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坂東太郎のこれだけは知っておきたい高校生のニュース常識 【早稲田塾】

コンビニが百貨店の売上高を上回る(流通再編①)

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日本フランチャイズチェーン協会が20日発表した2008年の全国コンビニエンスストアの売上高(全店ベース)は前の年に比べ6.7%増の7兆8566億円となった。店舗数が1.9%増えたことに加えて、たばこ自動販売機用成人識別ICカード「タスポ」の導入に伴い、コンビニでたばこを買い求める人が増えたことが寄与した。
全国コンビニ売上高の公表を始めた1998年以降、10年連続で前年比プラスとなり、全国百貨店売上高(7兆3813億円)を初めて上回った。 (日本経済新聞09年1月20日電子版)

コンビニが売上で百貨店を上回るなんて……と驚く世代は、おそらく50代以上。コンビニが普及して身近になったのは、おおよそ1980年代後半で、若者や独身者が夜を中心に便利に使い始めた。その世代がすでに40代半ばとなっているため、これより若い世代に意外感はないだろう。
しかし、小売業におけるかつての「序列」イメージからすると、やはり画期的ではあるのだ。それは

百貨店……高級
スーパー……安売り
コンビニ……小さくて夜利用中心

で、百貨店は小売りのチャンピオンに位置づけられていた。
イメージから離れて売上を比較してみると、一つの画期は、1972年にスーパーのダイエーが当時百貨店トップだった三越を抜いた時。以後、売上で百貨店は徐々にスーパーにかなわなくなる。ちなみに2008年の全国のスーパー売上高は既存店ベースで13兆2753億円(日本チェーンストア協会調べ)。7兆円規模の百貨店、コンビニよりも大きい。
百貨店を母体として生まれた大手スーパーはほぼ存在しないに対して、大手コンビニの多くがスーパーを生みの親とする。

イトーヨーカ堂セブン・イレブン
ダイエーローソン
西友ファミリーマート

ところが、次第に「子」は成長し、売上はともかく利益で「親」をしのぐようになる。セブン・イレブンは94年、経常利益でヨーカ堂を抜いた。現在は持ち株会社セブン&アイ・ホールディングスの元で「親子」ではなく対等な関係にある。ローソンは「親」のダイエーが経営不振で、ローソン株の多くを商社へ放出してしまった。西友とファミリーマートも同じような経緯で現在に至る。
実はスーパーも売上高こそトップでも、08年まで12年連続で前年を下回っている。奇しくもこの年数は百貨店も同じ。つまり

百貨店……12年連続で前年を下回る
スーパー……12年連続で前年を下回る
コンビニ……10年連続で前年を上回る

と、コンビニ一人勝ちの様相なのだ。
こうみると百貨店がいかに厳しいかがわかる。大丸と松坂屋を持つJフロントリテイリングの奥田務社長は、{百貨店のビジネスモデルは破綻(はたん)している」とまで言い切っている(朝日新聞08年12月16日朝刊)。こうした危機感から、生き残りをかけた百貨店の経営統合劇が21世紀に入って次々となされた。


【再編劇①】そごうと西武百貨店の統合(03年6月)
2000年7月「そごう」グループが事実上倒産し、東京・池袋で圧倒的存在感を示す西武百貨店出身者を社長に招いて、再建に乗り出す。ところがその頃に、今度は西武が属していたセゾングループが経営危機に陥り、「そごう」が逆に救済へ動いた。それが大きなきっかけとなって、両社が03年6月「ミレニアムリテイリング」グループとして統合する。この時点でミレニアムは高島屋に次ぐ第2位の売上高となった。


【再編劇②】大丸と松坂屋が経営統合(07年9月)
関西で強い存在感がある大丸は、百貨店の売上ベースではかつての西武、そごうとほぼ同レベルだった。傘下にスーパー「ピーコック」を持つ。松坂屋は、愛知県で以前は最も格式のある百貨店とみなされ、「五摂家」の1つとまで呼ばれていた。この両社が07年9月「J.フロント リテイリング」として経営統合。この時点で総売上高が高島屋を若干上回り、百貨店第1位となった。


【再編劇③】三越と伊勢丹が経営統合(08年4月)
伊勢丹は、東京・新宿店が若い女性を主な対象に圧倒的存在感を示す百貨店。三越はこのところ経営不振をささやかれたものの、江戸時代に豪商の三井高利が江戸に越後屋を作ったのをルーツとする、百貨店最古にして三井グループのシンボル的存在であると同時に、日本の百貨店自体のルーツともみなされる老舗で、中高年を中心に「お中元やお歳暮は日本橋三越本店でなくては!」と思っている人はたくさんいる。
顧客層も違うし、プライドも高い両社。売上高も、かつては高島屋に次ぐ7000億円から8000億円の規模を誇っていた。しかしミレニアムとJ.フロントの誕生で自動的に順位を落としてしまう。08年4月、両社は「三越伊勢丹ホールディングス」を設立し、経営統合すると発表した。合わせた売上高はJ.フロントを抜き日本一となる。


【再編劇④】高島屋と阪急・阪神百貨店が3年後の経営統合を前提に資本・業務提携(08年10月)
売上順位が日本一から3位にまで後退した高島屋と、関西に強い力を持つ阪急百貨店・阪神百貨店を持つエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングが手を結んだ。単純計算で売上高は、1位の三越伊勢丹ホールディングスに匹敵する。

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著者紹介

【坂東太郎】

毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師。 現在、日本ニュース時事能力検定協会監事を務める。 著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。 早稲田塾の「AO・推薦対策講座」および「論文作法」を担当。

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