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GOOD PROFESSOR

東京都市大学
工学部 医用工学科

和多田 雅哉 教授

わただ・まさや
1961年東京生まれ。84年武蔵工業大学(現・東京都市大学)工学部電気工学科卒。84年アマダ入社。技術研究所勤務。88年武蔵工業大学工学部電気電子工学科技術員。98年同講師。02年同准教授。07年工学部生体医工学科へ移籍。09年校名が東京都市大学に変更。12年同教授。13年学科名が医用工学科に変更。博士(工学 武蔵工業大学)。電気学会論文賞(94年)。

著作には『磁気浮上と磁気軸受』(分担執筆・コロナ社)などがある。

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和多田教授の研究室が入る「2号館」
図書館が入る東京都市大「9号館」

人間本位の医用臨床機器を開発

――今週紹介するのは東京都市大学工学部医用工学科の和多田雅哉教授。まずは医用工学科の特色からお聞きしていこう。

ここは工学部に所属する学科ですので、基本的にはエンジニア(技術者、英engineer)を育てるのが目的になります。つまり機械をつくる機械工学と、それを作動させる電気工学についてまずは学んでもらいます。

そのうえで医療機器や福祉機器の製作が目的の学科ですから、それらをつくる知識と技術を身につけてもらうわけです。ですから学科としての使命は、医学的知識をもったエンジニアの養成になります。医学に特化したエンジニアというのは引く手あまたで就職状況は非常に良好です。

カリキュラムは実験・実習系の時間を多くして、機械や電気・医学の技術関係の指導に力を入れています。とくに医学については学部内に手術室をもっていまして、外科手術の動物実験ができるようになっています。医学系の専任教員も所属しており、わが国の大学工学部において手術室と専任医学スタッフをもっているのは本学だけですね。

それに心電図や脳波・血圧などの生体情報を計測する設備も用意され、学生が実習で操作できるようにもなっています。さらに実際の病院における医療スタッフや患者の雰囲気や様子を知るために、提携病院での実習も義務づけられています。

研究室学生たちと談笑する和多田教授
片麻痺の人でも片手で操作できる車イス

世界最先端の医用臨床機器の数々

――そう語る和多田教授のご専門は「人工臓器」「生活支援機器」「エネルギー伝送システム」だ。いずれも世界最先端のすばらしい医用臨床工学機器の開発ということで、それぞれについてご説明をお願いした。

【人工臓器(Artificial Organs)】この分野では人工心臓の製作に挑んでいます。これまでの人工心臓といいますと、心臓をまるごと製作して生体の心臓と取り換えてしまうというのが主流でした。しかし現在は、弱った心臓に人工のポンプを並列に取り付け、機能をアシストする方法が主流になっており、その方法で研究開発をしています。すでに私たちの開発している人工心臓は手のひらに載るくらいに小型化されています。しかし日本人の体内に埋め込むにはまだ大きすぎ、さらなる小型化を学生たちと図っているところです。

【生活支援機器(life support device)】この分野では、10年ほど前にある学生が出したアイデアをもとに片麻痺の患者さん用に製作した、片手で操作できる車イスを開発しています。すでに試作品は完成し、いまは病院に持ち込んで患者さんに試用してもらっています。あと2~3年での実用化をめざしています。さらに次の段階では、パワーアシスト(モーターの力によって走行をアシストする機能)を搭載させて悪路や坂道でも簡単に操作でき、さらに利用者の腕の負担が軽減できるようにしたいと考えています。

【エネルギー伝送システム】「経皮エネルギー伝送システム」(transcutaneous energy transmission system)とも呼んでいるものです。たとえば人工心臓などの機器を体内に埋め込んで使用するとき、ワイヤレスでエネルギー供給するシステムになります。ここでは電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して、身体の内と外の2つのコイルを対応させて送るメカニズムを採用しています。携帯端末の充電器やICカードの読み取り方法などに使われている技術と同じです。将来的にはこの技術を電気自動車やハイブリッド車の高性能バッテリー充電にも利用しようという研究も始めています。

東京都市大世田谷キャンパス点描

対等なディスカッションの場として

――つぎに学部生の研究室配属についてもお伺いした。

学部生の研究室配属は3年次の後期に仮配属され、4年時の4月から本配属になります。わたしの所属する「臨床器械工学研究室」は、医学担当・森晃教授との2人教員体制のため受け入れ学生の定員は12人で、例年定員いっぱいの学生を受け入れています。

――この研究室は医用工学科のなかでも人気ナンバーワンの研究室と聞く。

おかげさまで配属希望の学生が定員の倍を超えることもあります。定員を超えますと、その成績順で選抜することになります。教員としては希望してくれた学生は全員を受け入れたいのですが、定員制は学科の方針でもありますからね。

――配属になった学生たちの卒業研究までの段取りについては……

まず3年次後期に仮配属になった学生には、自らどんなテーマで卒業研究をしたいのかを真剣に考えてもらいます。実際には先輩たちが進める研究の様子を見学したり、研究室のミーティングに参加したりして、自分の希望を絞り込んでいきます。そして4年次4月からはそれぞれの研究に本格的に入ることになります。

わたしの研究室ではひとり1テーマが原則で、グループ研究や大学院生とペアを組んだ共同研究などは原則として認めていません。自分ひとりしか世界で誰もやっていないことを自覚してもらい、責任感をもって研究に臨んでほしいからです。

ここでエンジニアにとって肝に銘じなければならないのは、機器を使用する人(患者さんや障碍者)にとっての使い勝手を最優先に開発を進めていくということです。つまり開発製作サイドの都合であっては絶対にならないのです。

――あらためて学生指導で心掛けていることについてはこう語ってくれた。

わたしは同じ研究者仲間として学生をみなすようにしています。ですからミーティングの席でも「報告会」ではなく、研究について対等なディスカッションの場になるようにし向けているつもりです。これは冒頭で申しましたように、エンジニアを育てることを目的にしていますので、自らが考えてモノづくりが出来るようにならないといけないと思うからです。

そうしますとモチベーションの高い学生はどんどん伸びていきます。一方で教員の指示がないと動けないという学生も現実にはいるわけで、そういう子は落ちこぼれがちになってしまいます。そういう場合でもどうすれば高いレベルに引き上げてやれるのか? それを常々考えながら指導にあたっています。

こんな学生に来てほしい

基本的にモノづくりが好きな人に来てほしいですね。この研究室では自らのイメージや発想を現実の形にすることが可能となります。「こういうものが現実にあればいいなぁ」と考えているのであれば、是非いっしょに考えて形にしていきましょう。それに加えて私たちがつくっているものは、人々のためになり人から喜ばれるものであるということもつけ加えておきたいですね。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。