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GOOD PROFESSOR

東京電機大学
情報環境学部

宍戸 真 教授

ししど・まこと
1962年千葉県生まれ。86年米パシフィック大学大学院修士課程修了。90年国際基督教大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。92年日本獣医生命科学大学講師。07年順天堂大学医学部准教授。11年より現職。博士(学術東北大学)。

著作に『高校入試スーパーゼミ英語リスニング』(文英堂)『大学入試英語リスニング対策』『全国大学入試問題正解 英語リスニング問題(解答執筆)』(前著ともに旺文社)などがある。

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宍戸研究室が入る14号館「研究棟」
視線計測装置を装着した学生とともに実験中

未来型学習法「Effective Reading」の可能性

――今週は東京電機大学情報環境学部の宍戸真教授にご登壇願う。まずは、その所属する情報環境学部の特色からお聞きしていこう。

この学部の第一の特色としてカリキュラムは自分でつくります。半期ごとに科目が完結するセメスター制で必修科目を設けておりません。ですから学生が各自で学びたい科目を選択して履修するスタイルになります。

また、この学部では50分授業を実施しています。週1回の90分授業ではなく50分授業を週3回履修する——このほうが学生にとって集中力が途切れずに継続性があると好評です。

――いずれの方式も学生の学習意欲を高めそうだ。なお東京電機大学情報環境学部は情報環境学科だけの単科学部で、(1)ネットワーク・コンピュータ工学(2)デジタル情報工学(3)建築デザイン(4)コミュニケーション工学——の4コースからなる。宍戸教授自身は「コミュニケーション工学コース」に所属する。

コンピュータというのは、人間が存在して初めて成り立つ技術です。ですから本コースでは、人間との関わりにおいてコンピュータを使うときの操作性などの研究をしています。工学系には珍しい心理学の先生も所属しておられます。

PC画面中の「Effective Readingプログラム」
東京電大千葉ニュータウンキャンパス点描

「Effective Reading」英語学習に研きをかける

――そう語る宍戸教授のご専門は「英語教育」と「コンピュータを利用した語学学習」だ。本来は英語指導を専門にしていたという。

ずっと英語指導を専門にしてきましたが、教科書だけをテキストにしている授業は面白くありませんし、どんなに工夫しても学習効果もさほど上がりません。そこで英語を楽しく学ぶためにコンピューターをもっと活用したらどうかと考えまして、ゲームやアニメを使った指導法をいろいろ工夫してきました。

おかげさまで「遊び感覚で英語が覚えられる」と学生たちにも好評だったこともあり、英国企業および日本の出版社との3者により共同開発したのが「Effective Reading」というプログラムなのです。これはリーディングの学習時に単語をひとつずつ拾って読むのではなく、いくつかの単語群を塊として読む訓練をするため、PC画面に表示された英語の長文が次々と色変わりして導いてくれるプログラムです。

このプログラムを開発発表したのは06年のことでした。非常に評判を呼び、学会発表のときなど会場に人々があふれんばかりでした。本学に移った現在もこのプログラムは使用していますが、未だにこれを超える学習プログラムは発表されていませんね。

――この「Effective Reading」プログラムの学習効果についての検証も宍戸教授の研究テーマのひとつだ。

今まさにその検証分析作業をしているところです。被験者の学生に視線計測用のアイカメラを装着してもらうことで、PC上の英文のどこをどんな速度で読んでいるのかがわかります。これを何人かで計測したところ、英語が得意な人は視線が一定速度で動いたり止まったりするのに対し、苦手な人にはパターンらしきものがないことがわかってきました。つまり早かったり遅かったりと目茶苦茶なわけです。

そこで英語の苦手な学生に、先の「Effective Reading」で半年間学習してもらうとどのように変化するのかを調査しました。英語が苦手な人は日本語の意味を考えながら読む傾向が強いために、視線が大きく戻るという特徴があります。それが半年間の学習後は半数以下に減少し、視線が止まる時間も全体的に短くなる傾向が見られました。さらに読む速度自体も速くなっていました。

こうした研究は世界でも初めてのことだったようで、各方面から大きな反響がありました。現状として視線計測装置のセットアップに時間がかかっていますので、今後は最新機器の導入によって検証作業の効率化を図り、もっと多くの人によるデータも取っていきたいと考えています。

広々としたキャンパス内に建物が点在する
キャンパス正門からつづくケヤキ並木

想像力ありきの「e—Learning」プログラム開発

――つぎに学部生の研究室配属について伺っていこう。

情報環境学部における学部生は、3年次から基礎プロジェクトということで研究室に配属になります。4年次は卒業研究のための配属になりますが、わたしの研究室では同じ学生に3〜4年次継続して入ってもらいます。配属になる学生は毎年各学年8人ほどですが、希望する学生は2倍ほどおりまして、選抜はわたし自身が面接をして決めています。

3年次に配属になった学生には、ITプログラム開発の基礎知識を学びながら、代表的な「e—Learning」プログラムを体験することから始めてもらいます。それが済むと、学生たち自身による簡単な教育プログラムの作成へと入っていくことになります。

4年次の卒業研究では、自らつくったプログラムの教育効果のほどを検証していきます。ここで重要なのが使用する人がリラックスしているかどうかで、そのために視線計測装置を使用したり、脈拍やヘモグロビン血中濃度を計測しながら検証確認をしたりします。これらプログラム作成から計測データの分析までに至る一連の作業が卒研に直結していきます。

――あらためて学生たちへの指導方針についてはこう語ってくれた。

まずはオリジナルな想像力を養ってほしいということに尽きます。学びの方法をデジタル化することによって、こんな楽しみ方があるとか、デジタルを使えばこんなことも出来るといった、創造的なアイデアが出てくることが大切です。そうなれば研究自体がますます面白くなるわけで、学生たちには日々そういった働きかけをしています。

わたし自身は基本的には細かいことまで逐一言わないタイプだと思います。ですから逆に、各自がそれぞれ考えながら開発研究に動けるようになって欲しいわけです。

こんな学生に来てほしい

昨今の閉塞感ただよう時代背景を反映してか、指示されたことしか出来ないタイプの若い人が次第に多くなってきた気がしています。できれば自分から「こういうことがやりたい」ということが明確になっている人を歓迎したいですね。研究における新しい発見についても、いつも教員の判断・指示を待つばかりでなく、学生のほうから「こんな新しいものが」と言ってきてくれたら嬉しいですね。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。