早稲田塾
親子で考える入試とAO推薦

指定校推薦の実態と上手な利用法

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系列高校からのエレベーター生が期待できない、あるいは期待できなくなった大学側が力を入れ始めたのが指定校推薦枠の増加です。指定校は高校に、大学・学部・学科の「指定席」を割り振り、そこにふさわしい者を高校側が選び、大学へ推薦します。慶應義塾大学のように真剣に書類選考などをする大学は稀。たいていは高校の推薦のまま入学できます。ちなみに医師になる医学部や医科大学の「指定校」は意味合いが異なって、倍率がしばしば発生します。混同しないよう注意して下さい。

指定校のいすに座れるかどうかは高3の9月頃の高校内選抜で決まります。決まれば学校長の推薦なので他大学への受験はできません。言い換えると、大学側にとって確実に入学者を確保できる有効な手段です。いわば系列校以外へのエレベーター制度で、親世代からありました。しかし子世代になると内実が大きく変容しています。

まず指定校を割り当てる量が急速に増えました。かつては枠がもらえなかった高校でもドンドン撒いています。かつては指定校推薦で入学した者の素行や成績が悪かったり、中退したりすれば翌年から取り消しというペナルティーを大学側が課していました。今もないとはいわないもののほぼ聞かなくなりました。

ある大学(共学)の学生の1学年がどの高校から入学しているのかを3年ほど前に見せてもらった経験があります。北から南まで異なる高校の名がズラリと並び、あたかも高校一覧のようでした。「よくこれほど多数の高校から志願者が集まるものですね」と聞いたところ、大半が指定校生なのだと教えてくれました。このような大学は今や珍しくなく、確実な手段で集めたいという思いが切実です。親世代の指定校だと評定平均(高校の成績)が4.3以上(5段階)といった高いハードルが条件となっていたのが、今やどんどん下がっています。新たに指定校枠を設けたり、増やしたりする大学で顕著に見られる傾向でしょう。書類選考や面接もなかったり、ないに等しいケースが大半で、高校生側から考えても「最も確実に大学生へなれる方法」と化しています。

よくAO入試や公募制推薦入試が学力低下の元凶とする声が聞かれます。しかしこれらは程度の差はあれ大学側の選考は行われます。客観的にみて「このぐらいの評定平均で大丈夫なのか」という学力でそのまま入れてしまう、指定校生の学力不足こそ本来問われるべきでしょう。

親世代だと「優秀で真面目な生徒」だけが手に入れられた指定校のいすも、これだけ乱発されると価値は相対的に下がります。この点で話題となったのが北陸大学の「すべての高校を指定校の対象とする」という方式でした(現在は廃止)。仮にすべての高校(当時で5000校以上)が応じたら定員をはるかに上回る入学者を受け入れなければなりません。それは不可能なので無責任という批判を浴びました。まあ大学側からすれば「そんなに来る訳がない」との前提で提案したのでしょうが、この「来る訳がない」という本音は同大以外にも見受けられます。

少子化の影響で高校の数が減り続けています。対して大学はここ10年(2004年~2013年)で10%増えています。明らかにインフレ化していて、高校に指定枠を振り分けても応募がゼロという「指定割れ」があちこちで生じる事態に陥っています。

かつては指定校枠を割り振ったのに誰も応募がなかったら大学側が翌年から取り消すというケースもしばしばありました。でも現在はそれどころではなく、とにかく撒くだけ撒いて1人でも釣り上げたいという思惑が明らかに存在します。

受験生はこの状況をどう利用したらいいのでしょうか。指定校推薦が最も確実な「系列外エレベーター」なのは事実なので、まず自分の高校に来ている指定校枠がどうであるかを把握しましょう。毎年変わるので最新情報が欠かせません。また大学によっては10月以降でも間に合う指定校も最近誕生しているので(それだけ必死)、AO・公募制、とくに公募制と両方目配りしながら連動すると便利です。

東京圏に生まれ育った高校生にとって「いい大学」「知名度のある大学」は意外と底浅い。関西学院大学を知らないという者も大勢います。まずは進路を発見すべきでしょう。こういう方向で学びたいとおおよそ決まれば一般的な知名度に欠ける大学でもいいところは多数あります。日本社会事業大学や女子栄養大学はその典型。そうした大学が高校の指定校に来ていれば手を上げておいて別の行きたい大学を主に公募制で狙うといいでしょう。

というのも指定校と公募制は評定平均を重視するという点が一致しているからです。指定校最大の問題は、行きたいとエントリーしてもより評定平均の高い同級生が直前に「私も!」と言い出したら敗北する可能性が高く、言い出すかどうかは神のみぞ知るという部分です。そうなる危険をカバーするためにも公募の準備をしておいて指定校が決まればそれでお仕舞いだし、取られても二の矢はすでに用意してある状態でいられます。内部推薦も含め、こうした賢い選択をする早稲田塾生は年々増えています。

※記事の内容は執筆者個人の見解であり、早稲田塾の公式見解ではありません。

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