早稲田塾
GOOD PROFESSOR

専修大学
経済学部 国際経済学科

泉 留維 教授

いずみ・るい

1974年広島県生まれ。00年同志社大学大学院経済学研究科応用経済学専攻博士前期課程修了。04年東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士後期課程単位取得退学。04年専修大学経済学部専任講師。その後同助教授・同准教授を経て、13年より現職。この間13年北京外国語大学・北京日本学研究センター客員研究員。

主な著作に『だれでもわかる地域通貨入門』(分担執筆・北斗出版)『テキストブック 環境と公害:経済至上主義から命を育む経済へ』(日本評論社)『コモンズと地方自治:財産区の過去・現在・未来』(前著ともに共著・日本林業調査会)などがある。

「泉留維研究室」のHPアドレスはコチラ↓

http://izumi-seminar.net/

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泉研究室が入る生田キャンパス「6号館」
専修大生田キャンパス正門

持続可能社会のための環境政策

――今回紹介する専修大学経済学部国際経済学科の泉留維教授に、まずは専修大学経済学部のことからお話しいただこう。

本学経済学部は経済学科と国際経済学科の2学科からなります。両学科とも垣根が低くなっていまして、学生はどちらの学科に所属していても双方の科目の履修がかなり自由にできますし、どちらの学科のゼミ演習を取ることもできるようになっています。それが大きな特色のひとつではないでしょうか。

――泉教授自身が所属する国際経済学科については……

ここでは学科名のとおり国内問題ばかりでなく、海外を含めた経済問題について学んで欲しいという狙いがあります。ですから教員も各地域に特化した研究をしている先生が多く、中国や東南アジア・欧州・アフリカ・南米などの経済・社会問題について多く研究されています。また、世界共通の地球規模での問題である環境や貿易・エネルギーなどの諸問題を研究している教員もおります。

さらには外国語教育に力を入れていることも特筆ものでしょう。英語をはじめ独語・仏語・中国語・スペイン語・露語・朝鮮コリア語・インドネシア語も学べます。このうち英語を含んだ2ヵ国語履修が必修になっています。

それに海外出身の経済学者を毎年度ふたり招聘していまして、英語による経済学講義も受けられます。さらに受講は2年次からになりますが、「NGO論」「海外特別研修」などの科目を選択すると、海外において講義や研修も受けられます。これらが国際経済学科の大きな特色と言えるでしょうね。

専修大生田キャンパス「120年記念館」
緑陰涼しい専修大生田キャンパス点描

自然を豊かに守るための「フットパス」精神

――泉教授の専門は「環境影響評価」(environmental impact assessment)と「環境政策」(environmental policy)だ。それら環境問題諸研究の中心には「フットパス」というキーワードがあるそうだ。はたしてフットパス(Footpath)とは何なのか?

わたしの研究テーマを大きく説明すれば「人と環境のかかわり」ということになるでしょうか。より具体的には、持続可能な社会に向けて「環境を守る」とはどういうことなのか、そういったことをテーマに考えてきました。

ここで「環境を守る」などと言うと、えてして自然環境に人為的な手を加えないで太古の姿のままに残すことだと思われがちです。しかし、それだけで環境を守ることになるとは限りません。実際には、人々が適切に利用することによって環境が守られることも多いのです。

そこでフットパスですが、森林や田園などの中に作られた小道(path)を人々が歩くことで、自然環境について学び、自然の利用を身につけることも狙いとしたイギリス発祥の活動です。ここで重要なのは、自然環境に適切にアクセスすることで、それが自然を守ることに繋がってくるのです。

かつてこの国では里山や里海などが身近にあって、人々は気軽に自然環境にふれ合いつつ自然を守ってきました。それが生活の一部であったのです。それと同じように、現代人の余暇として自然にふれ合いながら、守っていこうというのがフットパスの活動になります。

――日本でのフットパス活動の現状と、泉教授のかかわりについては……

わが国では2000年ごろから始められた活動で、里山再生やビオトープ(biotope)づくりなどの活動とリンクしながら展開されてきました。そのなかでフットパスは、いちばん軽やかに展開されうる活動といえます。まず「山野を歩くことは楽しい」ということを知ってもらうことで、そこから余暇とか自然とのかかわり方も違ってくるのではないかと考えられています。

わたし自身は日本のフットパスの現状を観察し、今後どのような政策が必要なのか、具体的には地権者の協力をどう取り付けていくのか、そういった問題について研究してきました。

たとえばイギリスには「歩く権利」(right of way)というのがあります。公道はもちろん、私道であっても英国人は自由に歩いて良いという公共の権利が法律できちんと認められています。日本では私有地の利用はタイトな問題を含んでいまして、いかに地権者の協力を得ていくのかが研究テーマのひとつともなってきます。

さらに、フットパスがもたらす経済効果についても研究しています。フットパス整備により雇用の創出や地域おこしにつながることで、実際にどのくらいの経済効果があるのかを測ることなどもしています。

緑陰涼しい専修大生田キャンパス点描

一生モノの積極的リテラシーを身につける

――次いで、泉教授の専門ゼミ演習についてお伺いしていこう。

専門ゼミは2年次の学生からが対象で、わたしのゼミでは各学年12人ほどのゼミ生でやっています。ふだんのゼミ授業では文献講読が中心となります。文献の読み方やレジュメ作成法・発表方法など基本的なことから学んでもらいます。ほとんどのゼミ生は4年次で卒業して社会人に巣立っていくわけですから、そうした一生モノの基本リテラシーを少しでも高めてあげたいのです。

このゼミでは、環境問題を切り口にして発表プレゼンする能力を鍛えてもらいたいと考え、毎回ゼミ授業の冒頭に1分間スピーチを3人のゼミ生にしてもらっています。与えられた時間内に自らの伝えたいテーマをどう盛り込んで話せるのかという訓練ですね。

さらに具体的なゼミ活動としては、北海道「根室フットパス」にゼミ生と行きまして、地元の方のフットパス整備のお手伝いをしてきました。歩道の整備やバードウォッチング用の小屋を建てたり、コース案内標識を整備したりするなどの活動ですね。4年ほど前から夏合宿の恒例になっていまして、自然を守るとは実際どういうことなのか身をもって体験してもらっています。

――あらためて最後に教え子たちに向けた指導方針についてはこう語ってくれた。

だれかの指示を待つような受け身の姿勢にならずに、自ら話しかけて自分の意見を主張できる人になってほしいですね。最近の学生の傾向として、フットパス整備のお手伝いをしていても地元の方と語り合う姿があまり見られません。それでは駄目なわけで、どうにかして若い学生の方からいろいろ質問し話すような積極性を身につけてほしい。元々の性格は変えようがないにしても、そういう意識をしっかり持つだけでも違ってくると思います。

こんな学生に来てほしい

ここは国際経済学科ですので、国際的なことに関心のある方に来ていただきたいのが一番ですね。そういう関心をもつ人にとっては、かなり充実した科目や教員が揃っていることをお約束できます。その意味で学ぶ環境は十分に整っていますので、それをうまく活用してほしいと思います。高校までと違って、大学は受け身のままでいては何も学べないところなので、教員を利用し倒すくらいの気持ちで来ていただくと充実した学生生活が送れるはずです。

公開日:

※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。