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GOOD PROFESSOR

青山学院大学
文学部 英米文学科

小野寺 典子 教授

おのでら・のりこ
東京生まれ。87年埼玉大学大学院文化科学研究科言語文化論専攻(言語学)修士課程修了。92年日本女子大学大学院文学研究科英文学専攻(言語学)博士後期課程退学。92年産能短期大学専任講師。93年米ジョージタウン大学大学院言語学部博士課程修了。96年青山学院大学文学部英米文学科専任講師。同助教授・准教授をへて、09年より現職。Ph.D.(言語学)。主な著作に『歴史語用論入門』(大修館書店)『Journal of Historical Pragmatics特集号 8.2』(前著ともに共編著)『Japanese Discourse Markers』(前著ともにオランダで出版)などがある。

小野寺教授が代表を務める「青山学院大学総合研究所プロジェクト」のURLアドレスはコチラ↓
http://www.ri.aoyama.ac.jp/pjt_index.html#pjt-cont

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小野寺研究室が入る青山キャンパス
「15号館」
「ガウチャー・メモリアル・ホール」
(15号館)のエントランス

「談話標識」言語研究のパイオニア

――今週は、青山学院大学文学部英米文学科の小野寺典子教授に登壇ねがう。まずは、青山学院大学英米文学科の特色からお話しいただこう。

本学の英米文学科は6つのコースからなっています。わたしが所属しているのは「コミュニケーションコース」です。じつはコミュニケーション分野は96年、本学にわたしが着任と同時に開設されたもので、当時はわたし一人の担当でした。

――つまりは青山学院大学英米文学科コミュニケーションコースの歴史をつくってきたのは小野寺教授ということになる。

それまでの伝統的な英語学では、「語」や「文」についての言語学的な研究が主なものでした。この国の英語教育も伝統的な考え方を基盤としてきました。ところが語用論では最低でも2つ以上の文(つまり談話)を研究対象とします。状況の中でどんな談話がなされているのか、そのことに焦点をあてているのです。

具体的な研究の方法としては、日常の中で自然におこなわれている会話を録音し、それを文字に書き起こして分析していく「談話分析」(discourse analysis)という研究手法をとります。すると人による原始的な営みである会話(談話)のなかに精巧なメカニズムや規則性が宿っていることが見えてきます。

――こうしたコミュニケーション研究は他大学に先駆けた研究だったようで、小野寺教授はパイオニア的存在といえよう。

いえ、いえ。どうでしょうか(笑い)。数は少なかったでしょうが、同じように研究していた人は当時ほかにもいたとは思いますよ。

大学で授業を担当していて思うことは、日本の若者は科学でも宇宙開発でもスポーツでも世界トップレベルの活躍を見せているのに、こと英語・語学に関しては残念ながらとてもレベルが低いということですね。たとえばTOEFL(Test of English as a Foreign Language)のスピーキング部門で、日本はアジア諸国のなかで最下位です。ちょっと考えにくいことですが、まさに事実なのです。

ところで本学の英米文学科における学生の英語力は高いと思います。その英語力をさらに磨くために「IEプログラム」(Integrated English)というのを実施して、英語の「聴く」「話す」「読む」「書く」について少人数の習熟度別クラスで学べるようになっています。

英語が得意で好きという皆さんはぜひ本学科に入って英語力を高めていただきたい。英語に関して幅広く学べる環境が整っていますので。

雰囲気のある青山キャンパス正門
青山キャンパス点描

英語と同様に日本語にも「談話標識」がある

――こう語る小野寺教授のご専門は「社会言語学」「語用論」「談話研究」ということになる。まずは聞き慣れない「談話標識」(discourse markers)について、はたしてどんな研究なのだろうか。

これはアメリカに留学していた時のわたしの恩師が最初に唱えた説です。英語でいえば「well」「so」「but」「and」「now」「oh」「because」「or」など11個の「標識」が見つかり、会話をスムーズに運営するために発せられる表現のことをいいます。

この説を持ち帰るとともに、日本語の談話標識を見つけて博士論文にしました。つまり、「でも」「だから」「だけど」「で」などの表現がそれにあたります。

よく会話はキャッチボールに例えられます。つまりは相互作用なので、話し手だけが話を進展させているわけでなく、聞き手による相づち(あるいは話し手が、内容がちゃんと伝わっているかどうかを確認することも含め)などにより、まさにキャッチボールのようにしながら会話コミュニケーションの意味をつくり上げていきます。

そうした相互作用を進めるためにあるのが談話標識というわけです。会話の運営上、話し手が意図や動き(action)を伝えるもので、聞き手はこれを解釈し、会話を運んでいると言えます。

はたして会話のなかで話題転換するときに何と言っているのか? ここで日本語では「ところで」より「でも」「だけど」が多く、英語においては「by the way」より「but」が頻繁に使われていることがわかりました。

「but」「and」などは伝統的な言語学では非常に論理的な接続詞とされてきました。しかし現実の談話のなかでは多くの場合、無意識のうちに使用され、相互作用的な会話を管理するための談話標識として用いられているということになります。論理的事実を結ぶというより、人と人の動きを取り持つ働きをしたりするのです。

青山キャンパス点描

英語のプロの「コミュニケーター」をめざそう

――つづいて小野寺教授が担当する専門ゼミ演習のことについてお聞かせいただこう。

本学英米文学科の専門ゼミは3〜4年次の学生が対象で必修です。各ゼミとも3・4年次あわせて23人ほどを定員としています。おかげさまでコミュニケーションコースは人気がありまして、わたしのゼミにも70人を超える希望者が集中した年もあります。その選抜については「志望動機書」に書かれた文章を読ませてもらって決めています。

ゼミの内容としては、通年かけて「作業編」「理論編」同時に進めていきます。理論編では、談話を分析する際の道具となる理論(英語による原書)をゼミ生ごとに担当個所を決めて内容の発表をしてもらいます。作業編では、ゼミ生2人1組になって英語と日本語の談話をICレコーダーに収録して、それらを文字に書き起こしてデータ資料をつくり分析していきます。

分析にあたっては、人間関係の親疎(親しさの度合い)や他の社会的要因(男女差・世代差・地域差・社会的役割関係など)によって、談話標識や文末表現の使用がどう変化するのか? あるいは英語と日本語会話では例えば相づちのうち方が違うのかなど、そうした分析までしてもらいます。

後期1月には研究発表会をしています。4〜5人のグループになって、上記のような内容からそれぞれ興味をもったテーマについて研究したものをプレゼンテーション形式で発表していきます。プレゼンソフトでまとめ、発表するグループが多いです。なお、4年次の卒業論文提出は選択となります。

――あらためてゼミ生たちへの指導方針については次のように語ってくれた。

ここで学ぶからには、従来ありがちな語学系・文学系とは違う意味において英語のプロの「コミュニケーター」をめざしてほしい。英語を総合的に学べることが本学科の強みでもあるのです。また机上の研究に満足せずに、積極的に英語でコミュニケーションをとったり留学したりすることも大事です。

イギリス英語とアメリカ英語などの違いを肌で感じることや、外から日本を客観的に見ることもぜひ体験してほしいと思います。最近は日本から海外留学にチャレンジする学生が一時より少なくなっていて、それがちょっと残念です。「百聞は一見に如かず」ですからね。

(なお2014年度の小野寺教授は1年間の研究期間となり、講義もゼミも担当しない。15年度からは通常通り担当する予定という)

こんな学生に来てほしい

まず英語が好きであること。とくにプロの英語コミュニケーターをめざそうという方にピッタリの環境が用意されています。英語や外国語というものは、勉強すればするほど面白くなっていきます。英語の需要はますます盛んになっていますから、ぜひ将来も地球というグローバル社会で活躍して行っていただきたいですね。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。