AO・推薦入試対策 志望理由書

名古屋大学医学部医学科の志望理由書と推薦書

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名古屋大学の源流学部で江戸時代からの伝統を持つ。107人の定員のうち一般入試が95人(前期90人 後期5人)で、公募型の推薦入試が12人。総定員に占める推薦枠の割合は10%強となる。
他の国公立大学の医学部(ないしは医科大学)との傾向を比較すると次のようにいえる。

①大学センター試験5教科7科目を課す→ほぼ同一傾向
②評定平均を聞く→これも同じ。正確には学習成績概評がAレベル(評定平均だと4.3以上)というのがスタンダードななか、名大は「マルA」まで求める。マルは「人物」の優秀者まで高校が認めていなければならず、出願条件としては最も厳しい部類に入る
③先端医療志向→傾向が異なる。AO・推薦を行っている国公立大学のうち、多くは地域医療の担い手を求める傾向があるに対し、同大と東北大学は基本的に先端医療への興味・関心のある者を募集する。要項の「医学研究者への志向性を持ち、例えば本学のMD・PhDコースへの進学を希望するような人材」との表記からもわかる。MD・PhDコースとは4年次以降を修了した後に用意されている「研究者養成コース」を指す。

仕組みはかなり変わっている。4年次までに基本的な医学研究の学びを終えて5・6年次に臨床実習を行い、卒業して医学士(MD)を取るというのが一般的で、名大もそのコースは用意されている。博士(医学)号(PhD。かつて医学博士と称した学位で、この名が今なお広く知られる)取得は、通常、MDを得て(6年制を卒業)医師国家試験に合格後、博士課程に進むか、臨床や基礎などの研究論文が認められるなどして修得する。つまり

6年間で医学士(MD)→国家試験合格(医師免許取得)→博士(医学)号(PhD)修得

というのが通常のパターンだ。それが名大の場合

4年間→MD・PhDコースで博士(医学)号(PhD)修得→学部に復帰して残り2年で医学士(MD)→国家試験合格(医師免許取得)

が準備されていて、推薦合格希望者はここを強く期待される
なんだ、順番が違うだけではないか……というわけでもない。医学科進学の最大の目標が医師免許の場合、次のようなデメリットも考えられる

A)免許取得へ一直線に進めない
→しばしば誤解される点として、博士(医学)<旧「医学博士」>イコール医師ではない。医師免許を持たない「医学博士」もいれば「医学博士」でない医師もいる。名大のMD・PhDコースを選択すると、6年間を一挙に学んで医師免許に挑む(MDでないと医師国家試験受験資格がないので)という最短コースが選べなくなる。MD=医師免許ではないから落ちる可能性があるわけで、チャレンジは早く、多くと考える者にとっては、その前のPhD修得は「余計」と感じるかもしれない。現に免許取得の後にPhDも取れる(というか大半はそうしている)ので、免許を取って一安心してから……と考える場合は結構つらい仕組みだ。

B)無収入の期間が増える
→私立大学と比較すれば、国公立大学の医学科(および医科大学)の学費ははるかに安い。といっても1年次から忙しく、アルバイトをしながら学業も両立させるのは並大抵でない。それが通常の6年制でさえ長いのに、幸運にも現役で国家試験にを受かっても、2年間の臨床研修(給与は出る)を経て初めて医師として本格稼働となる。その過程で最大4年ほどのMD・PhDコースを迂回すれば、カネの工面が現実問題として立ちふさがるおそれがある。

にも関わらず名大がこのコースを設けるのは、同大WEBサイト(http://www.med.nagoya-u.ac.jp/new_course19/course01/index.html)によると次の通り。

Q:なぜMD・PhDコースを設けたのか?
A:医学生物学の著しい進歩や、医学医療の進展に応えうる研究者・教育者として成長していくために、若いうちに研究に携わっていくことが効果的であると痛感しています。
実際に、基礎医学セミナーなどにおいてすばらしい研究を行ったエネルギーを中断させないで、発展させられるコースが必要であると考えています。

Q:医学知識も中途半端なままで研究できるのでしょうか?
A:医学部4年次までの履修により、基礎医学、社会医学全般と臨床医学の概要を学んだといえます。この時点で第一線の研究に参加し、科学的な思考と研究計画、発表、論文作成などを経験的に学ぶことにより、その後の臨床医学の学び方、理解度が大きく変わってきます。本コース修了者が臨床研究においても活躍されることを期待しています。

つまり「研究者・教育者」「臨床医学の学び」という部分に力点を置いたとすれば、前述のようなデメリットを補って余りあるとの発想といえる。MD・PhDコースには奨学金も用意されており、貸与が前提なもののその「期間と同年数の期間を基礎医学又は社会医学の研究者として研究活動に従事」すれば「免除」される(予定)。やはり単なるお医者さん養成というより研究者の育成が眼目のようだ。

400字の志望理由書(自書)もこの③部分を大いに意識すべきだ。題意は

医学科を志願する理由、抱負などについて

である。「医学科」とは、いうまでもなく名古屋大学医学部医学科を指す。「医者になりたい」では不十分で、仮に臨床医を第一目標としていても(MD・PhDコースもそこは否定していないので)「研究者・教育者」の道を歩んでいきたい。そのためには一見回り道にも思えるMD・PhDコースへ果敢に挑戦したい、といった気迫を伝えていかないと推薦入試で求める人材と違ってきてしまう

就職先は名古屋大学医学部附属病院を始め、中京圏の大病院が圧倒的に多い。しかしこの件を志望理由に組み込まなければならないほどの必然性は多分なさそうだ。

ちなみに同学科では学校長の捺印を必須とする「推薦書」も重要である。記載責任者は高校の先生と限定されていないが、校長捺印の下での書類だから校長自身か担任など「志願者との関係」が明白な教師となろう。内容は次の通り

●推薦する理由 本人を推薦される根拠、医学を学ぶ能力と適性があると認められる理由を、わかりやすく記入してください
●学業 授業中の活動状況、勉学の自発性・計画性・持続性・理解力・不得意などにつき、具体的事実をあげて記入してください。また、3か年にわたる各学年ごとの学年全体での成績順位(何人中何位)、及びクラスでの成績順位(何人中何位)を記入してください。もし順位が出ていない場合は、推定の順位を記入してください
●人物 調査書の「指導上参考となる諸事項」欄と重複しないよう、具体的にかつ詳細に記入してください
●課外活動・クラス役員など 1)各学年ごとのホームルームにおける役員名とその活動状況 2)全校的な役員をしたことがあれば、その学年・役職名と活動状況 3)所属クラブ名とその活動状況 4)本人の特技、その他の特記すべきことなどを記入してください
●生活状況・その他 1)本人の健康状態について、特記事項があれば記入してください。引き続き1週間以上欠席した事実があれば、その理由を記入してください。 2)本人の行動の特徴・生活態度等について記入してください 3)その他、本人について特記すべき事項があれば、記入してください