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GOOD PROFESSOR

千葉商科大学
サービス創造学部

吉田 優治 学部長

1987年青山学院大学大学院経営学研究科博士課程修了。87年稚内北星学園短期大学経営情報学科専任講師、89年千葉商科大学商経学部専任講師。助教授を経て教授。09年より現職。全国ビジネス系大学教育会議会長、アメリカ経営学会経営教育部会日本担当理事、日本経営教育学会元常務理事、全日本ブライダル協会理事。2000年ボストン日本人研究者交流会(Boston JRF)を創設。横浜キッズベースボールスクール代表など役職も多数。

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正門から入ると真正面には付属図書館が立つ
オシャレな学食「The University DINING」は
シーラカンスK&H株式会社の設計。
講師と学生たちが話に花を咲かせていた

「リアル」を体感できるサービス教育

——日本の国内総生産(GDP)のおよそ7割を占めるサービス業。しかしサービス業の経営者は、現場で働きながら経営の知識を身につけている人が多く、大学教育においてサービスに特化して学べる学部・学科はほとんどない。そんな中、政府は経済成長戦略の柱の一つにサービス経営人材の育成を掲げ、2015年度から、今後5年間にサービス経営人材の育成のための大学や大学院を全国50設置することをめざしている。その先行例としてモデルケースとなったのが、今回ご紹介する千葉商科大学サービス創造学部だ。学部教育の基本設計、そして2009年の学部設立以降6年半にわたり学部長として同学部をけん引してきた吉田優治教授。1期、2期の卒業生の就職率は99.3%、そして今年3月に卒業した3期生の就職率は100%。躍進の秘密とその教育内容を、吉田学部長に伺った。



大学で入ったクラブ活動で、メンバーの無責任、先輩・後輩の関係、リーダーシップのあり方などについての問題意識を抱くようになり、こうした問題に対して「経営学ならどのような答えを出してくれるのだろう」と思いました。そのような中で経営学のゼミを選びました。指導教授のおかげもあったのですが、経営学を学ぶことが自分の問題意識を解き明かす有力な手掛かりだと思えるようになり、大学卒業後も大学院で引き続き経営学を学ぶことになりました。そして、研究と教育がこれからの社会を確実に変えていく基礎になると考え、大学で研究と教育をすることを仕事に選びました。

最北の地に開学した短期大学に2年間勤務した後、千葉商科大学の専任講師になりました。その後、在外研究員としてフロリダ大学やハーバード大学に滞在する機会に恵まれました。またアメリカ経営学会の世界から集まる多様なメンバーたちとの交流を通じて日本と世界の大学の違いを痛感するようになりました。もっと学生を成長させるための研究や教育をしなければ、日本の大学は生き残れないと考えるようになった時期に、サービス創造学部を学部長として立ち上げることになりました。

サービス創造学部は、これまでの「学問から学ぶ」に加えて「企業から学ぶ」「活動から学ぶ」という3つの学びを学部教育の柱に据えました。「企業から学ぶ」ために日本航空、資生堂、帝国ホテル、綜合警備保障、ぴあ、JTB、HIS、千葉ロッテマリーンズ、JEF UNITED、ヤマト運輸など、先端的なサービスビジネスを展開する「公式サポーター企業」56社と連携して学部教育を創り上げてきました。そして「活動から学ぶ」ために、複数のプロジェクトを立ち上げ、サービスを創造することの厳しさや楽しさを学生たちに学んでもらっています。プロジェクトには公式サポーター企業とのプロジェクトなどもあり、そこが「リアルビジネスラーニング」の場になっています。最近、どの大学もアクティブラーニングが盛んですが、私たちの学部では「活動から学ぶ」ためには、同時に「学問から学ぶ」「企業から学ぶ」ことが重要だと理解しています。

学食メニューの一部
「OUR WEDDING プロジェクト」イベントの
ワンシーン

学内にも企業連携の場を

——昨年、経済産業省経産省にサービス経営人材を育成するためのモデル学部として認められたとお聞きしました。

私たちの教育に寄せる思いは、学部教育を通じて「日本の大学教育を変えたい」、「世界のサービスを創造したい」というもの。学部設立から6年間でここまで評価をいただけるようになったことを学部教職員全員でうれしく思いました。さらに今年度から3年間にわたり、経済産業省主催「産学連携サービス経営人材育成事業」に採択されることが決まりました。採択された事業は、私たちが「In-Campus Real Business Learning」と名付ける学習システム。大学キャンパスでビジネスを行う複数の企業のリアルビジネスから学び、それらの企業とともに新しいサービスを創造するというものです。アクティブラーニングのかなりハイレベルな学習モデルだと思います。

具体的には、5月11日にオープンした新学食「The University DINING」。学食の建設プロデュースや運営は、世界一の朝食を提供するレストラン「bills」を手掛けた公式サポーター企業「Transit General Office Inc.」が担当します。そしてDININGの清掃は「ALSOK」が担当します。この2社のリアルビジネスから学ぶシステムを構築します。また年内完成をめざす「The University HUB」にはライブハウス、SOHO、HOTEL、コンビニ、ダンススタジオなどのオープンを構想していますが、公式サポーター企業に運営協力いただき、企画段階から運営に至るまでを学生が学べるプラットフォームづくりを目指しています。企業でのインターンシップがサービスの仕事を学ぶとしたら、今回の試みはサービスビジネスを学ぶもの。インターンシップを超える学習モデルだと思います。

学部長室のオブジェ。
今後、学生にこの象のプロモーションを
課題として与える予定

学生とその保護者全員に携帯電話の番号を渡す

——最近では、自分の研究を進めるためにも小休止をしたいと笑う吉田教授。しかし今歩みを止めるわけにはいかず、結局全速力で疾走してしまっているという。そんな吉田教授は、学生に対しても常に全力投球だ。


私は入学式後の学部説明会で、新入生と保護者の皆さん全員に私の携帯電話の番号を公開して「必要な時には365日、24時間いつでも遠慮なく電話をしてください」と話します。周囲にはいたずら電話を心配してくれる人もいますが、学部開設6年間にいたずら電話など一件もありませんでした。まず学生や保護者のみなさんを信用することから教育は始まるのではないかと考えています。現在学部には800名を超える学生が在学しています。そして既に約600名の卒業生がいますが、いつでもどこでも彼らと電話でつながっています。学部ぐるみのお付き合いです。

こんな生徒に来てほしい

「他者と異なる体験や学びをして、他者と異なる発想ができて、やりたいことを意見の異なる他者と協働して実現できる人材」が求められていると考えています。「他者と同じ学びをし、期待される答えをして、他者から言われたことをきちんとこなせる人材」は大量生産時代に求められた人材です。私たちはビジョンとパッションを持って、挑戦し続けられる人材に学部で学んでほしいと考えています。そんな学生は、「学問から学ぶ」、「企業から学ぶ」、「活動から学ぶ」をスパイラルに学習し続け、大きく成長すると信じています。実際に、これまで大きく成長した学生たちは、こうしたスパイラルな学習を実践してきました。

学力の前に、学ぶためのビジョンとパッションがあるかどうかが重要だと考えています。ビジョンとパッションがあれば、学ぶべきことはおのずと明確になってくるもの。

サービス創造学部の学生は、3年生になってからあわててキャリア教育をスタートするなどということはありません。公式サポーター企業56社の経営者や管理者を中心とするゲストスピーカーは年間100名あまり。約1ヵ月間のインターンシップの派遣先はほぼ公式サポーター企業です。

学部教育を推進し続けるためには学部長として自らの研究を推進することも重要です。経営学の管理論や組織論の研究視点からサービスやサービス創造のアカデミック理論体系を構築することにも全力でアプローチし続けたいと思います。




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※掲載されている教授の所属・役職などは取材当時のものであり、現時点の情報とは異なっている場合があります。