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GOOD PROFESSOR

千葉工業大学
社会システム科学部 経営情報科学科

大田 勉 教授

おおた・つとむ

1946年富山県生まれ。1969年千葉工業大学工業経営学科卒。1970年同学助手を経て、現在に至る。この間、玉川大学、千葉大学、千葉商科大学などの非常勤講師、千葉商科大学大学院商学研究科客員教授を兼任

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津田沼キャンパスは、JR津田沼駅から
連絡歩道橋を使う
創造性の研究が文部科学省社会連携
プロジェクト「地域産業における創造的
人材育成プログラム開発」に採用された

シンプルな手法で新しい発見を促した「駅力」

――新宿が1位、2位は池袋――。首都圏とその近郊の駅を対象として「駅力(えきりょく)」を数値化する研究を行っているのが、千葉工業大学の大田勉教授率いる研究グループだ。誰もが頷くマンモス駅が上位なのはもちろんだが、意外な駅が上位に食い込んでいたりする。どのような手法で算出されているのだろうか。そして、その狙いは。

駅力の他にも、「創造性」について長年研究し、また千葉工業大学初となるIR(統合型リゾート)の研究をゼミテーマに取り入れている大田教授にお話を伺った。


私が研究対象としている駅力指数は、いたってシンプルな計算式から成っています。乗降客数や車両数などの輸送力ではなく、ダイヤ時刻表を用いて列車の発車本数とその列車の直接移動可能駅数を数え、1日の平均路線値を求めるのです。すると、その土地の人気や人々の印象とは全く関係のない、純粋な利便性だけが割り出されます。

例えば千葉県内で駅力が最も高いのは本八幡駅であるという結果になりました(全体52位)。知名度も活気もかなりある印象の船橋駅(53位)をおさえての県内1位です。落ち着いた住宅街といった印象がある本八幡ですが、都営新宿線が乗り入れていることによって駅力が高くなりました。意外なところが実は便利だということに気づいてもらえたものと思います。

すると地価が安くて利便性の高い土地を探している個人にとっては、この駅力は一つの目安となりますよね。さらに街づくりを考える行政や商工関係、不動産業界にとっても、参考になりうる指数です。

現に豊島区においては、このたび池袋が駅力2位になったことを街づくりに活かそうとする動きがあります。豊島区は東京23区で唯一消滅可能性都市に区分され話題となりましたが、この駅力をぜひ活性化につなげてほしいと私も思っています。

「駅力」の研究は新聞、専門誌、タウン誌
などに掲載され話題となった

創造性を学ぶカリキュラムも

なお、1999年からテーマとしている「創造性」についても、様々なアイディアを極限までシンプルな方程式であらわすということを行っています。どのような創造も、既に知られている2つの情報の結合から生まれていると分析できます。これを学び、理解し、また自分でも既知情報を結合させる訓練をすれば、創造性は鍛えることができます。

「創造」というと、アインシュタインのような天才にしかできないことと思われがちですが、これを「創意工夫」と言いかえればどうでしょう。私たちは生活や仕事をする中で、無意識に小さな創造をしています。常人では考えつかないような素晴らしいアイディアも、日常の小さな創意工夫も、その本質は同じ。様々なアイディアの実例を集めて、それを検証しています。

また、模倣は創造から遠いかというと、決してそんなことはない。孔子は「叡智には3つの道がある。それは経験と探索と模倣だ」と言っています。「創造力とは思慮深い模倣である」というヴォルテールの言葉もあります。戦後日本がどうしてこんなに復興を遂げたのか、それは諸外国の模倣あってこそですよね。

インターンシップに出る直前の3年生には、事前教育のカリキュラムを組んで創造性について学んでもらっています。ビジネス社会で求められるのは、問題発見しそれを解決できる人材ですから、創造力を教育し、身につけさせるのです。ただ、既知情報を組み合わせるためには、もとになる知識や経験をたくさん詰め込んでおかなければなりません。常に問題意識を持ってアンテナを張り巡らしているからこそ、求める情報に出会ったときにパッとそれを取り込めるのです。いろんなものを見たり、いろんなところに出かけ、どんどん創造力の糧を吸収してほしいと思っています。

池袋駅が「駅力」2位になったことを受け、
これからの街づくりについて考える
場が生まれた

グループでテーマに取り組む卒業研究

——ご自身が取り組む創造性の研究が、そのまま学生の社会人としての成長に役立っている大田教授。実際に学生は、研究をどのように進めるのだろうか。

学生には、テーマごとにグループを組んで研究してもらいます。今年の4年生は7人で、3グループ編成です。研究テーマについては「例えばこんなものがある」と私が提示しますが、グループの編成については学生が決めるので、どんな人数構成になるかわかりませんが、基本的には2〜3人で一つの研究を進めます。

他の研究室は一人ワンテーマのところもありますが、私のところは基本的にグループ研究です。人とフェイストゥフェイスでのやりとりを少しでも多く経験してもらいたいというのが狙いです。今の学生には、顔を合わせての対話が苦手な人が多いと感じています。せめて卒業研究の場だけでも、一つのことについてとことん議論するという場を持ってほしいのです。社会に出るための訓練になるので、ぜひ喧嘩するくらいの議論をしてほしいといつも言っています。そうすれば自然にコミュニケーション能力も高まるのではないでしょうか。

卒業研究のテーマとしては、例えば昨年で言えば、東京オリンピックの経済効果など。経済効果は前提条件によって試算値がかなり違います。桁が10億の単位で違ってしまったりしますから、前提条件の設定の仕方はとても大切なのです。

さらに今年からは、カジノにレジャー、ビジネス、エンターテイメントを加えた統合型リゾート施設「IR」についての研究も一つのテーマとして選択可能です。カジノを幕張に誘致したときの経済波及効果や、観光案内、交通インフラ整備といったことで、IRの研究を行うのは千葉工業大学初の試みです。今年の4年生の取り組みはもちろんのこと、数年後の研究発展についても、楽しみにしています。

図書館などが入る5号館。
駅からは徒歩1分の近さ

こんな生徒に来てほしい

明るくて元気が良く、活発に意見を言える人に来てほしいですね。授業では、間違えてもいいのでいろいろ発言したり、質問してほしい。何が良いかというと、授業から脱線した色々な話題が飛び出す可能性があります。大学はその気になれば一人で勉強できる場ですから、教科書から少し外れた脱線話のほうが、ためになることが多いのではないでしょうか。どんどん反応を返して、疑問に思ったことは口に出し、授業を教わるだけの場ではない空間にしてほしい。そう願っています。


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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。