がんじがらめの公職選挙法
公職選挙法は衆議院・参議院の国会議員選出選挙をはじめ、地方自治体の首長から地方議員に至るまで、広く適用される法律である。目的は選挙が「公明且つ適正に行われること」(1条)。これ自体に異議のある人はいないだろう。現に、何度も何度も買収などの問題が発生しては改正されてきた経緯もある。しかしその結果、かんじんの「選挙人の自由に表明せる意思によつて」(同)が危うくなるほど厳しい内容になっているのも事実だ。
小沢一郎民主党幹事長は09年10月、こうした問題を一部改正する意思を記者会見で表明した。「選挙期間中の戸別訪問やインターネット利用の解禁などが柱となる見通し」(東京新聞09年10月20日)という。
選挙になると、いわゆる「選挙のプロ」が各候補者の陣営に座る場合が多い。勝利のために采配を振るう参謀というわけだろう。でもせっかく当選しても、選挙違反でつかまってしまっては仕方ない。選挙運動員の勝手な行動で済まない場面もある。1994年改正で取り入れられた「連座制」では、陣営の出納責任者が禁固以上の刑を処せられたら議員も失職する。固定費に加えて「有権者数×15円」程度の「法定選挙運動費用」を超えてもアウトなど、厳しい。だから「選挙のプロ」が、地雷原のような公職選挙法の決まりを縫うように差配する。時に裏技も駆使して。だがそのような状態が健全だろうか?
以下に主な「アウト」例を紹介する。
●満20年未満の者が選挙運動する ×(137条)
候補者の子でも未成年であったら「お父さんをお願いします」などと訴えてはいけない
●投票を呼びかけるべく戸別訪問をする ×(138条)
偶然はいいとされる。例えば首相が電車に乗り「偶然」同席した人に「お願いします」はOKと。これもわざとらしいと最近では放映されなくなっている
●飲食物を提供する ×(139条)
同条には「湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子を除く」とあり「お茶を出す」(例えばお茶とまんじゅう)感覚程度は認められている。「飲食物」とはそのまま食べられるもの。したがって弁当はダメ
●3種類以上のビラを作ってまく ×(142条)
ビラ(通常「ちらし」とも呼ぶ)は選挙管理委員会に届け出た2種類以内しか認められない
●ビラをマンションのドアポストに投函 ×(142条)
新聞折り込みならばOK
●候補者が選挙期間中にブログを更新する ×(146条)
インターネットは、選挙に制限付きで使っていいと同法142条と143条が定めるビラ、はがき、パンフレット、書籍、ポスター、立札、ちようちん、看板などの、どれでもない「文書図画」である。146条はこうした公認の「文書図画」以外の禁止の「文書図画」で「候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する」を禁止している
●選挙期間中に選挙区へ年賀状を出す ×(146条)
暑中見舞いももちろんダメ
●選挙期日後に当選のあいさつを行う ×(178条)
178条に定められた「制限」以外で「ありがとう」の「あいさつ」するのは難しい。祝賀会もダメなんです
●午後8時から翌日午前8時まで以外の時間で選挙運動のための街頭演説をする ×(164条)
あれ?早朝深夜に演説している人を見た? それはきっと地声。「選挙運動のための街頭演説」は主に拡声器の使用を前提とする
●金銭、物品その他の財産上の利益を与える ×(221条)
とにかくお金を10円でも渡したらいけない。「記念に」と何かを渡してもいけない。買収になる恐れあり
このなかでも、「文書図画」にインターネットを含めた上で、ブログなどの手段を事実上禁止するのはいかにも時代遅れという声は大きい。









