はライオンの母と同じだから」です(笑い)。先ほども申しましたがモチベーションの高い学生が多いので、ちょっと厳しい指導をしても付いてきてくれる学生が多いですね。課題もかなり頻繁に出しますが、みんなよくやってきます。

司書課程での指導の特色として、図書館の実務にかかる技術的なことが多くなることがあります。ただ技術というのはいずれ古くなって陳腐化します。ですから学生には、なぜそのような技術が必要とされてきたのか、その理論的な背景を十分理解できるように指導しています。

西千葉キャンパス点描
西千葉キャンパス点描

「アカデミック・リンク・センター」の可能性

【学ぶ空間】
このセンターには新しいコンセプトによる空間がいろいろ用意されています。たとえばグループで学習するスペースがありますが、間仕切りのないスペースに幾組ものグループが同時に入って、それぞれが別々のテーマで学習できます。大きな声を出しても構いません。お互いのことが見えて聞こえる環境ですが、それが大きな知的刺激になることが期待されています。このほか書籍の書架への並べ方も、従来の図書館のように縦にぎっしり並べるだけでなく、テーマごとに表紙が見えるように並べるなど工夫します。またプレゼンテーションスペースでは週2回、昼休みに教職員がレクチャーなどをする「1210あかりんアワー」を開催したりしています。

【学習リソース】
このセンターでは教員の教材作成支援をひとつの主要テーマにしています。日本では、アメリカなどに比べると教科書や教材の電子化に後れをとっており、我々の活動のなかでも課題が一番残っている領域です。最近、オンラインで提供される大学の授業が話題になっていますが、当センターでも学習のためのリソース(資源・材料)をつくるために講義を丸ごとビデオに収録する作業に着手しています。また「授業資料ナビゲーター」といって、ある特定の科目を学ぶために必要な文献案内ツールも作成しています。

【人的サポート】
究極的に学生に身に付けてもらいたいのは、教えてくれる人が周りにいなくても自ら学習していける能力です。「アカデミック・スキル」とか「情報リテラシー・スキル」などと称されるこれら一生モノのスキルを身に付けてほしいわけです。そのために、大学院生による「学習支援デスク」や図書館員による「レファンレスデスク」などを提供しつつ、「レポート作成セミナー」などの各種講習会も開催しています。

学生にとってこれらアカデミック・リンク・センター(詳細については以下参照 http://alc.chiba-u.jp/index.html)は、多様な学習のスタイルにふさわしくのびのびと学ぶことができる場であり、その意義はますます大きくなると考えます。

こんな学生に来てほしい

個人的な意見ですが、穴埋め式の入試問題に答えるのだけが得意というような人にはあまり興味がありません。知識を持つことはもちろん不可欠ですが、それよりも様々なことに対する好奇心とか、未知なる物事を理解しようという一生モノの力をもつことのほうが重要です。そうした人であれば、この大学がもつ学習環境をうまく生かして、新しい力を身に付けられるのではないかと思います。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。