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GOOD PROFESSOR

東京工科大学
デザイン学部

若林 尚樹 教授

わかばやし・なおき
1959年石川県生まれ。81年金沢美術工芸大学美術学部産業美術学科工業デザイン卒。84年筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。84年富士ゼロックス総合研究所入所。工業デザイン室勤務。86年資生堂入社。宣伝部勤務。93年岡山県立大学講師。98年同デザイン学部助教授。00年東京工科大学メディア学部助教授。05年同教授。10年より現職(デザイン学部新設)。博士(感性科学 筑波大学)。日本コンピュータグラフィックス協会デザインコンテスト奨励賞(95年)芸術科学会第24回NICOGRAPH論文コンテスト優秀論文賞(共同受賞 88年)。

主な著作に『ディジタルイメージクリエーション』『ハイパーメディアデザイン 1』(前著ともに共著・画像情報教育振興協会)『インターラクションと情報デザイン』(オーム社)などがある。

若林教授が主宰する「Bee Project」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.ds.teu.ac.jp/~wak/bee/

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若林教授の研究室が入る「3号館」
東京工科大3号館のエントランス

手と身体で考える「インターラクションデザイン」

――今回登場願うのは東京工科大学デザイン学部の若林尚樹教授。まずはデザイン学部の特色からうかがっていこう。

本学デザイン学部は来年度(2015年度)から「工業デザイン専攻」が新設されます。それに伴って学びのスタイルが少し変わり、1~2年次で「視覚デザイン」と「工業デザイン」の基礎を全員で学びます。

3年次になりますと、「視覚デザインコース」において「視覚デザイン」「映像デザイン」を、「工業デザインコース」において「空間デザイン」「工業デザイン」のそれぞれの専攻を学んでもらいます。そこから各自がひとつの専攻に絞り、4年次で専門的に学んでいくというスタイルです。ですから、まずは全員が基礎から専門をひと通り学んで、最終的に各自興味のある専門に絞って進むというのが特色になります。そのためゼミ演習制は採っておりません。

もうひとつの特色として、デザインの実技なしで学科試験だけの入試を認めていることもあげられます。これは、デザイン実技について経験がないが、デザインに興味があって商品開発などに携わりたいとかモノづくりに参加したい等というような人にも入学してもらいたいわけです。

ここで4年間のうちに身につけてほしいものは、(1)チーム力(2)発想力(3)取材力(4)実現力(5)提案力(6)集中力――の6つです。つまり個人作家志向の人よりは組織内においてチームでデザインにかかわる人材の育成を目指そうというのが学部のねらいになります。

――こう語る若林教授のご専門は「デジタルデザイン」「情報デザイン」「ワークショップによる学びのデザイン」だ。

これら3つの項目は、わたし自身の中では一つにつながっています。強いて分けて説明するとすれば、「デジタルデザイン」とは、コンピューターを道具として用いてデザインしていくこと、あるいはWebデザインやスマーフォンアプリのデザインのようにコンピューターの環境そのものがデザインの対象であるデザインのことを言います。

そのときにどういう情報をどう表現するのかが「情報デザイン」というわけです。最近は、その情報の使われ方が重要だという認識から、「モノのデザインから」から「コトのデザイン」へという言い方がされる分野になっています。

3号館14階から見た蒲田市街の眺望
校舎壁面にある東京工科大学ロゴ

ワークショップ「Bee Project」への自主参加

――若林教授といえば、小学生などを対象にしたワークショップ「Bee Project」でつとに知られる。

このワークショップもわたしのデザイン活動の一環として進めているものです。ここでは情報の使われ方の実践として、その教材開発と教材を使った体験プログラムとして実施してきました。

この「Bee Project」は、「すみだ水族館」など東京都内や地方の水族館の協力を得て、小学生を中心にした子どもたちに海の生物に興味をもってもらうために開く体験プログラムです。

ここでは「学び」について、どうデザインしていくのかが考えられていきます。Bee Projectとは、「Beach Ecology and Education Project」(海の生き物教育プロジェクト)に由来して命名されたものです。

――もう少し具体的にご説明いただくと……

「Bee Project」では全プログラムで教材を駆使していくことが特色といえるでしょう。紙や段ボールなどを使って海の生物や等身大のペンギンなどを工作してもらい、その生物の構造や生態・生息場所などに興味をもってもらうようにしています。

その生物の何に興味をもってもらうかについては、事前に水族館の飼育スタッフの方と学生たちとで打ち合わせています。こうして各水族館の特性に合わせた教材づくりをするようにしているわけです。

――これらのユニークなプロジェクトは「実習授業」の一環とばかり思われがちだが、じつは学部学生にとっては「課外活動」であるという。つまり参加している学生たちはすべてが自主的な参加なのだ。

いまは22人の学生が各学年から参加してくれています。ほぼ全員が他のサークル活動などにも参加していますが、毎週木曜日の夜6時半からのミーティングや教材製作が中心的な活動となります。

学生たちはとても意欲的で、教材の企画から設計デザイン・制作・宣伝、そしてワークショップの実施までそれぞれが得意な分野を分担してやってくれています。そういう意味では、実社会での商品開発の経験をしているとも言えるでしょう。この学部の目標であるチーム力を育てることにもなっていると思いますね。

今年すみだ水族館でのBee Project
東京工科大蒲田キャンパスの点描

双方向性の視線によるデジタル情報デザイン

――東京工科大学デザイン学部にはゼミ自体がないということで、若林教授の学部での担当授業についてお聞きしていこう。

講義課目は「インターラクションデザイン」と「デザイン概説」の部分を担当しています。ここで「インターラクションデザイン」(Interaction design)というのは「情報デザイン」(information design)の一部分で、いわばコンピューター上でのデザインということになります。

「人間とコンピューターおよびコンピューターを介した人間と人間とのインターラクション(双方向性)をデザインするための研究をしています。コンピューター上での体験は疑似体験でしかありませんが、その背景には本物の人間を相手にしたインターラクションが存在しなければ成立しないという考えからやっています。

――具体的にはどんな講義内容になるのだろう。

たとえばWebサイトのデザインの授業では、Webを通したインターラクションについて様々に考えていきます。さらに卒業研究では「視覚表現と情報伝達」に関連したテーマを与えています。

それぞれテーマに合わせてポスターをデザインしたり、ワークショップの教材をつくったり、結婚式の案内状をデザインするなど、伝えたい情報をどう視覚化するかということで学生たちには取り組んでもらっています。

――あらためて学生たちへの指導方針についてはこう語ってくれた。

何ごとに対しても興味をもって、さらに積極的に関わっていってほしい。最近の傾向として、内心では興味があるのに離れたところから第三者的に傍観していたり、人によっては何も興味も示せるものが無かったりする人が増えてきている気もします。

こうしたモラトリアム状態から勇気をもって一歩踏み出し、オリジナルの興味をもつ対象を探し出すとともに面白がって積極的にかかわってみる。ここはデザイン学部ですから、とくに「手で考える」「身体で考える」ことが大切なことを常に指導するようにしています。

こんな学生に来てほしい

いろいろなことに興味をもち何か自分らしいことをやってみたいという人にぜひ来ていただきたい。この学部には授業以外にも、「手で考えるコト」「身体で考えるコト」が豊富に用意されていますから、そういうものに積極的に参加してほしいと思います。せっかく大学に来たからには、一生モノの何かプラスアルファになるものを見つけてほしいですね。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。